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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第15章 終末兵器の実験場 
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(4)

 事の発端はある名簿が発表されたことによる。


 関係機関のトップのみに極秘に公開されたアナザーワールドのフォースマスター、パラダイムルール製作者の一人、コーラマバードの後継者候補名簿。


 アナザーワールドとは地下ノートで三千世界と呼ばれるものである。


 5年以上も前にコーラマバードによって発表された名簿。もう二人しか生存していない死の名簿。生前に書かれた遺言書。


 その名簿はすべてコミュニティ内での正式名称であるコミュニティコード、つまり厳格なハンドルネームで書かれている。

 アンダー・ザ・ルールの名がトップに、もちろんガンジスの名もあった。バスタブで溺死したフォーリナーの名も。

 そして文末にはコーラマバードがマスターとしての機能を果たさなくなってから二ヶ月以内に後継者が決まらない場合はその資産をサルバドール財団に譲渡することも。


 トルクがそれに気づいたのはエルメルとの接触だった。エルメルはもう一人殺すと言った。

 もっとも重要なキーパーソン”アンダー・ザ・ルール”が抜けていたから気づかなかった。

 そこにアンダー・ザ・ルールをはめ込むことにより全てがつながった。


 アンダー・ザ・ルールほどコーラマバードと繋がりの深い人間はいない。なぜなら二人は養子と養父の関係にあったからだ。


 ネットワークの隔離領域に侵入し、アナザーワールドの機密文書集に死の名簿を見つけるのはさして時間をとらなかった。


 目的が確かなものを見つけることはたやすい。


 トルクにとってサルナが必死に隠していたパラダイムルールも、フォースマスターも既に何処かで聞いていた事象だった。いや、三千世界で見ていた。

 だがトルクにとってはありふれた都市伝説でしか無かった。

 だが今となっては色々なものが具体性をもって自然にトルクに流れ込んできていた。

 それを拒否する理由はトルクには無かったし、取り立てた違和感も無かった。


 「そういえばそんなことを言ってたね。そうだよ、アンダー・ザ・ルールさ。思い出したよ。そんな人は知らないって言ったら怒り狂ってね」


ここから先は言葉を選ばなければならない。


 多分エルメルはこの空間のレイヤ群の何処かに既に寄生している。うっかりイベントを発動してしまったら取り返しがつかない。


 エルメルはイベントを発動出来なかった。

 イベンターがまだ生きているのが証拠だ。だからエルメルはトルクとサルナがイベントを誘発するのを待っている。息を殺して。


 今エルメルが姿を現したら勝算は少ない。

 身体能力に違いがありすぎる。先回りされていることはある程度想定できていたはずだ。

 この状況になるまで現実味を持てなかったことが悔やまれる。だがここで引き返したら恐らく背後から襲ってくるだろう。


 いずれにせよ殺し合いになる。

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