アドミニストレータ
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨してた。
時期は夏。
夏休みによって大変便利であった魔術学校の図書室が使えなくなり、魔術の研究をどうするかと考えてた結果、共同で屋敷を買うことにした。
カイバさんと話してから少しし、俺たちは応接間のような場所で休憩をしていた。
ちなみに俺とアルトが立っており、アリシャとアグラ、そしてカイバは座っている。
状態保存の効果があるので表面をはらえば問題は無いそようだ。
だが、魔術師であると同時に現代っ子でもある俺は清潔だろうが長年放置されたソファーに座りたくない。
まあ座れなくはないんだけども、極力座りたくないってあるじゃん?。
アリシャ達はハンカチを敷いて座っているが、残念ながら俺はハンカチを持っていないので座れない。
「アルトもハ・・・・・・手持ち布を持っていないんだな。」
「手巾のことかな?私も持っているぞ。」
「あれ?じゃあなんで座らないんだ?」
「いやいや。主君が立っているのに吸われるわけなかろう。」
「そういえばそうでした!」
そう言ってアグラが立ち上がる。
「そういえばそうだったな。」
完全に部下ということを忘れていた。
「てか前にお前割と失礼なこと言った気がするけど。」
「あれは愛のある弄りというものだ」
「それはそれ、これはこれ。きちんと上下の立場というものははっきりとさせておく必要がある。」
「必要があります!もしないなら僕の手巾に座ってもらっても大丈夫ですよ!」
「忘れていた癖に何を言っているんだか」
「まあ埃を払えば問題ないだろ。」
そう言って埃を払っていたソファーに座る。
あまりよくはないが仕方ないと妥協することにした。
「え…・・・?」
皆ドン引きしている。
「え?何か問題が?」
「いや、その。埃を払った程度では清潔とは言いにくいと思うぞ。」
「流石に直接座るのは無い・・・・・・よ?」
「下手したらその服を捨てないといけないことになりますけど。」
「・・・・・・まあ安物だしいいかな。」
もったいないけど、まあ糞やすいやつだし別に。
「だからいつも言っているだろう!主君はもう少し身だしなみを整えるべきだ!」
「特に今日からは我々の主なのだ。特に気を使うべきだ。」
「高い服って汚しそうとかで苦手なんだよなぁ。」
「高い服を毎日買い続けても問題ない資産が・・・・・・あなたにはある。。」
「そうやって金銭感覚がぶっ壊れるのだけは全力で回避したいところだな。」
「ならば継続的に大金が入るようにすべきだと思います!」
「そういえば近頃ダンジョンができたとか何とか」
「私には関係ないと思っていたが、主君が行くのであればお供させてもらおうかな。」
「夏休みだしで長期的に潜れるかもだしな。」
「初心者だから・・・・・・最初は長期間潜るのは良くないよ。」
「一応前にダンジョンに潜ったことはあるが・・・・・・まああれは数えたらだめだな。」
数戦やった後に落ちてそのままボコボコにされたのと潜ったとカウントするのは良くないだろう。
「そうか・・・・・・じゃあ行くときは軽く潜るぐらいにしておくか」
「慣れてから長期の潜ればよいだろう。」
確かダンジョンってのは深い場所の方がより強いモンスターが出て、よりよい魔石が手に入るらしい。
そんな今後に向けた話をしていると[ピンポーン]という、チャイムの音がしてきた。
「ああ。研究員さんが来たみたいですよ。」
何か聞き覚えのあるような音だったがスルーしておこう。
「・・・・・・ッチ。」
するとこちらが迎えに行くまでも無く、露骨な舌打ちをした研究員が部屋へと入ってきた。
なんと勤務態度の悪いやつなんだ。
「ここまでめぐり合わせが良いと逆に不安になってくるぞ・・・・・・。」
前に俺のことを解剖したがりがりの男だ。
「何が言いたいんだ。」
「あの時はリレートがいたから聞けなかったからな。1つお前に聞きたいことがあったんだ。」
「んじゃ今言っていいぞ?」
「他人に聞かれるとめんどうだ。魔具の調整をするんだろ?その後に質問させてもらう。」
「やはり魔具調整か・・・・・・私も同行しよう。」
「暑いと思うけど・・・・・・アリシャは大丈夫なの?」
「常識的に考えて・・・・・・くそ暑い所で魔具調整をするんだから冷却系の魔具を持ってきているに決まっている。」
「持ってきてないぞ。」
「暑いだろ!?」
「俺はそういうのを感じないんだよ。さっさと行くぞ愚物ども。」
「だから愚物言うなや!!!」
がりがりの男に文句を言いながらも部屋から出る。
地下の魔具が置いてある場所へと案内する。
「カイバさんは来なくて良かったのかね。」
「今の所有者はもうお前に移っているらしいからな。貴様が来れば問題は無かろう。」
「そんなものなんか。」
「まあいい。聞きたいこともあるしさっさとやれ。」
「上から目線で言うと好きな女に嫌われるぞ?」
「嫌われるならまだましだ。」
あれか。
好きの反対は無関心論者か。
俺は好きの反対は嫌い論者だから合いなれないな。
「まあそんな悲しいことは置いておいてさっさとやりますかね。」
「勝手に憐れむぐらいなら蘇生の情報を寄こせ。」
「まだ今度なー。」
そう言って魔石に右手を触れる。
「解除」
魔力を通し回路を破壊し、魔具をただの魔石へと戻していく。
「って・・・・・・右手でやるの?」
「ああ。俺が習ったのはこっちだな。」
右手で杖を持っているのが魔術師の象徴。
左手で魔法陣を出しているのが魔法使いの象徴。
地球ではこのように習ってしまう。
魔術とは思いこみで強くなることは無いが、この世界の攻撃力の無い生活魔術同様思い込みで弱くなるということは存在する。
故に俺の世代の魔術師は右手以外で魔術を使う場合、魔術の効果が薄くなるという現象が起きた。
これは2045年頃の研究で判明したことであり、残念ながら”魔術は右腕で使うもの”と習ってきた俺の先入観を変えることはできなかった。
それはこの世界でも同様で、剣を持つ関係で左手で魔術を使うことが多いが右手で魔術を使った方が強力だ。
「良し、やるぞ」
「魔術管理者」
魔術へ没入、集中。
体の意識を絶ち、魔具の作成にすべての意識を割く。
回路を描き、術式を考え、魔術を作る。
「ふぅ・・・・・・。」
大よそ30秒。多少考えてはいたが、細かいのは調整しながら作ったために作るのは遅くなってしまった。
「うん。これでできたはずだ」
「確認お願いできるか?」
「分かった。確認するから少し待っていろ。」
そう言ってがりがりの男が術式を確認している間、俺はアリシャに誘導されて少し離れた場所まで連れてこられた。
「今のは?」
がりがりの男には聞こえない、俺ですらぎりぎり聞こえるレベルの声で質問してくる。
恐らくは魔術の解説を求められているのだろう。
「魔術ってか、ルーティーンに近いな」
「名を付けて集中力を上げるだけ。」
「そうなんだ・・・・・・。」
「ルーティーンってのは前に説明したやつだな。アリシャも大魔術を使う時にやってやつな?」
「うん・・・・・・特に意味は無いんだね。」
「まあ集中できるって意味では普通にありだな」
「術式展開をするときに技名を言うのと同じだ。」
「ふーん・・・・・・じゃあ真似してみようかな。」
「いいぞガンガン真似するといい。」
漫画とかでたまにいる、カップルキャラみたいな感じの戦い方とか憧れるな。
「ていうか、あどみにすとれーた?ってのはどんな意味?」
「それ聞く必要ある?」
「うん・・・・・・想像するときには大事。」
「うーん、そうだなぁ。」
この魔術を作った時は、当時ハマっていた昔に放送していたアニメのをそのまま利用しただけだったからなぁ。
「確か・・・・・・か「管理者。だろ?」
がりがりの男が大声で俺の台詞に被せて意味を言った。
馬鹿な!この距離で、しかも小声で話していたのに聞こえるわけないだろ!。
「アドミニストレータ。懐かしい響きだ」
「意味は管理者、統率者だったかな?」
「なッ・・・・・・!」
完全に予想外の展開に一瞬思考が停止する。
いや駄目だ。ここで下手に反応をしたら怪しまれる。
何を言っているか理解できない体を装うべきだ。
直後がりがりの男は見た目に反した速度と力強さで、一瞬で俺との距離を詰めた。
「その反応・・・・・・やはりお前も地球の人間か!!!」
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