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「3週間っていってたけど、病院にも居たしもう2週間もないわ。のんびりしてて大丈夫」
トルクの操るキャラクターは、デフォルメされた丸くて導火線の付いたボムを起用に通路に配置していく。
「見くびってもらっちゃあ困る。のんびりなんてしてないさ」
「あてはある感じかしら」
サルナは両肘をたてて頬杖をつく。
「殺し屋の方が探しやすい。きっと。俺の知ってる奴なら今はこの辺を根城にしてるはずだ。情報屋もこの辺だって言ってたしな」
「情報屋ねえ。信用できるの」
「これが最善の方法。実のところ半分はヤマカンだけどね。」
10個ほど並べられたボムが画面上で一挙に爆発する。
「調子はどお?ドクターが言ってたけど今にも死にそうだった人間の身体じゃないって言ってたわ。もともと死にそうには見えなかったけどね。すごい勢いで回復してるって」
「まあ、ウィルス駆除してなきゃ今頃本当にゲーム・オーバーだったけどな。まだ調子良いも悪いも無いな。奥歯は生え始めてきたけど」
「今の医学にできないことは不死だけよ」
「絶好調の自分なんてどうだったか覚えてないけどな」
トルクはスティックを握る掌を結んで開いてサルナに見せた。
「それにしても薄気味悪い店ね。それにしてもよくこんなに仮面を集めたわね。呪術とかで使うやつでしょ。オーナー呪われてるわよ」
サルナが改めて店内を回し見る。
「レプリカだろ」
「・・・ねえ、なんかあの端っこの白いおっきい剥製、何かの本で見たことあるんだけど。動いた感じしたんだけど・・・」
「なにを馬鹿な・・・、って絶滅種じゃないか。その昔北極にいたっていう」
「あれも、それも・・・ねえ、かわいいわね。特に白と黒のヤツ。あれも図鑑で見たことあるわね。ほらほら、目と耳が黒くて・・・」
「ああ、最近見ないヤツな。その昔絶滅が危惧されて保護されたら野良猫より数が増えちゃって。農作物荒らしちゃって・・特殊な笹竹しか食べなかった筈なんだけど・・・今では山間部で細々と管理飼育されてるらしいね」
「レプリカかしら・・・もっと動かないかしら。見てれば動くかしら」サルナがじっと剥製を見る。
サルナが全然怖がっていないように見えるのは気のせいか。
むしろこの猟奇的なシチュエーションに多少ドキドキしているように見える。
「さすが殺人鬼の住む街ね」
更に何かに感動しているようだった。
「だろ。ここしか考えられないって感じだな」
トルクはスティックとボタンでギリギリに敵をかわし爆弾を置いていく。
時たまブラウン管はノイズを交え、暗い室内に薄明かりを発していた。
ボスキャラを倒し、エンドロールが流れる頃はゲームをやり始めてから悠に1時間が過ぎていた。




