バズっ太郎、猿と交換する ~猿も気落ちする~
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街道をいくバズっ太郎と犬と雉。三人(正しくは1人と2匹だが)に面子が増えたことで、話題もつきず、今は今後のバズっ太郎の動画について案を出しあっている。
犬「メンバーも増えたし、新しい事もやって、てこ入れしたいですよね!」
バズっ太郎「うーん、自転車旅だしなぁ。新しいことといっても…何かのチャレンジ企画とか?」
雉「私が空を飛んでお二人を空から撮影したり、空からの実況はいかがですか?」
犬「一昨日それやって、お前カメラを忘れて戻ってきたじゃねーか!自分の鼻でカメラのある場所を見つけたけど、2度とお前1人にカメラ預けねーよ!鳥頭!」
雉「あら、そうでしたかしら。」
この2匹のやり取りだけでも新しいコンテンツとして成立するのではないだろうかとバズっ太郎が思案してると、唐突に犬が話題を振ってきた。
犬「バズっ太郎さんのお爺さんとお婆さんは、どんな風に企画を考えてたんですか?」
雉「そうですね。アンチがいるならそれ以上のファンの心も掴んでいたってことですものね。気になりますわ。」
バズっ太郎「え、そうだなぁ…」
お爺さんとお婆さんの動画はどれも見てるけど、言われてみると『どんな基準・判断で』動画を作ってるのかなんて考えた事もなかったことに気づくバズっ太郎。
2人の家での会話などにヒントがないか思い出そうとしていると
猿「お兄さんお兄さん!僕の柿の種と物々交換しませんか!」
いきなり1匹の猿がそう声をかけてきました。
バズっ太郎「物々交換?」
猿「そう、オイラのこの柿の種と、お兄さんの持ってる何か交換しよう!」
犬「あー、ちょっと前に流行ったやつですね。柿の種からスタートして、生きずりの人と物々交換して、どこまで高価なものにできるかって企画ですよ。」
猿「そうそう。実はオイラも配信やってて、今、この企画に挑戦してるんだ!うまくやったら大バズりだよ!」
雉「うーん、だいぶ手垢のついたやり尽くされた企画じゃない?それに、その企画、柿の種を育てあげたカニから、一方的に柿泥棒した猿がいて、大炎上して一気にイメージ悪くなっちゃってるわよ?」
猿「し、知ってるよ!だから、オイラがまた健全にドリーム掴めばまたバズれるんじゃないか!」
バズっ太郎「ふーん…交換するものはなんでもいいの?」
猿「いいよ!現金でも土地でも、権利書でも!」
犬「なにいってんだこいつ」
バズっ太郎「じゃあ、はい。こないだ使った釣りエサの余りの、乾燥ミミズ1袋と交換だ。」
猿「うーん…こ、これは、得…したのか?まぁいいや、兄さんありがとな!」
そういって猿はどこかに行きました。
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どこかへ去っていった猿と別れてバズっ太郎一行は道を進みます。さるもの追わず。
すると、道からはずれた草むらからいきなり篭を背負った老人が現れました。
雉「きゃあ!」
犬「うわっ!」
突然現れた老人に驚いたのもありますが、更に驚いたのは、老人があまりにも草まみれ、土まみれだったからです。ただ山歩きしてただけとは思えない汚れっぷりでした。
薬師「おお、すまん驚かせたね。」
バズっ太郎「いえ、あの、大丈夫ですか?遭難してたなら、大丈夫。ここはもう街道です。近くの街までお送りします。」
バズっ太郎も驚きで動転してるのでしょう。
薬師「あっはっは。こんな風体だが大丈夫。私は薬師でね。森や山で薬の材料を集めてたんだよ。」
バズっ太郎「なるほど」
そうして薬師と一緒にバズっ太郎一行は街道を歩きます。
薬師の汗と泥と薬草の臭いが嫌なのか、雉は空高く飛んで離れていますが。
薬師はバズっ太郎と歩きながら、野草に自生してる使える薬草や木の実の話をして、バズっ太郎も感心しながら聞いたり、質問して盛り上がっています。
犬はこの話題の様子は使えるということで、薬師の臭いを我慢しながら、撮影しています。
この時の動画は教育的、ライフハックとしてもかなり使えるとして、今までにない層に認められて、バズっ太郎のチャンネルが伸びるきっかけにもなりました。
薬師「いやいやありがとう。楽しかったよ。」
街についた薬師と別れをつげる時です。
バズっ太郎「いえ、私もすごく勉強になり、楽しかったです。」
犬「今回の動画、なかなか好感触で助かりました!」
雉「早く帰って、ちゃんとお風呂入ってね。」
薬師「はは。そうしたいけど、街の市場も見て回るよ。実は、一番欲しい材料が見つかってないんだよ。」
バズっ太郎「それはなんですか?」
薬師「柿さ。色んな薬の材料になるんだよ。森で木をみつけて、葉っぱも手に入れられたら御の字だったが、せめて実が市場にないか確認してみるよ。実があれば、畑に種を植えられるしね。」
おや、とバズっ太郎一行は顔を見合わせます。
バズっ太郎「薬師さん、では、これをどうぞ。」
そういって、先程猿と交換した柿の種を薬師に渡しました。
薬師「おぉ、助かるよ。でも、なんでこんなものをわざわざ持ち歩いてたんだい?」
バズっ太郎は猿とのやりとりや企画の事を説明しました。
薬師「はは、なるほど。ならば私も何か渡さねばね。これをどうぞ。私の特製の軟膏だ。打ち身擦り傷火傷に吹出物、一通り効くから、旅での役に立つだろう。」
バズっ太郎「え、そんなつもりでは…」
犬「いいじゃないですか。いい企画になりますよ!」
雉「あって困るものじゃないし、もらっときましょう!」
2匹に押されて、バズっ太郎はありがたく軟膏を受け取りました。
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バズっ太郎一行は薬師とわかれて進みます。
すると、ベソをかきながら歩いている子供と出会いました。服が砂だらけ、膝からまぁまぁな血を出して歩いていて、一目で転んで擦りむいたんだなとわかりました。
義理はないけど、見過ごすのも気分が悪く、バズっ太郎は声をかけました。
バズっ太郎「えーと、そこの少年。足の怪我、痛そうだね。大丈夫かい?」
少年「…はい、大丈夫です。」
気丈な子だと思いつつバズっ太郎は
バズっ太郎「そうかい、でも、もし良ければ手当てをさせてくれないかな。簡単な処置ならちょうど道具が揃ってるんだ。大丈夫、怪しいものじゃないよ。あそこの茶屋の椅子を借りよう。」
少年「…ありがとうございます。」
少年はバズっ太郎を信用していいと思ったらしく、手当てを許してくれました。
手持ちの水で傷を洗い、医者からもらった軟膏を塗り、手拭いを包帯代わりにして処置を追えると、少年は気分をよくしたようでした。
少年「ありがとう!もう痛くないよ!」
そんなことはないはずですが、薬師の薬が効いたのと、傷と血が隠れてることが幸いしてるようです。
傷は浅くても、傷と血が出る自分の体を見てれば気落ちするのも道理です。
バズっ太郎「元気になったならよかったよ。」
犬「うーん、わらしべ企画の軟膏がここまでスムーズに役立つとは。バズっ太郎さん持ってますね!」
少年「わらしべ企画?それ知ってる!何かと交換しなきゃいけないんだよね!」
バズっ太郎「いやいや、流石に少年から何か受け取ろうとは思ってないよ。」
少年「ううん!僕も交換したい!ちょうどいいもの持ってるんだ!」
そういって少年は懐から封のされた袋を3つ取り出しました。
犬「お、呆け者絵札ですね。」
少年「うん!さっきお小遣いで買ったんだ。それで嬉しくて走ってたら、転んじゃってさ…」
少年は照れ臭そうに説明しました。
少年「お兄さん!この3つの袋の中から1つ選んで!それあげるよ!どの袋にどんな絵札があるかは僕もわからないけど、運がよければ綺羅絵札が当たるかもよ!」
まるで何かの販売みたいな口上でこちらに袋をずいと掲げてきます。
雉はいつの間にかバズっ太郎の後ろでカメラを回してました。
道理で少年がチラチラと後ろに目線を送ってピースしてるわけです。
よっぽど企画の参加が嬉しいのでしょう。
バズっ太郎「ところで犬、この呆け者絵札とはなんなんだ?」
犬「子供からマニアな大人まで流行ってる人気の絵札ですよ。色々な全国の呆けてる人や動物が描かれてて、そいつらを戦わせる遊戯です。花札みたいなものですよ。」
世界観の倫理観が終わってないかとバズっ太郎は思いましたが、子供の好きなものを否定するのは大人げないし、この子の企画参加してみたい気持ちに水を差すのもなんなので、バズっ太郎は呆け者絵札を1袋受け取りました。
犬「わらしべ企画が開封動画になりましたね。これはこれで数字とれますよ!」
少年「まずは僕が2袋開けるね!うーん…残念!普通の絵札ばっかりだ!」
犬「さぁ!ではバズっ太郎さんの袋はいかに!?」
少年と犬はなかなか開封動画の流れを理解してるのか、打ち合わせなしなのに変に連携とれてました。
雉「ゆっくり!焦らしながらカードを見せるんですよバズっ太郎さん!」
雉も乗り気でした。
バズっ太郎「うん、で、では…」
袋のカードを1枚ずつ見せるバズっ太郎
そして、最後の1枚をカメラと皆に見せつけます。
少年・犬・雉「うぉぉぉおぉぉ!」
歓声にわく一同。見ると、バズっ太郎の最後の1枚は金箔があって、明らかに他の絵札よりも豪華で綺麗でした。
描かれてるイラストでは呆けてる顔から出る鼻水やよだれすらキラキラしてます。
つくづく度しがたいとバズっ太郎は思いつつも
犬「凄い!激レア絵札ですよ!やばー!これ、マニアの間では高額で取引されてる人気キャラですよ!持ちすぎですよバズっ太郎さぁぁん!」
雉「すごーい!」
少年「はぁぁ…すごいなぁ…こんなことって…うそぉ…」
三者三様のリアクションを見つつ、バズっ太郎は、カメラに向かって
バズっ太郎「よっしゃぁぁ!どうだぁぁ!やったぞ!おりゃあ!」
としっかりリアクションを取って、動画のオチとして締めました。
バズっ太郎「ふぅ、お疲れ様。雉、もうカメラは止めた?」
雉「えーと?止め方どうやるんでしたっけ?」
犬「貸せこの鳥頭」
わちゃわちゃやりつつ、とりあえずカメラも止めて撮影は完了です。
少年「お兄ちゃん!僕にも、もう一度よく、絵札見せて!」
バズっ太郎「うん、どうぞ。」
少年は食い入るように絵札を見ます。
バズっ太郎には全くわかりませんが、少年にとってはかっこよくて素晴らしい絵札なのでしょう。
少年は、最後にふぅとため息をつき、
少年「ありがとう。お兄ちゃん。」
カードをバズっ太郎に差し出しました。
それを見てバズっ太郎は、
バズっ太郎「うん。でも、そのカードは君に返すよ。」
少年「え!?」
犬・雉「…」
驚く少年と、無言の2匹。犬は名残惜しそうですが、バズっ太郎がそう言うだろう事を予見してたのでしょう。
少年「で、でも…」
バズっ太郎「そのカードはもともと君のお小遣いで買ったものだし。僕らはそれでいい動画が撮影できたからね。十分だよ。それに、残念ながら僕は呆け者絵札にあまり興味なくてね…大切にしてくれる人がもってたほうがいいと思うんだよ。」
少年はバズっ太郎の言葉をあわあわと聞きつつ
少年「ありがとうございます!」
顔一杯の笑顔で答えました。
少年を家まで送る間、少年は嬉しさで、非常に饒舌になってました。この絵札のキャラがいかにかっこよく、どれだけ強いかを話して、友達といつもこの絵札でよく遊んでることや、初めて激レア絵札と呼ばれるものを手に入れた喜びを語ってました。
しかし、流石に語り尽くしたのか、後半はずっと、黙ってカードを見つめながらバズっ太郎達と家に帰宅しました。
少年の家にいくと、少年の母親がいて、事情を聞いて非常に感謝されました。
最終的に、どうか、ぜひにと、日持ちのする食材や芋をわけて貰い、バズっ太郎は自転車の荷台にこんもりとお土産をもらいながら、少年の家を後にしました。
バズっ太郎「はは、結局軟膏がすごい量のご飯と交換になったな。しばらくはキャンプの飯にも困らないぞ。」
犬「めちゃくちゃかさばってますよ。できれば少しは市場でお金に変えれないですかねー。」
雉「あ、果物ある!これ私の!」
思い思いに話してると、後ろから先程の少年が追いかけてきました。
少年「待って!バズっ太郎さーん!」
バズっ太郎が驚きつつ、足を止めると
少年「これを、持っていってほしいんだ。」
そういって、少年が差し出したのは先程の呆け者絵札でした。しかし、透明な板に入れられて四隅をしっかり封されてました。これなら、簡単には汚れたり折れ曲がったりすることもないよう保護されてました。
バズっ太郎「こ、これはさっきのいい絵札じゃないか。珍しくて、強いやつなんだろ?」
少年「うん。でも、これは、僕がお兄ちゃんにあげたものだから。お兄ちゃんが、ちゃんと選んだ袋から出たやつ、だから。」
走って追いかけてきての息切れか、興奮してるのか、その両方か、少年は途切れ途切れに、しかしはっきりと答えました。
バズっ太郎「だ、だけど…」
少年「帰り道ね。お兄ちゃんがカードをくれて、すごく嬉しかった。とってもテンション上がった。今日はいい日だなって、思い返したんだ、でも、そしたら、なんかモヤモヤしたんだ。」
バズっ太郎「もやもや?」
少年「転んで、泣いてるところを助けてもらって、動画にも出してもらって、バズっ太郎さんに激レア絵札出してもらって…僕は、今日バズっ太郎さんからもらってばっかりだった。」
バズっ太郎「いや、それは…」
袋の中身が変わるわけもないのだから、誰が開けてもレア絵札は出たよと言おうとしたが、おもわず少年の目に見据えられて言葉を飲み込むバズっ太郎
少年「バズっ太郎さんに袋をあげるって決めたのは僕なんだ。なのに、激レアが出たからって、それを返してもらったら、なんか、僕、なんていったらいいかわからないけど、すごくカッコ悪いやつになると思うんだ!」
少年「だから、この絵札はバズっ太郎さんにあげる。僕が決めたことだから、受け取ってほしいんだ。このケースに入れてれば、鞄に入れてても汚れないし、折れ曲がったりもしないから、お兄ちゃんが呆け者絵札に興味なくても大丈夫だから。」
バズっ太郎「…わかった。ありがたく受け取るよ。でも、友達からもらった、大切な思い出の品だから、ちゃんと大切にするよ。ありがとう。」
そうして、バズっ太郎と少年は今度こそ別れました。
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少年と別れて道を歩く一行。
犬「いやー、あの少年、よかったですね。僕、隣で泣きそうでした。」
雉「あの子は気骨のある男になるわねー。将来が楽しみだわ。」
犬「絶対その頃にはお前忘れてそうだけどな。」
軽口を言い合う2匹を眺めながら、バズっ太郎も少年を思い返してました。
転んで、泣いて、動画に出たがって、絵札に魅了されて、あの少年はどこにでもいる普通の子供でした。
バズっ太郎が絵札を返したとき、確かに喜んで受け取っていました。
しかし、そこからの帰り道で、誰に言われるでもなく、少年は自分の自尊心と向き合って、自分で決断してバズっ太郎を追いかけてきたのです。
あの時、確かに少年がこの短時間で成長した瞬間を目の当たりにしました。
バズっ太郎は、そこに驚きと、それに立ち会えた喜びを確かに感じました。これは、バズっ太郎にとっても間違いなく初めての経験で、感情です。
しかし、それをなぜか感じたことのあるように既視感も覚えていました。
なぜだろうと、想いを馳せていると
猿「こんにちはー。そこの人、お困りではありませんかー?猫の手よりも、猿の手、便利ですよー!どんな願いも叶えてお手伝いいたします!」
と、見覚えのある猿が声をかけてきました。
バズっ太郎・犬・雉「あ」
猿「あ」
思わぬ再会にお互いに驚きながら一体今度は何をやってるのかとバズっ太郎は猿に尋ねます。
猿「企画ですよ!猿の手貸します!って企画。困ってる人のお手伝いして願いを叶える手伝いしていくって企画です。」
バズっ太郎「おぉ。すごい立派な企画じゃないか。でも、交換企画はもういいのか?」
猿「あのね。干からびたミミズを欲しがるやつなんかいるわけないでしょ!気持ち悪いもの見せるなとめちゃくちゃ怒られましたよ!もうあんなのおやつに食べちゃいました!」
釣りの餌にはなるけど、そりゃあ山や街中を歩く人が欲しがる道理もないかと納得のバズっ太郎。
バズっ太郎「それで今度は人助けの企画か。いいじゃないか。」
犬「いーや、騙されちゃダメですよバズっ太郎さん。」
またもや犬が語ります。
犬「こいつのは、人助け企画じゃなくて『猿の手企画』です。他人の願いや依頼を聞いて、それを叶える手伝いをする、ただし依頼主の望まぬ形で叶える
ってやつです。」
バズっ太郎「どういうことだ?」
犬「部屋をきれいに掃除したいって依頼されたとしますよね。そしたら、あらゆるものを一切合切捨てて、綺麗さっぱり物をなくしてしまう。とか、好きな人と付き合いたいって依頼を受けたら、セッティングをするんです、ただしセッティングされた会場にいくと、それはお見合いや合コンのセッティングではなくて、ボクシングのリングの上で、互いにどつきあいをするという具合です。」
雉「もともとは、依頼人も依頼を引き受ける猿も、第3者も全員グルのコント的な企画だったのよね。」
犬「そう。依頼内容と達成内容のギャップを笑うコント。だけど、それを勘違いした馬鹿な過激派が、本気の依頼を茶化すだけの迷惑系にしたんだよ。」
雉「最後は依頼も受けてないのに、子供を亡くして悲しんでる家族に、子供と再会させてあげましょーなんていって、その子のお面かぶって突撃したクズ共がいて大炎上したのよね。警察まで呼ばれて、胸くそ悪くて鳥頭の私でも覚えてるわ。」
犬「健全にやるなら、こいつみたいな1人の活動者にはとうていできない企画なんですよ。」
バズっ太郎「うーん…」
怪訝な目で猿を見ると、猿はあっさり白状しました。
猿「うわーん!仕方ないだろ!交換企画はうまく行かないし!だったら次のうまく行ったことのある企画を猿真似しようとしただけなんだよ!」
雉「あんたねぇ…猿真似でなんでもうまく行くわけないでしょ…」
猿「やってみなきゃわかるもんか!じゃあ、交換企画に再挑戦だ!なぁ!あの柿の種返してくれよ!ミミズが欲しいならその辺で取ってくるからさ!」
バズっ太郎「いや、それがあの柿の種はもうないんだ。」
犬「この食料と、激レア絵札になっちまいましたからね♪」
猿「は?え?その荷台の食い物ってこと?柿の種が?どういうこと?」
信じがたいと混乱する猿にバズっ太郎達はこれまでの事を話しました。
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猿「うわぁぁぁ!なんだよそれぇぇぇ!それなんだよ!おいらがやりたかったのはぁぁ!なんでオイラが干からびたミミズを食んでる間に、あんたの方がそんなうまいことやってんだよぉぉぉ!」
バズっ太郎「ま、まぁこういうのは運と巡り合わせだし…」
犬「人徳の差か」
雉「日頃の行いね」
猿「よし、じゃあこのまま追跡企画に切り替えさせてくれよ!食料はもちろん、激レア絵札なんてまだまだ大化けしそあな予感がプンプンするぜ!」
バズっ太郎「いや、この絵札は友人から譲り受けた大切な物だ。これ以上、何かと交換するつもりはない。この食料も友人の親からの心からのご厚意だ。換金やかさばりを消化するためならともかく、少なくとも動画のネタとしては消費しない。」
猿「そ、そんなぁ…」
犬「なぁ、お前の企画、猿真似ばっかりじゃん。何か、お前自身が本当にやりたいこととかないのかよ。」
猿「そんなこといったって、上手くいったことのある企画をやるのが一番確実じゃん。あんた達も配信活動してるならわかるだろ?」
バズっ太郎「そうだな。話題になったものを取り入れるのは有効だ。私のチャンネルも、私の親のチャンネルも、ベースは過去のものを模倣してるものが多々ある。」
おじいさんやおばあさんのアウトドア動画やバズっ太郎の子育て動画も、別に特段珍しい内容ではなかった。
そう口にして、バズっ太郎は気づきます。
そう、おじいさん、おばあさんの、自分の子育て動画はどこにでもある内容でした。『バズっ太郎という、特異な出生と特徴を持つ存在の子育て』でありながら、チャンネルの動画は全て、成長の喜びとバズっ太郎をただ誇らしく紹介する2人でした。
バズっ太郎が初めて歩いた様子と、それに喜ぶおじいさん達の様子が撮影されてるだけでした。生後3日で歩いたことにおじいさん達は一切言及していません。
おじいさん、とおばあさん、どっちを先に発音してくれるかを競う動画、おばいさん、と語ったバズっ太郎に2人で笑い合う様子が取られていて、生後1ヶ月で言葉を話した事を誇る事はありませんでした。
1年で言葉がわかり、わんぱくざかりだったバズっ太郎、勝手におじいさんのアウトドアグッズをいたずらして、腕に大怪我を負いました。2人とも、全てを放り出して自分の手当てと、医者に連れていき、痛みと不安に泣くバズっ太郎な、つきっきりでいてくれました。
その時期は動画の更新が完全に途絶えています。医者が、後遺症が残るかもと心配した大怪我、そんな怪我が2週間で完治したバズっ太郎を撮影もせず、怪我したことも完治したことも動画では一切振れることは全くありませんでした。
退院後、おじいさんに初めてぶたれ、優しいおばあさんに、ガッツリと怒られて、初めてバズっ太郎は自分がとても悪いことをしたのだと教えられました。
後日、アウトドアグッズに興味があるのかとおじいさんが尋ねてきて、しかし、それは悪いことなのだと思ったバズっ太郎が答えに悩んでいると、おじいさんは、それは悪いことではない、でも1人前とワシが認めるまで、絶対に1人で使うな。それを約束して、バズっ太郎の体や手のサイズにあった、色々な特注の道具を買ったり、時にはおじいさんの手作りで用意してくれました。
そうして、おじいさんから色々な道具の使い方を教わる様子の動画は人気コンテンツにもなったし、バズっ太郎自身も好きなシリーズです。
子供の体格でも、3年たった頃には大人以上の力で道具を扱えたけど、そんな事は動画では匂わさず、むしろ、それがばれないようにさえしていました。
バズっ太郎と、おじいさんと、おばあさん。
その生活には動画の配信活動が根付いていたのは間違いありません。
歪な部分もありました。バズっ太郎がダサいと思ってても、案件動画の作業服PRのためだと、カッコいいね最高だよと嘘をつかされることもありました。
おばあさんのソロ釣り動画だけど、あまりに大物だったときは、バズっ太郎がこっそりタモや引き上げを手伝ったこともありました。
でも、それでも一番大切なところは護り、愛情で繋がっていたのです。
だから、バズっ太郎はおじいさんとおばあさんの動画が大好きなのだと、アルバムのようなものとさえ断言できるほど大切なんだと気づきました。
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バズっ太郎「なぁ、猿。僕たち配信者は、確かに嘘も妥協も欺瞞もあるよ。好きな事だけじゃ食っていけない現実はあるよ。でもさ、それでも、だからこそ最初の一歩は自分がやりたくて、自分が誇らしいと思える道を選ぶべきだと思うんだ。」
異常な存在の自分を我が子として誇ってくれたおじいさん、おばあさんのように。
自分に激レア絵札を託してくれたあの少年のように。
猿「…オイラに見つけられるでしょうか…」
バズっ太郎「できるさ。今日一日で、2つの企画に挑戦しようとするその行動力とフットワークの軽さは、なかなか、さるものだと思うよ?」
そうバズっ太郎が笑いました。
そう言われた猿は、感動したような、考え込むような、そして何かを決意したように表情をコロコロと変えて、
しばらくするとバズっ太郎と向き合いました。
猿「バズっ太郎さん!」
猿は突然、正座し、拳を地面に突き立てました。
猿「オイラ、色々と未熟で間違ってました!つきましては、性根から鍛え、学び直したく思います!どうか、オイラを弟子にしていただけないでしょうか!荷物持ちでも、靴磨きでも、雑用でもなんでもやります!」
犬・雉「おぉ、便利そうですよ!いいじゃないですか!」
バズっ太郎「あいにく、弟子なんて抱えられるほど教えられることなんてないよ。弟子なんていらない。でも、一緒に旅するお供ならいいよ。」
猿「ありがとうございます!お供!いいですね!心から感謝です!」
犬・雉「えぇ~、厄介そうですよ?やめた方がいいんじゃないですか?」
犬、雉がブーブー言ってるのをBGMにしつつ、
バズっ太郎「じゃあ、改めてよろしくね猿。そうだ、柿の種はもうないけれど…」
そういって腰に手を伸ばすバズっ太郎
猿「はい!お腰につけたKB-DAN-5で、ぜひフォローをお願いします!」
こうして猿が仲間になりました。お調子者な愉快なやつです。
猿「オイラ、これから自分を見つける為に、どんどんアイデア考えますね!バズっ太郎さんには、ぜひそのアイデアを聞いてもらって、ご意見伺いたいっす!」
犬「どーせ猿真似じゃないのか。」
雉「『おさるの情事』ってタイトルでR18企画はどうかしら。」
やいのやいのとヤジを飛ばす犬と雉を横目に
猿「そうだ!思い付きましたよ!」
言うが早い、猿はパパッと花を摘んで、手際よく冠をつくりあげます。
その花冠をバズっ太郎に被せて、
猿「犬と雉のお供はやめて、豚と河童に変えませんか!」
天高く、猿が犬と雉に蹴り飛ばされました。その様子を眺めて、雲に乗って戻ってきたら大したものだなぁと思いながら、バズっ太郎は3匹のお供と旅を続けるのでした。
ご覧いただきありがとうございました。
私もポケモンカードプレーヤーなんですが、イベントでは未だに勝ち星あげたことがありません。
最近は、購入するのも難しくて作品の少年は、自分でかいておきながら羨ましかったです。
私だったら少年と同じ状況だったら、まずカードは返そうと思えないと思います(カッコ悪い大人感)




