↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女になりたくない魔法使い  作者: 甘塩
パルメ地方編
PR
54/75

第54話 暗闇に潜む赤 前編

 シャワーを浴びて、ベッドに寝っ転がってまったりした時間を過ごす。今日もいろいろあったなー…。明日は何があるかな〜、でもそろそろ街の観光とかしたいな〜。今度の休みはアリシアさんと街をぶらぶら歩くのも良いかもな〜。……なんてことを思いながら窓の外を眺める。部屋の階数が高いのと、正面に高い建物が無いので、展望が素晴らしく、実に都会的な景色が広がっている。

 しばらくボーッと眺めてても意外と飽きない。灯りが建物を温かく照らし、夜空とのコントラストが目に映える。―――その時、箒に乗った魔女が一人横切るのが見えた。全身が黒に染まる中、三角帽子から覗く髪が灯りに照らされて赤く映えた。


「なっ…!?」


 次の瞬間、私は反射的に窓を開けて身を乗り出し、箒を発現させて勢いよく外へと飛び出した。今のは……まさか……ルージュ?

 私はルージュが飛んでいった方向へ目を向ける。まだ後ろ姿を確認できる。すぐさま見失わないように追跡を始めた。

 ルージュはまだ私に気づいていないようで、そのまままっすぐ飛び続けている。こんな大きな街にやってきて何を企んでいるのか。…まさか、魔獣でこの街を襲おうとしているのか…?

 私は様々な憶測を頭に浮かべつつ、ルージュの動きを注視する。あの時は幾つもの罠を用意していたり、光魔法で私たちを欺いたりしたし、ここで素直に捕まえられる相手じゃない。ましてこんな街中で戦闘になってはかなり危険だ。…だからなるべくバレないように追跡しないと―――と、思った次の瞬間、私の箒が止まってしまったのだ。これは引き寄せ魔法だ…!と、ハッとして後ろを振り返った途端、私の目の前にルージュがいた。


「あらら〜、こんなところに迷い猫?」

「ルージュ…!」


 ルージュは涼しげな笑みを浮かべつつも、私の箒を手放さない。…やられた。私が追っていたのはルージュの幻影だったのだ。


「また逢えて嬉しい?」

「なわけあるか…!」


 私は瞬時に杖を発現させて、私の箒を掴むルージュの手に向けた。…次の瞬間、ルージュの手を箒から引き離して、そのまま彼女の箒と体ごと吹き飛ばした。しかし、ルージュの体はすぐにブレーキがかかってピタリと止まった。


「さすが〜、魔力強いねぇ」


 口では褒めてるのか知らないけど、顔は明らかにバカにしている。…ムカッとするけど、まずは冷静に情報を聞き出さないと。


「こんな街中で何企んでるの?魔獣で街を襲う気?」


 私が睨みを利かせながら問いかけると、ルージュは手を横にワタワタとしなるように振って否定した。


「いやいやぁ、違うよぉ。…でもぉ、例えばここであたしとキミが激しく戦ったら…ここらへんは火の海かもね〜?」

「物騒なこと言うじゃん。そんなことしようもんなら、私は街に被害が出ないようにしつつ、あんたを捕まえるけど」


 私はビシッと腕を伸ばして杖をルージュに向ける。本当にできるかはわからないけど、牽制するにはこれくらい大口叩いておいた方がいい。

 …すると、ルージュはやる気のない拍手を私に送った。


「さすがさすが〜。それができたらヒーローだねぇ。一躍有名になっちゃうかも」


 相変わらず間延びした口調だけど、ルージュの目は私を品定めするかのように鋭くて冷たかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。