蘇生完了
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。
そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされている。
その後聖女であるアグラを助け出すため俺は城へと忍び込みアグラを攫った。
友人に敵の足止めをお願いして逃走し、後一歩のところで逃げられる……というところで近衛騎士・バランドとエンカウントし殺されてしまう。
その後神と会話するも、重要な”何故俺の記憶が無いのか”と言う理由を聞くことも無く現世に戻されてしまった。
目が覚めたら知っている顔がそこにあった。
「ああよかった。生き返ったか。」
アルトが喜んでくれているようだがテンションが低い。
仕事の状態なのか?。
「本当に良かった……。」
そう言って泣きじゃくっているのはアグラ。
自分のせいで俺が死んだと思ったのか、凄く泣いている。
なんだかこっちからしても申し訳なくなってきた。
「泣くな泣くな。折角助けれたんだ。泣くより笑顔になってほしい。」
「うん。良かったな。」
なんか聞き覚えのある声が後ろから聞こえたので振り向く。
「カノン!生きてたのか!」
盛大なフラグを建てて時間を稼いでくれていた友人がいた。
そして周りには騎士がいっぱいいる。
オワタ。
「安心しろ。もう全て終わった」
「アグラの証言と、隠されていた資料を押収出来たからな。つまり俺達の勝ちってことだ。」
「思ったよりあっさり終わったな。」
「元々アグラ……おっと、聖女様を連れ出せれば勝ちは同然だったからな」
「別城には俺ですら入れなかったしで……ちゃんとした理由を掲げて城内で好きに動けるようになった時点で勝敗はついていた。」
「そもそも勝敗って……人を助けるのに勝ち負けもあるもんなのかね?」
「お前は聖女様を救出した。俺は売国者であるバランド達の罪を暴けた」
「これを勝ちと言わずになんというんだ?」
「ハ!まあ勝敗をつけるならば勝ちだろうな。」
「まあそんな大英雄様だが、形式だけでも事情聴取をしないといけないから少し時間を貰うぞ?」
「大英雄様じゃないからさっさと帰りたいところだな。事情聴取って任意だろ?」
「やましいことが無いなら受けておいた方がお得だぞ。」
「特にやましいことはしてないし受けておきますかねー。」
カノンに対して軽い小言を叩きつつ、立ち上がろうと体を起こす。
しかし上手く力が入らずそのまま前に倒れてしまう。
「大丈夫ですか!?」
すかさず騎士の1人が俺を支えてくれる。
「ありがと。君は出世するよ。」
「一応リーシェ殿は女性だ。私が支えよう。」
「一応とはなんだ酷いな。」
「失礼。女性に対してそんなことを言ってはいけなかったな。」
そう言ってアルトは俺をお姫様抱っこの要領で抱き上げ、ついでに毛布をかけてくれた。
「おい!肩を貸してくれるだけで良いだろ!」
「身長が足りないだろう。こっちの方が合理的なんだよ。」
合理的と言われたらこれ以上言い返せない。
「大変です!」
直後騎士の1人上げた。
「何があった?」
カノンが質問を投げかける。
「バランド近衛騎士殿・・・・・・いえ、反逆者バランドが生きています!」
「っな!私が真っ二つにしたはずだぞ!生きているわけがない!」
「で……ですが、心臓が動き傷口も塞がっています!」
「俺も見ておきたい、連れて行ってくれ。」
そう言ってアルトにお願いしバランドの近くへと連れて行ってもらう。
現状は殆ど体が動かせない状態なので、下手に孤立するよりはアルトに抱きかかえられている方が安全だろう。
バランドの元へと連れて行かれる。
確かに真っ二つにされている。
左肩から右側の腰にかけて斬られたのだろう。
「な、何故生きているのでしょうか!?」
「リーシェ殿の怪我が酷くてな、私と聖女様でかなりの規模の回復魔術を使用した」
「恐らくはその影響で生存しているのだろうな。」
「カノン様……どうなされます?」
「武器も持っていないし、バランドは魔術が使えないし、まあこのまま放置してもいいが」
「念のため止めは刺しておくか。」
まあそれが安定だろうな。
もしかしたら魔術が使えるかもだし、爆弾……はこの世界には無いにしろ何かを隠している可能性もある。
普通に考えればさっさと殺すべきだろう。
「アルト、ちょっと質問なんだが。」
「どうした?」
「戦闘中にバランドがお前を殺せるような状態でも殺さなかった、ってことはあるか?」
「ああ。何回かあったと思う」
「ただあれはリーシェ殿がつけていた傷の問題で無茶ができなかっただけだろう。」
「そうか分かった。ありがとう。」
「ちょっと待ってくださーい。少し話したいことがあるから殺すのは待ってくれないか?」
カノンにお願いしバランドを殺すのを待ってもらう。
「分かった。」
「大丈夫なのでしょうか……?」
騎士がカノンへ質問している。
「まあ今回の功績者だしな」
「あいつを抱きかかえているのはバランドに止めを刺した第三騎士団長だし、バランドもあと少しの命で暴れるほどの力は残っていないだろう。」
許可をもらったので、遠慮なくバランドへ話しかける。
「よお、バランドさんよ。」
「なんだ・・・・・・馬鹿にしに来たのか?」
「何を言う。立派に祖国のために戦ったんだろう?」
「俺からすればお前は嫌いだが、だからと言ってお前のやったことを侮辱するつもりはないさ。」
「中々達観ししている少女だな。」
否定も肯定もしない。
ロック出身と断言するために鎌をかけてみたが駄目そうだ。
「まあ最後だ。アルトに行っておくこととかあるんじゃないか?」
「私が奴にかける言葉なんぞ”よくも邪魔をしてくれたな”なんて言う恨みの言葉しかないだろう。」
「それはあくまでバウンドを裏切った”反逆の騎士バランド”としてだ」
「父親としての”アルト・ブリュスタン”として言い残すことはあるだろう?」
「何を言っている?そうやって無駄なことをして私から得れるかもしれない情報をふいにするのか?」
「あんたみたいな強情な爺からはまともに情報なんて絞れないだろ」
「なあ、実際どうかは不明だけどさ・・・・・・お前アルトを育てるの楽しかったろ?」
「何を言ってやがる・・・・・・。」
「お前からすれば偽造のためだったかもしれない」
「きちんと栄養を考えた食事を出され、きちんと教育を受けられて、きちんと父親としての責務を全うしていた。そんなことをしている内に情でも芽生えたんじゃないか?」
なまじこじ付けではあるが、戦闘中にも感じていた違和感から考えるとそうとしか考えれない。
「こじ付けだ。証拠すらないのに何を言っているんだ。」
「最後なんだから素直になって話しておくのも良いと思うぞ?」
するとバランドはゆっくり目を動かし、アルトの顔を見つめる。
「ただ・・・・・・少しだけ良かったことは否定しない。」
「最後なんだからもっと素直になっておけよ。」
「騎士に無駄な言葉はいらないものさ・・・・・・」
「ああ、裏切りばかりの人生だったが・・・・・・死ぬとなると意外と寂しいものだな。」
そういうとバランドは目線をこちらに向ける。
「さらばだ三流魔術師。先に地獄に行ってるぞ。」
「じゃあな腐れ外道!俺は嫁と一緒に天国に行く予定だから二度と会わないだろうがな!」
「アルトも・・・・・・俺を殺したんだ。もっと強くなれよ。」
そう言ってバランドは力尽きた。
きっと最後だけ素が出たのだろう。
そう思うことだ大切だ。
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