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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第12章 ノスタルジー保護区
40/95

(3)

 ゲームクリアを讃えるメッセージとネームインを求めるプロンプトが現れる。


 [CONGRATULATION! HIGH SCORE;


 [INPUT YOUR NAME;

 ]SEARCHER;

 (オッケーっと)


 [INPUT MESSAGE FOR THE GAME MASTER;

 ]LOOKING FOR A KILLER;

 トルクが入力する。そしてしばらく時間が過ぎた。


 [WHO WAS KILLED?;

 (きたきた!)


 画面がブラウン管の薄明かりから急に輝きを増す。


 「なにこれ、どうしたの。なんか聞いてきたわよ」

 「通信コンソールが開いた」

 「まさかこれがコンソールだったの?」


 余りにも当たり前にトルクがテーブルゲームに取り組み始めたのでサルナはまさかこれがコンソールだとは気づきもしなかった。

 ただトラディショナルゲームに興味があるだけかと思っていた。


 「まあ、まあ見てなって」

 サルナから見てトルクは十分に冷静さを欠いていた。


 スティックを握る腕に強く力が入っているように見えた。輝きを増したテーブルゲームに下から照らされたトルクの顔は歓喜を宿している。


 髪の毛が逆立っているかのように見え始める。


 トルクは集中しながらかなり早いスピードで文字を入力し始めた。

 ]Rainman・Z、John・R、Mad scientist・K、Pusan・B、Fish・bonus・α、Shooter・N、Sao・Paulo・N、Saranobitchi・M、T・Kansuke、Foreigner・Q;

 「わかった、ハンドルネームね・・・」

 サルナが囁く。


 そしてもう一つサルナには気付いたことがある。だが口をつぐんだ。それは全員がかなり名の売れたアバターキャラクターだということ。

 「そうさ、ケリー長官に聞いた奴に殺された人の名前からコミュニティコードを逆引きした。彼らの多くはコミュニティのメンバーでね、知ったハンドルネームばかりだったよ」


 「そんなの普通わかるわけないでしょ。個人情報の悪用はかなりの重罪なのよ」

 「まさにね。こう云う個人情報は普通には手に入らない。皆名前と完全に使い分けられるものだからね。でもリンクリストはドナウがあっという間に見つけてくる」


 サルナの頭の中にはクエスチョンマークが幾つも飛び交っている。

 (ドナウってあの猫?でしょ???)

 でも今それに突っ込んでいる場合ではない。


 [LACK OF Ganges;

 (ビンゴ!こいつだ!)


 ]INFORMATION THAT Ganges IS NOT DEAD;

 [Ganges KILLD. GANGES DIED OF THE VIRUS;

 (自分の殺しを誇ってやがる。くそったれー)

 「トルク・・・もう殺されちゃってる・わ・・・よ」

 「生きてるだろ!」


 ]Ganges IS NOT DEAD;


 [Ganges KILLD;

 ]Ganges IS STILL ALIVE. Ⅰ G a n g e s;

 画面の向こうで何かの電流が走った。画面の向こうで奴は考えている。そして答えを出した。


 [YOU WANT TO DO?;

 (ふざけやがって)


 トルクの中で何かが音を発てて切れた。


 ]KILL YOU!;

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 数秒の沈黙ののち突然の発散。

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