選ばれた人間(バーナム効果)
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨してた。
時期は夏。
夏休みによって大変便利であった魔術学校の図書室が使えなくなり、魔術の研究をどうするかと考えてた結果、共同で屋敷を買うことにした。
そして屋敷の魔具を見ている途中、カイバさんから”特別な人間”と言う厨二の心が躍る単語が出てきた。
「流石・・・・・・選ばれた者ですね。」
「は?」
よくわからん。
あれか、中学生とかによくある”選ばれた者”みたいな厨の二の病気なやつか狂人の言葉。
・・・・・・いや違う。
確かに俺は選ばれた人間ではある。
「ちょっと言っている意味がよくわかりません。」
「そうでしたか。申し訳ございません」
「ですがあなたも心当たりはありませんか?自分は特別な人間だと思うようなことが。」
「良くあるやつですね。そういわれると誰もが自分が特別なのかと思うんですよ」
「運で、偶然何かがあったことを”自分が特別な人間だから”と捕らえるというものです。」
「確かに。言われてみればそうですね。」
よくわからないことを言っているが納得してくれたようだ。
「ならば質問を変えてみましょう。」
納得してくれていないようだ。
「あなたは過去に”ありえない”と思うほどに特別扱いされたことがありませんか?」
まーたバーナム効果(誰でも該当するような曖昧質問をして、自分がそうだと思わせること)か。
まあ確かに?メリッサ師匠の弟子にしてもらったり?学園長に話しかけられたり?アグラに助けを求められたりしたけども。
メリッサ師匠は元々から弟子が欲しそうだったり、学園長はアリシャを倒した俺が気になっていたのだろうし、アグラに助けを求められたのは神託による必然だ。
「例えば・・・・・・二つ名持ちの魔術師や近衛騎士に特別扱いしてもらったり。」
やけに具体的に聞くな。
二つ名持ちや近衛騎士に接点のある人間なんていないからバーナム効果を期待できないだろ。
そもそも俺が学園長の弟子だってみんな知って・・・・・・いや、知らないな。
学園長と仲のよさそうながりがりの男ですら弟子がいるということを知っていたぐらいだ。
俺の持っている弟子の証明書を見せなければ”流水の魔術師に弟子がいるらしい”ぐらいの認識だろう。
しかしこいつは中々に怪しいやつだ。
もしかしたら情報を集め、俺が学園長の弟子ということを知っている可能性がある。
「いや。特に心当たりは無いですね。」
「そうでしたか・・・・・・申し訳ございません」
「また特別な人間を見つけたと・・・・・・興奮してしまいました。」
「よくわかりませんが、あまりそういうことを言うと本気にする人がいるかもなので気を付けてくださいね」
「ちなみにですが、またと言いましたが他にも特別な人間というのはいるんですか?」
面白そうなので乗ってみることにする。
「キーダ家のご子息。カノン様ですね。」
瞬間鳥肌が立つ。
偶然だろうか。何故こうピンポイントに転生者を言い当てるんだ?
・・・・・・冷静になれ。
”あの光の一族と同じ扱い”として興奮させようとしてるのかもしれな。
大丈夫だ。ここで取り乱して無駄に情報を吐くようなことは絶対にあってはいけない。
「ああそうだ。殺害されたここのご子息も特別な人間な感じがしましたね。」
「そういえば事故物件でしたね。殺人なんですか?」
「十四年ほど前に殺人事件が起き、それ以降は誰も住まなくなったんですよね・・・・・・私の知り合いだっただけに当時はとても悲しかったです。」
「そりゃ中々に悲しい事件だ。」
治安は良い国ゆえ、そういう事件を聞くのは珍しい。
「ちなみに殺害された、当時の赤子が特別な人間でしたよ。」
「俺が赤子の時か。」
14年前なんてそんなこと言われても俺はしら・・・・・・いや、少し心当たりがあるな。
「一応聞きますが、殺された一家の苗字は?」
「ザンシですよ。」
瞬間冷や汗が出る。
サラブレッド・ザンシ。恐らくは転生者だった人間だ。
俺、カノン、そしてサラブレッド。
転生者3人をピンポイントで当てている。
これは狂人の言葉なんかじゃない。本当に何かを感じ取っているんだ。
「・・・・・・ちなみにですが、他にも特別な人間というのはいるのか?」
「いえ、特におりませんね。」
「そうですか・・・・・・。」
ここで更なる情報を得られれば大きかったが仕方ない。
「何か心当たりでも?」
「・・・・・・まあちょっとですね。」
さてどうしたものか。
「他に特別な人間というものがいたら、自分に連絡お願いします。」
「分かりました・・・・・・が、教えてもらって大丈夫ですか?」
「特別な人間とは一体何なんですか?」
「驚いた・・・・・・いえ、驚きました」
「あなたは判別がつくのに何者かを理解していないんですね。」
転生者を見分けれるような人間がいたとしても、その者に転生者という知識が無ければ何者かが分からないというのはありがたい。
「今は具体的なことは言えません・・・・・・」
「ただ。俺達は強大な使命に向けて、大量なんて桁じゃないほどの命を救うために動いています。」
「・・・・・・ほお。嘘はついていないようですね。」
「そう思ってくれるとありがたい・・・・・・そしてできる範囲であれば協力してほしい。」
「分かりました。」
「・・・・・・疑わなくていいのか?」
「アルトお嬢様ほどではありませんが、私は嘘を見抜くのは得意ですからね」
「それにアルトお嬢様が主として認めた方です。信じない方が失礼かと。」
「話が早くて助かります。」
中々に話の早い爺さんだ。
こういう人が部下にいるとまとめ役として便利そうではある・・・・・・が、超年上の人を部下に誘うってタイミング無さそうで困る。
「もちろん、私が協力できる範囲のことですけどね。」
そうして新たに権力を手に入れた。
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