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魔女になりたくない魔法使い  作者: 甘塩
パルメ地方編
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53/75

第53話 等身大な二人

 浜辺で抱き合う二人という光景は、もう恋人のそれである。周りに目撃者がいたら恥ずかしいけど、とりあえずいなそうで安心した。

 立ったまま抱きつかれたのは意外と初めてだったかな…。アリシアさんの方が背が高いから、アリシアさんが少し屈んで抱き合う形になる。改めて思ったけど、アリシアさんは美しい上にスタイルも良い。非の打ち所がないというか、理想な女性は?と聞かれたら即座にアリシアさんと答える自信がある。

 体が離れた後に、私はアリシアさんをマジマジと見ると、小さくため息をついた。


「アリシアさんは綺麗でスタイルも良くて羨ましいです。私なんて背が低いですし」

「シエルさんはとにかくかわいいですし、背は少し低めですけど、胸は普通にあるじゃないですか」


 アリシアさんはニコニコ笑顔で平然とセクハラ発言をした。いや…女同士ではあるけど!


「あ、アリシアさん!なんかどんどん過激になってません!?リヒトが居た時はセーブしてたような気がしますけど、むしろ今その反動が来てるような…!」

「あっ…!す、すみません…!つい…」


 冷や汗を垂らす私に、アリシアさんは我に返ったようにハッとする。


「頭を冷やしますね…!シエルさん、私に氷魔法を…!」

「いやいや…!危ないですって!」

「では…、海の水で顔を洗って来ます…!」

「塩でベタベタになりますよ!?」


 アリシアさんのIQが急激に下がってしまった…。…さっきまであんなに心に響くこと言ってたのに、急に絶対そんなこと言わなそうな天然系に様変わりするのが飽きないというか危なっかしいというか…。でも、私もそんなアリシアさんが大好きなのである。


 長い休憩を終えた私たちは支部へと戻る。私は早速、あの書類判別魔法陣をエルザさんの前で披露する。


「えっ!すごいっ!こんな使い方があるなんて!」


 凄く感激してくれた。汎用性の高い効果なので、どんどん使って広めてほしいと思う。その後は、エルザさんからどの魔法陣の発展形なのかとか、こういう形はどうかとかそんな会話を一時間くらいしていた。さらに、エルザさんは自身の魔法学校時代のことも教えてくれた。


「魔法学校の時は落ちこぼれだったのよ。特に制御が下手くそで、よく間違えて先生に魔法浴びせちゃったりして怒られてた。でも、毎日遅くまで勉強したり特訓して、卒業の時はなんとか次席までいったの」


 エルザさんも努力してきた人なのか。しかも今は魔法省のマネージャーなんだから、魔法省に入ってからはもっと努力してきたんだろうし…、リヒトもそうだけど、努力してきた人は強い。


「でもシエルさんは発想力とセンスが凄いわ。魔法陣はそういうのが凄く大事よね」

「えへへ、そうですかね」


 私は頭をさすってデレデレする。確かに、魔法陣はアイデア次第でいろんなことができるし、最近では自分でも結構描くの好きかもと思ったり。そしてそれを人に教えて、活用してくれると嬉しくなる。…リヒトも私が教えた魔法陣を活用してくれてるかな。


 この日はなんだかんだで時間が過ぎて、あっという間に夜になった。アリシアさんは今晩から寮に住むということで、私は一人宿へと向かう。別れ際にアリシアさんから一緒に寮に来ないかと熱烈な勧誘を受けたけど、やんわりと断ったら寂しそうだった。…たまには行っても良いかもしれない。

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