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魔術師リーシェ&聖騎士アルトVS近衛騎士バランド/3

異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。


友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。


そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされている。


その後聖女であるアグラを助け出すため俺は城へと忍び込んだ。

そこでアグラを攫い逃げ出そうとするも、すぐに見つかり交戦状態へとなってしまう。


必死に戦うも防御不可の攻撃を喰らってしまう。

そのまま死を覚悟したが、友人であるカノンが敵の攻撃を防ぎ助けにきてくれた。


友人に敵の足止めをお願いして逃走し、後一歩のところで逃げられる……というところで近衛騎士・バランドとエンカウントしてしまった。


お互いにかなりのダメージを受けた状態となった直後、見覚えのある少女の増援が到着した。



そして何度か斬り合い隙を見つけたと突撃したがそれは罠で、俺はバランドの大技を受けて吹っ飛ばされてしまう。




 完全にやらかした。

 そう思いながら、今俺は地面に倒れている。


 遡ること数秒前、バランドの風車(かざぐるま)を剣で受けた直後に謎の攻撃を喰らいそのまま吹っ飛ばされた。


 謎の攻撃を喰らう瞬間に魔力放出を発動したために即死はしなかったが、そのまま吹っ飛ばされて強化魔術を付与し直す間もなく地面に大激突。

 生身で城に直撃した。


 いくら頑丈にできているこの世界の住民とはいえ、流石に強化魔術無しでは限度がある。




 まず頭から下全ての感覚が無い。

 むしろ意識が良く途切れなかったなと思う状態だ。

  

 そして耳鳴りが酷い。

 アルトとバランドが会話をしているようだが内容が全く聞こえないし理解もできない。


 そして視界が真っ赤だ。

 なんとなくぼんやりとは見えるが、まるで眼鏡を外した時のような感覚ですべてがぼやけて見える。

 ギリギリ上を向いているのが分かる程度でどうなっているのかは分からない。


 もしかしたら前世の俺は眼鏡をつけていたのかもな。



 最低限魔力の操作はできるが、元々から残りの魔力が少なかった&一瞬とはいえ魔力放出を使った&大量に血を流したことにより魔力はほぼすっからかんだ。

 

 とりあえず右腕を顔の前に持ってこようとしてみる。

 感覚が無いだけでもしかしたら動けるのかもしれないからな。


 結果的には動かなく、左腕でも同じように動かなかった。

 両腕が無くなっていることを除けば現状は動けないと考えるべきだろう。


 そもそも元から結構出血していたのだ。

 腕が無くなるレベルの怪我をしていたらそのまま失血死するしで部位欠損は無い前提で問題ないと思う。



 うん。これ何もできなくないか?。

 控えめに詰んでいるというか、どうにもならないしなんならこのまま普通に死にそう。


 下手したらこのまま死ぬという状態でも冷静なのは一回死んでいるからだろうな。

 死んだことの記憶は無いけど。


 いや俺・・・・・・が死んだらアリシャが悲しむし、きっとアルトもアグラも後悔するだろう。

 多分クリームも悲しむ。悲しんでほしい。


 カノンは……まあアイツもう死んでるかもだし。



 死にたくない!という気持ちとはちょっと違う。

 けれどできれば死にたくない。


 アグラは強いが、正直父であるバランド相手を倒せるかと言ったらNOだろう。

 ならば俺がどうにかして倒さなければいけない。



 まず今俺がやれることを考えよう。


 魔力の操作多少可能だが視界がゴミだから術式展開はできない。

 体を動かすのは無理。


 そもそも体のどこの部位が残っているのかすら現状把握ができない。

 今までのダメージと城への直撃ダメージを考えると、腕足を持っていかれていたら多分失血死しているだろうから多分無事だ。


 問題は無事と言える状態かということだが、くっついていれば無事の判定だから問題は無い。



 そんなことを考えると、ふと走馬灯のように過去のことを思い出す。

 鎧を武器のように使う、謎の男のことを。


 ガロン・イヨロ。

 鎧を自由自在に操り武器にもした男だ。


 ガロンは鎧を操作し動かしていた。

 恐らくあの鎧は魔具の類だろうから、今俺が完全に真似をするのは不可能だろう。

 

 だが俺なりにアレンジを加えることで、ある程度似たようなことはできるはずだ!。


 走馬灯とは過去の体験を思い出し今の解決策を導く、と聞いたことがある。

 きっとこれは今俺に必要な情報なんだろう。


 ・・・・・・ってあれ?こんなことは前にあった気もする。


 

 まあ良い。まずは今は体をどう動かすかが問題だ。

 全身を魔力の殻のようなもので覆い、指令魔術で動かしてみる?。

  

 直線移動とかはできるかもだが攻撃は厳しい。


 鎧のイメージがある故にどうも全身を思い浮かべるが、要は要所要所に魔力の殻をつけてそこを指令魔術で動かせばよいのではないか?。


「ア……アア……。」

 うん、喋れない。

 多少体の感覚が戻ってきた気がするが、それでもまともに喉を動かせない。


 指令魔術は声で指令を出すことによって発動する魔術なため、ぶっちゃけ現状だと使えない。

 

 思考を回せ!考えろ。

 方向性としては間違っていないはずだ。


 そもそも体を動かせないわけなんだからどうにかして外部から操作をするしか選択肢はない。


 絶対回復魔術でどうこうなるレベルじゃないし、そもそも回復魔術を展開すればバランドに即ばれる以上は体を動かせるようにする方法は0に等しいだろう。


 ・・・・・・一つだけ考えがある。

 あくまで今の俺は頭から下の感覚が無く動かせない状態ではなく、ただ感覚が無い状態なんだ。


 あくまで大きく動かそうとしたが、大きく動いた様子はないという点で体が動かないと断言した。

 あくまで大きく動かなかったからというのが判断基準だ。


 もしかしたら少しだけ動かせるのかもしれない。

 その可能性に賭けるしかない。



「の───とな。」

 耳鳴りに慣れたおかげか、少しづつだが声が聞こえるようになっている。



 まずは体を動かすための準備をする。

 

 集中強化魔術を右腕に付与し、更に指先から糸を生み出すイメージをする。

 そして指先を上へ向け、そのまま魔力で作られた糸を放出する。


 否、放出できなかった。

 右腕が無いか又は完全に動かないか理由は不明だが右の指先からは魔力を放出できないようだ。


 ならば!と左に集中強化魔術をかけて同じことをする。

 今度は成功し、指先から糸が放出される。


 その糸を両腕と背骨の当たりにくっつける。

 そして気がつく。

 

 支点が無い状態で糸をただくっつけてるだけだからこれ動かせないじゃん。

 

「──い、殺すか。」

 おい、なんか物騒な単語が聞こえてきたぞ。


 俺が生きていることを察して殺すって意味なのか、それともアルトを殺すという意味なのか。

 どちらにしても不味い。速く体を動かす方法を考えれなければ。


 どうしたものか……とふと考えていると、少しづつ晴れてきた視界のもとにちょうど良いものが刺さっている。

 壁に横向きとなって剣が刺さっている。


 良くは見えないが恐らくは俺の持っている剣なのだろう。

 俺がふっ飛ばされた時に話してしまい、偶然壁に刺さったんだろうな。


 そこに向けて糸を放出し、刺さっている剣の上を通過させそのまま体の各部位に取り付ける。


 集中強化魔術によってギリギリ動かせるようになっていると思いたい左指を動かし、体を吊り上げるように動かす。

 そのまま体を持ち上げる。


 幸にも剣は深く刺さっており俺が体重をかけても外れることは無かった。

 そのまま無理やり立ち上がり前を見る。

 


「さあバランド、最終決戦だ。」

 目の前にいるバランドに対して話しかける。


 発した音は声と言えるようなものではなかっただろうが、多分伝わっているだろう。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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