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魔女になりたくない魔法使い  作者: 甘塩
パルメ地方編
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47/51

第47話 船着場にて 後編

 船着場に無事着岸した船。…からいの一番に飛び出したのはお客ではなく船頭で、大股で船着場に足を付くと、そのまま勢いよく走ってきて私にお礼を言いにきた。


「魔女様っ!先ほどはありがとうございましたっ!」

「あっ…!そんな畏まらずに…!あと…私は魔女じゃないです…。こっちの方は魔女ですけど」


 私は咄嗟にアリシアさんに目を向ける。こちらは帽子被ってますから正真正銘魔女ですよ。


「いやいや…!あなたも魔女様みたいに助けてくださいましたので魔女様ですっ!」

「ほへ〜〜…」


 私は謎理論に返事できずに思考を諦める。もはや正式に魔女かどうかは関係ないようだ…。それは困った…。


「魔女様っ!何をご所望でしょうか!?カエルですか?やっぱりカエルなんですか!?」


 …童謡の読み過ぎですね。…っていうかエネルギーが凄い。やっぱり体力使う仕事だからだろうか。


「いえいえ、お礼とか何もいらないですよ。それより、私と同じくらいですかね?おいくつなんですか?」


 早いところ話を終わらせたかったので、無理やり話題を切り替える。


「17です!」


 ドンピシャだった。


「私と同い年ですね」

「そうなんですか!?同い年でもう魔女になられてるなんて…!凄い…!」

「いや…なんで魔女じゃなくて…」


 問答無用で魔女判定されていることに困っていると、後ろからお客の一人であるおじさんが声をかけてきた。


「魔女さん達ありがとね。干物食べる?」


 そう聞いてきて、近くの干し網から魚を二匹手に取って差し出してきた。ひょっ!?魚の干物…!?…初めてだ。…どんな味なんだろう…。


「良いんですか!?いただきます!」


 そう言って嬉しそうに受け取ったのはなんとアリシアさん。私が驚いて目を向けた時には既にもしゃもしゃ食べていた。


「美味しいです!味がしっかりしてますね!」

「だろ?干物も鮮度が重要なんだよ」


 アリシアさんの反応におじさんは調子良くなっている。…凄いアリシアさん。漁村の人とも仲良くできるとは…。


 その後、気前の良いおじさんが私達を家に上がらせてくれた。船頭のフーゴーさんもおじさんに呼ばれて入ってきた。


「魔法省の人か!いやいや、お世話になってるよ!ありがとね」


 おじさんがご機嫌な声色でお礼を言う。エルザさんが言ってた、魔法省の人が島の人を乗せて行き来してる件か。そうそう、この島に来た目的はそこらへんの話を聞くためだ。


「実は私達は昨日パルメ地方に来たばかりでして、現状あまりこの地方のことをよく知らないんです。良ければ詳しく教えて頂けませんか?」


 アリシアさんが丁寧な口調で話を窺う。さすがアリシアさん、優しい声色できちんと聞きたいことを聞くスタイルである。


「そうなのか。フーゴー、おまえさっきからだんまりだな。説明しな!」

「うげっ…、キラーパスかよおじさん」


 フーゴーさんは嫌そうな顔をするが、おじさんは構わずハハハと笑っている。…大変そうだと、私が同情の目を向けると、フーゴーさんが少し恥ずかしそうに話し出した。


「まぁ、見ての通り、俺みたいなのが船頭やってるくらいだから、人手が居ないんですよ…。そもそも人も少ないし。船を漕ぐのは結構力使うんで、おじさんみたいに年齢高いとたまに体壊して大変なんです」


 そう言った途端、おじさんがハハハと笑いながらフーゴーさんの頭をパシンと叩いた。……。

 フーゴーさんは痛そうに頭をさすりつつ口を尖らせる。


「そんな顔すんな!まぁ若いので喋ってな!」


 おじさんハハハと笑いながら奥へと行ってしまった。


「あぁ言ってるけど、マジで一回靭帯切ってますからねあの人」


 えぇ…!?靭帯…?聞いただけで痛い…。

 …それにしても、ホントに人が居ないんだな。でも、ちゃんとフーゴーさんは私と同い年ながら役目を全うしている。今はちょっとぎこちないかもしれないけど、それは慣れれば大丈夫だし、自分がやらなきゃというのが伝わってきた。…そんなフーゴーさんを、私は凄いと思った。

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