二人目の聖女
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。
そして俺は国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされ助け出した。
その数日後。話があると聞きアリシャと共にアルトの家へとおもむき、アルトを部下に引き入れた。
「じゃあついでと言っては何だが、アグラも部下に入れてくれないか?」
中々に急な話をしてきた。
「中々に急な話だな。」
「順を追って説明するとだな。アグラはリーシェ殿を狙っているから、お近づきになるためにも部下にしたらよいと思うんだ。」
「話が急展開すぎて理解が追いつかない。」
「要するに僕も一緒に連れて行ってほしいってことさ!」
直後勢いよく扉を開けてアグラが入ってくる。
車椅子に座ってどう扉を勢いよく開けたのか、そもそも車椅子をよく1人で機敏に動かせるなと有り余る情報からどうでもよいことに目が行く。
「いやそうじゃなくて誰だお前!」
「え?やだなーリーシェ様。僕のこと助けに来てくれたじゃないですか。」
「少ししかしゃべってないけどこんな喋り方じゃなかっただろ!」
「『私を助けて・・・・・・』みたいな儚い少女って感じだったろ!」
「あんなの演技に決まってるじゃないですかー!聖女って皆あんな感じらしいので指導があるんですよ。」
「夢が・・・・・・壊れる。」
横で何かダメージを受けている恋人がいるが気にしないでおこう。
どうせリリィの時点で回復不可のダメージを受けているんだし。
「いやうん。ちょっと情報量の多さで現実を直視できない。」
「えーっとですね・・・・・・僕も姉さまと一緒に部下に入れてほしいです!」
「えーっとはい。ではよろしくお願いしま・・・・・・いやいいのか?元とはいえ聖女だろ?」
「第三騎士団長を引き抜いた時点でその理屈は通じませんよ!」
「え!?引き抜き!?」
「うん・・・・・・部下になるんだから、アルトは騎士を辞めるだろうね。」
「・・・・・・俺そんな責任とれないしやっぱさっきのは無しの方針とか・・・・・・?」
「何を言う。騎士の誓いは絶対だ。取り下げることなど言語道断!」
「明確なビジョンの見えない未来に対してとても胃が痛くなる。」
「安心しろ。体を売れなどと言われなければ無給で働き何でもする」
「我が命、我が体はリーシェ殿の仰せのままだ。」
「じゃあ騎士をやめないで。」
「国への密偵ということだな。了解した。」
「八方塞がりじゃないか!!!」
「はっぽうふさがり?」
「くそ!焦るとだめだ!」
「ああそうだ、落ち着け。一旦お茶でも飲むんだ。」
そう言ってアルトからお茶を差し出される。
「うん。味が分からない。」
紅茶嫌いなんだよなぁ。
高級そうだけど味の違いとか分からないし、正直ミルクと砂糖ドバドバ入れるのが一番美味しいと思う。
「紅茶の味が分からないとは・・・・・・リーシェ殿はまだまだ子供ですね。」
「部下に馬鹿にされた!?」
「というより、部下になった証とか何かなんですか?」
「え?アグラが部下になるのは決定事項なの?」
「ええまあ。はい。姉さまは部下なんでしょ?なら私もなりたいです。」
「まあはい。てか本当に大丈夫なの?」
「下手な組織に抜かれるよりは、アルトがいるから安心だとは思うよ・・・・・・。」
「リーシェ殿はバランドの亡命を阻止した英雄だ。それぐらいのことならば国王も許してくれるだろう。」
「何より私の初めてを奪ったんだから・・・・・・責任取ってくださいね!」
「クソ!そのことを言われると拒否しにくい!」
「というより、これ以上騎士を引き抜かないなら国王もアグラを部下に入れるのは賛成だと思うよ。」
「それはどうしてなのかな?」
「ってのも、リーシェは別にバウントを潰したいわけじゃないんだよね。」
「もちろん。別の国にいったことは無いが、聞く限りではこの国が一番住みやすいと思うしな」
「国に忠誠を誓うって程じゃないが国に協力はするつもりだよ。」
「なら、騎士以外の強者をリーシェの下に置いて首輪をつける・・・・・・って言っておけば問題ない」
なるほど。
要するに冒険者同様”騎士ではないけど国の為には働く”って言う状態にすればよいのか。
「特にリーシェ殿は流水殿やカノン殿と繋がりがあるわけだからな。雑に扱えない存在となっている」
「国に協力的な組織を作るのなら、下手な反国組織に所属されるよりは良いだろう。」
「あくまで最悪の結果にはしたくないってことか。」
「そういうこと・・・・・・だから、アグラを部下に引き入れるのは問題ないと思う。」
「じゃあまあ・・・・・・これからよろしくな?」
「僕さっきのあれしたいです!姉さまもやってたかっこいいやつ!」
「え、えーっと。我が剣を捧げるみたいなやつ?」
「それですそれです!」
「じゃあはい。どうぞ。」
「・・・・・・なんか注目されると恥ずかしいですね。」
「やるなら早くしろ!」
「えーっと・・・・・・魔術師リーシェに告ぐ。聖女アグラ・クラスティは貴方と共に生涯を添い遂げることを誓います。」
「なんか色々違くないか?」
「こっちの世界ではこれが基本なのですよ?」
「基本なのか?アルト。」
「こっちの世界での基本じゃないな。」
「基本じゃないらしいぞ。」
「基本じゃないらしいですね。」
「主を騙そうとする人間を部下にするとか嫌なんだが。」
「安心してください!僕らの幸せのために騙すなので悪意はありません!」
「本当に悪意が無いならそれこそたちが悪い」
「あと、俺はアリシャと恋仲だからそういうの無理。」
「安心してください!私は二番目でも大丈夫ですよ!」
この世界の人間はこういう人間が多いのか?。
「私は三番で大丈夫だぞ。」
何か聞こえた気もするが無視する方針で。
「俺は1人だけで満足なので大丈夫ですー!じゃあ帰りますよ!」
「私は二番と三番が欲しいよ?」
「せめてもうちょっと人間として成長してからな。今は1人を満足させるので精一杯なの。」
そうして、色々とあった聖女を含めた大事件は終わりを迎えた。
▼信託の聖女が部下になった!
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