第8話 燃えろ、勇気の槍!
熱波怪獣フレアドンは止まらなかった。
街を焼きながら前進を続ける。
道路はひび割れ、
信号機は熱で故障し、
各地で停電が発生していた。
人々は避難を続けている。
しかし。
熱波は容赦なく襲いかかった。
アーク司令室。
警報音が鳴り続けていた。
マリアが報告する。
「フレアドン接近中!」
「市街地まで残り十五キロ!」
十文字が険しい顔になる。
「Gファルコン隊は?」
「損傷率六十パーセント」
博士が頭を抱えた。
「このままやと街に入られるで!」
隊長は静かにモニターを見つめていた。
地上。
護は避難誘導を続けていた。
「急いでください!」
汗だくになりながら叫ぶ。
未来も子供たちを誘導していた。
「大丈夫だから!」
「慌てないで!」
しかし。
フレアドンの熱波が再び襲う。
ゴォォォォォォッ!!
猛烈な熱風。
ビルの窓ガラスが砕け散る。
悲鳴。
混乱。
護は思わず立ち尽くした。
その時だった。
コンビニ店長の声が響く。
「護!」
振り返る。
店長だった。
倒れた老人を支えている。
「ボーっとするな!」
「助けるぞ!」
護は我に返った。
「はい!」
二人は老人を避難所へ運ぶ。
店長は苦笑した。
「昔のお前なら逃げてたかもな」
護は少し黙る。
確かにそうだった。
少し前の自分なら。
きっと。
誰かに任せていた。
だが今は違う。
守りたい人がいる。
未来。
子供たち。
ガーディアンの仲間たち。
そして。
この街。
その時だった。
巨大な爆発音。
ドォォォォォォン!!
護が空を見上げる。
Gファルコン二号機被弾。
炎を上げながら墜落していく。
十文字の機体だった。
アーク司令室。
「十文字隊長!」
副指令が叫ぶ。
通信は途絶えた。
隊長の表情が曇る。
ガーディアンが初めて追い詰められていた。
その様子を。
異界星人ゾルガが見ていた。
「そうだ……」
「恐怖しろ」
「絶望しろ」
「それが我らの力となる」
赤い瞳が怪しく輝く。
そして。
護の胸が熱くなった。
強い光。
あの日から何度も感じてきた光。
胸元の結晶が輝き始める。
未来も同時に気付いた。
「護!」
護が振り返る。
未来は頷いた。
言葉はいらなかった。
二人は走る。
人々のいない場所へ。
そして。
光が溢れた。
「うおおおおおおっ!!」
「スピアァァァァ!!」
眩い光の柱。
銀色の巨人。
スピア出現。
フレアドンが咆哮する。
戦いが始まった。
しかし。
フレアドンは強い。
熱波。
火球。
連続攻撃。
スピアは押されていく。
地面に叩きつけられる。
カラータイマーが点滅する。
ゾルガが笑った。
「終わりだ」
その瞬間。
護の心に声が響いた。
『何のために戦う』
光の声。
護は立ち上がる。
何のため?
決まっている。
守るためだ。
誰かじゃない。
自分が。
守るんだ。
その瞬間。
スピアの全身が赤く輝いた。
銀と赤。
燃え上がるような姿。
スピア・ブレイブフォーム。
司令室が騒然となる。
マリア。
「新形態確認!」
博士。
「進化した!?」
隊長が静かに笑う。
「違う」
「覚悟を決めたんだ」
ブレイブフォームとなったスピアは突進する。
フレアドンの熱波を突破。
拳が炸裂。
フレアドンが吹き飛ぶ。
そして。
スピアは両手を広げた。
無数の光粒子が集まる。
一本の槍を形作る。
光の槍。
まだ完全な武器ではない。
だが。
希望の力。
勇気の力。
護の覚悟が生み出した槍だった。
「いけぇぇぇぇぇぇっ!!」
光槍投擲。
槍は一直線に飛ぶ。
フレアドンの胸を貫いた。
巨大爆発。
そして。
フレアドンは光となって消えた。
静寂。
人々の歓声。
スピアは空を見上げる。
しかし。
遠くの空間の裂け目。
そこにはゾルガの姿があった。
「光の戦士……」
「面白い」
「だが次はこうはいかん」
闇の中へ消えていく。
スピアはその姿を見つめていた。
新たな敵。
新たな力。
そして始まる本当の戦い。
護と未来の運命はさらに大きく動き始めていた――。




