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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第13章 怪物
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(4)

 「動かないで。動いたら撃ちます」


 体力の回復を図ったのはトルクだけではない。エルメルの後方でサルナが凍結銃を斜に構えていた。

 胸を気にしながら。


 「お前の意識は奪った筈だが、驚いたぞ。お前もリミッターを外しているのか。お前は契約に入っていない」

 エルメルの黒目はトルクを見据えながら背後のサルナに問い掛ける。


 「違うわっ、パラダイムルールは警察も政府も侵すことはできない。そしてあの程度じゃ私の意識すら奪えないわ」

 サルナが答えるより早くエルメルの角はトラックのグリルをケーキのように切り裂く。

 振り向きつつ低い角度から長い手を広げそのまま突進する。

 そして角でサルナの凍結銃を狙った。


 よろめいてステップバックしたサルナは偶然にギリギリでそれをかわす。

 さらにステップバックを繰り返しエルメルの眉間に再度狙いを定める。

 その距離僅か数m。


 「動いたら撃つと言ったわ」

 サルナの発射した2発の弾丸は、一発が闇に吸い込まれる。

 だが、野生の勘で飛び退いたエルメルの向かって左の角を1発目がかすめた。


 エルメルの角が変色し空間に固定されていく。

 変色が角の根元に達する間際、エルメルは自分で角を鋭い爪で切断した。

 エルメルの角は空間の中で固定され、化石のように色あせていく。

 石色に変わりきった後、アスファルトに鈍い音で転がった。


 「惜しかったな」

 エルメルの熊のような手はサルナを引き裂きにかかる。

 「きゃっ」

 サルナの凍結銃は手から弾かれ回転しながら滑っていく。

 そしてサルナを壁際に追い詰める。


 サルナ絶体絶命のピンチ。


 「おりゃっ」

 「邪魔をするな」

 「せいっ」


 エルメルが砕き散らしたコンクリート片をトルクが滅茶苦茶なコントロールでエルメルに投げつける。


 「貴様も後でゆっくりと引き裂いてやる」

 身体能力の優位性からかエルメルは振り向きもしない。


 「そりゃ、ていっ、たあっ」

 特に大きいコンクリート片がエルメルの後頭部に直撃した。


 さしものエルメルも思わず膝を折る。

 「貴様から引き裂いてやる」

 怒りでエルメルは声が震えていた。


 「あたぁ!」

 怒りで身体を震わせながらゆっくり振り向くエルメルの顔面にコンクリート片が直撃した。


 タラリと鼻血が流れ落ち、思わず顔を押さえるエルメル。

 不意打ちは痛いものだ。


 「き・さ・ま・ぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


 エルメルは眉間に青筋を浮かべた形相で顔を上げる。

 そこにはサルナのショルダーバックからこぼれ落ちた警棒を大きく振りかぶり、急激に間合いを詰めたトルクがいた。


 3段跳びの要領で。


 「くっっ・


  ら~~


  え----っ」

 エルメルは防御する間もなかった。


 ただの警棒ではない。触れると超高電圧が掛かる。

 いくばくかの電流も流れる。


 さしものエルメルも両膝から崩れ落ちる。

 電圧の余韻で体毛が光って見えた。

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