第二章 癒しの花の冒険 前編 その3 告白の時
さあて小腹がすいた頃なのでお昼ご飯を食べましょう。今日のメニューはなにかな?
材料は生命の蘇活をしたときに生えてきた採れたて新鮮なマンゴーと朝の残りの山椒と野鳥のお肉とクロモジの枝です。
まずお肉の準備をします。野鳥のあっさりとした胸肉をクロモジの枝で刺して直火でサッとあぶります。ポイントは、焼きすぎず『しっとり』と。クロモジの持つ清涼感がお肉に移り、野菜の香りが引き立ちます。
次にマンゴーの土台を用意します。マンゴーを薄くスライスし並べます。
そしてスライスしたお肉をマンゴーの上にのせ、山椒の若葉をのせます。
あっさりとしたお肉は、マンゴーの『甘み』をソースとして、山椒の『痺れ』を塩気代わりとして食べることで、噛むほどに肉本来の甘みが浮き彫りになります。
「「ごちそうさまでした」」
今日のお昼ご飯はザガルが作ってくれました。ありがとうございました。
とっても美味しかったです。ザガルは料理がめきめきと上達しているようでした。上達が早く、これならすぐに料理人と同じレベルになるでしょう。
「では、食後の運動と行きますか」ザガルが洞窟から出ていこうとします。
「ちょっと待って!」呼び止める彼女でした。
「ちょっと食材が足りなくなってきたから、午後は食材集めに行きたいんだけど、何か予定ある?」
「ないけど……」
「それなら一緒に行こ!」「おい、ちょっと待てって」
私は勇気を出してザガルの手を引いて洞窟から飛び出しました。
———
「で、どんな食材を集めるんだ?」
見晴らしの良い高台の上でザガルが問い掛けてきました。
「え~っと、一度しか言わないから良く覚えてね。スパイスは山椒、肉桂、オレガノ。山菜、野菜はタラの芽、フキノトウ、コゴミ、ワラビ、コシアブラ、ミョウガ、タケノコ、銀杏。あとは川魚と鳥。それときのこは見つけたらとりあえず採る。わかった?」
「了解!」
「よし、それじゃ出発~」
並んでてくてくと歩いていると、ザガルが話しかけてきました。
「お前はいつもこんなに明るいのか?」
「えっ」
「見たんだよ。お前が泣いているところを。俺が飯作ってるとき泣いてたろ?」
「それは……………」
私が返答に困っていると、ザガルが手を握ってきました。
「………ぁ」
「困ってるなら言ってくれ。でないとこっちも辛くなる。お前が悲しむのは嫌なんだ!」
胸がズキっとしました。この感情は何なんでしょうか? 胸の中から何かがこみ上げてくる感じです。
「……何も……ない……あなたは……関係……ない。瞬間移動」
私はおもわず逃げてしまいました。私は本当につくづく弱い人間です。
瞬間移動で飛んだ先は綺麗な湖でした。
私は湖に飛び込みました。
私は詩を詠みました。
——生きていくこととは、絶望という目に見えない重りを背負い続けることだった。水の中に入ると、その重りがふわりと浮き上がり、体から離れていく感覚を覚える。冷たい水が自分を押し上げようとする力は、皮肉にも人生で受けた「全肯定の抱擁」のように感じられ、全ての責任を湖の底に沈めてしまおう。
そして私は眠りにつく。
次に目が覚めるときは楽園であると信じて。
○
目が覚め最初に目に入った光景は見慣れたあの洞窟の天井でした。
「おっ目が覚めたか」
そこにはザガルがいました。
「………………」
私は何も言わずに瞬間移動を発動させました。
バシャン!
そして湖に身体を沈めました。私の意識は闇に沈んでいきました。
ですがやはり目が覚め最初に目に入る光景はあの洞窟の天井でした。
「……どうして……どうして楽にさせてくれないの……」
涙が出てきました。それぐらい私はこの人生に限界で今すぐ楽になりたかったのです。
「それは………」
「どうして!」
「お前を護りたいから‼」
「えっ」
きょとんとする私でした。
「実は俺は、お前が好きだ!」
唐突過ぎる告白です。それにまだ出会ってから一日とちょっとです。なんで私のことを好きになったのでしょう?
「——実は俺はずっと前からお前のことを知っていた。今から七年前、お前が三歳のときだ」
そして話されたのは私が忘れていたころの話でした。




