70話
あのあと、もう一度お香を使ってシャボンクラブを集めた。
さっきと同じように陣地を維持して、迎え撃つ。
特に問題もなく、戦闘は終わった。
「ふぅ……」
軽く息を吐く。
周囲を見渡して、取りこぼしがないか確認。
……うん、大丈夫。
それから後ろを見ると――
「……あれ?」
ひよりちゃんと、るなちゃんが地面に座り込んでいた。
ぐったりしている。
肩で息をしていて、顔も真っ赤だ。
(あれ、もしかして……きつかった?)
自分としては、いつも通りの周回だった。
でも、よく考えれば。
2人はこういう戦い方、初めてなんだっけ。
「大丈夫?」
近づいて声をかけると、
「……大丈夫じゃない……」
「むり……」
即答だった。
(そ、そっか……)
少しだけ反省する。
ちょっとペースが早かったかもしれない。
とりあえず、先にドロップ品を回収する。
シャボンクラブの甲殻や素材を手際よく集めていく。
全部回収し終えてから、2人のところへ戻る。
「帰ろっか」
そう言うと、2人は小さく頷いた。
ギルドで換金と依頼報酬の受け取りを済ませる。
今回の分を計算して――
「えっと、これを3人で等分で――」
そう言って分けようとしたら、
「いやいやいや!」
「それは無理!」
2人に全力で止められた。
「でも、一緒に戦ったし……」
「いや、ほぼ何もしてないから!」
「ほんとそれ!」
すごい勢いで否定される。
(そんなことないと思うんだけど……)
ひよりちゃんは前でちゃんと攻撃してたし、
るなちゃんも後ろから援護してくれていた。
でも――
「受け取れないってば!」
「ほんとにいいから!」
どうしても引いてくれない。
(うーん……)
少し考えてから、
「じゃあ……ほんの少しだけ」
そう言って、最低限の金額だけ渡した。
それもかなり渋られたけど、なんとか受け取ってもらえた。
(遠慮しなくていいのに……)
ちょっと不思議に思いながらも、無理強いはしないことにした。
そのあとは、今後の話。
……になるはずだったけど。
2人とも、完全に限界だった。
「ごめん……今日はもう無理……」
「頭回らない……」
ふらふらしている。
(あ、これはダメだ)
「じゃあ、また今度ゆっくり話そっか」
そう言うと、2人はほっとした顔をした。
その日は、そのまま解散。
家に帰る道すがら。
(……チーム、かぁ)
今までは、ずっと一人だった。
兎見丸たちはいるけど、“人”の仲間はいなかった。
でも。
ひよりちゃんと、るなちゃん。
2人とも、すごく頑張ってた。
戦い方もちゃんと考えてたし、諦めなかった。
(……一緒にやったら、楽しそう)
自然と、少しだけ頬が緩む。
(チーム、できるかも)
そんなことを考えながら、家に帰った。
数日後。
「チームに入れてください!」
「お願いします!」
ひよりちゃんと、るなちゃんが改めて頭を下げてきた。
(わ……)
ちょっとびっくりする。
でも、すぐに頷いた。
「うん、いいよ」
むしろ、嬉しかった。
それから、3人で色々話し合って――
チーム名を決めることになった。
正直、なくてもいいと思ってたんだけど。
「せっかくだし必要でしょ!」
「名前あった方がそれっぽいし!」
2人がすごく乗り気だった。
(そういうものなのかな……?)
いくつか案が出て――
最終的に決まったのが。
「【兎さんと愉快な仲間たち】!」
「これで決定ね!」
「かわいいでしょ!」
(……え?)
一瞬、固まる。
(それ、私メインじゃない……?)
というか。
(愉快な仲間たちって……)
なんとなく、雑なくくりな気がする。
「……それでいいの?」
一応聞いてみたけど、
「いいの!」
「むしろそれがいい!」
2人とも満面の笑みだった。
(そ、そっか……)
そこまで言うなら、いいのかな。
「じゃあ……それで」
こうして。
少し変わった名前のチームが、できた。




