魔術師リーシェ&聖騎士アルトVS近衛騎士バランド/2
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。
そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされている。
その後聖女であるアグラを助け出すため俺は城へと忍び込んだ。
そこでアグラを攫い逃げ出そうとするも、すぐに見つかり交戦状態へとなってしまう。
必死に戦うも防御不可の攻撃を喰らってしまう。
そのまま死を覚悟したが、友人であるカノンが敵の攻撃を防ぎ助けにきてくれた。
友人に敵の足止めをお願いして逃走し、後一歩のところで逃げられる……というところで近衛騎士・バランドとエンカウントしてしまった。
お互いにかなりのダメージを受けた状態となった直後、見覚えのある少女の増援が到着した。
「な……。」
俺のハッタリで驚いている。これはやったやつだな。
「神聖魔王軍だと!」
って、アルトも驚いている。
「最上位の国家機密だぞ!何故知っているんだ!」
わーお、そういう意味で驚いているのね。
「学園……ではなく、リレートに教えてもらったんですよ。前に神聖魔王軍に襲われた後に。」
「そうか……君はリレート殿の弟子で、その上あの場所にいたんだったな……。」
「と言うより、何故バランドが神聖魔王軍幹部だと思ったんだ?」
「え……いやあのですね?」
神聖魔王軍に所属していたやつが使っていた、この世界には無い言葉を知っているなんて口が裂けても言えない。
「それには私が答えてあげよう」
「なあ?地球出身の者よ。」
「チキュウ……ってのは、確か勇者の故郷だったよな……」
「まさか!リーシェは勇者だったのか!」
「違う!産まれも育ちもこの世界だ!」
「この世界という言い方はどう考えても失言だろう……。」
バランドに突っ込みを入れられる。
「うむ……しかし地球出身の人間がここにもいるとはな。」
そういってバランドは考えるような仕草をしている。
「と言うよりバランド!神聖魔王軍に所属しているというのは本当なのか!」
アルトが話題をすり替えてくれる。なんて優しい人なんだ。
「そうだそうだ!魔王軍なんて人類の敵だぞ!」
「いやリーシェ。あくまで神聖魔王軍は魔王軍を名乗っているだけで大した破壊工作はしていない。」
「そうなのか?」
「ああ。魔術師見習いが一名瀕死にされたぐらいだ。」
「な……!その人は大丈夫なのか!?」
「まあ見た感じ元気だな。」
そういってアルトはこっちの全身を見る。
あ、これ俺のことか。
「その魔術師の無念は俺が晴らす!」
「別に死んでいないがな。」
「うむ決めた、貴様は殺すべきだ。」
「リーシェ!」
「あいきた!」
会話中も気を抜いていなかったが、今から殺し合いをするという気持ちの切り替えは大事だ。
バランドの動きを観察する。
するといきなり剣が伸びた。
溶けたアイスが垂れるように下へと伸びている。
表現的には伸びるというよりは、垂れるというのが正解だが何ともシュールだ。
「不味い!リーシェ避けろ!」
アルトがこちらに警告をする。
よくわからないがやばい攻撃が来るのだろう、すぐに回避をしようとした。
いや駄目だ!今真後ろにはアグラがいる。
先ほど術式展開をしていたので、多分防御系の術式を展開しているのだろう……しかしこのまま俺が避けるとアグラに攻撃が直撃するかもしれない。
「石と水の複合壁!」
目の前に横長くした複数の術式を展開する。
石の壁を3つ、それの間に挟むように水の壁を2つ展開しくっつけるオリジナル魔術。
「何をやっているんだ!」
「聖騎士の盾」
その前に更に術式が展開される。
アルトによって作られた防御術式だろうが、規模がでかい。
大魔術並の術式を一瞬で展開した。なんてやつだ。
バランドは伸ばした剣、まるでまくように回転させる。
伸びた剣は固まり、まるでばねのような不思議な形となる。
「風撥条。」
ばねのような形となった剣による剣突。
恐らくは少し柔らかくすることで、ばねの性質を利用した遠距離の突き攻撃だろう。
今までの突きとは比較ならないパワーによって、アルトの防御術式ですら数秒耐えて破壊された。
しかし聖騎士の盾によって威力が下がり、石と水の複合壁自体が突きに強いということもあって石と水の複合壁が吹っ飛ばされて防ぐことに成功した。
「意味を与える!」
俺の体と同じぐらいの大きさの、人型の魔力塊を生み出し指令魔術を使用する。
大技を受けた時に起こる精神的な隙を狙いに行く。
指令魔術によって作りだした人型の魔力塊が前上方向へ飛んでいく。
反応速度の速いバランドだ、恐らくあれに対して攻撃を行うだろう。
そこを叩く。完璧な作戦だ!。
そこまで考え、俺は右から一気に詰めようと前進する。
直後バシュン!と言う音がした。
見れば作りだした魔力塊が壊されている。
「はぁ!?」
馬鹿な!早すぎる!。
何が早すぎるかって、剣が普通の形に戻っている。
何度か確認していたが、剣が元の形に戻るのは鉱石の性質なのでバランドにはどうにもできない。
故に遠距離攻撃をした後は元に戻るまでの2秒ほどの隙ができる……予定だった。
「意味を与える!」
破壊されてしまったことで魔力塊としてのカタチが失われてしまい、指令魔術の効果は無くなった。
しかし粉々になった魔力塊に対して指令魔術を使用することは可能だ。
俺の意図を読み取ってくれたのかアルトは直線でまたチャージアタックをする。
バランドに対しては数の有利は意味が無いとか言っていたし、下手に攻撃を分散させるのは良くない故に同じ攻撃が多くなるのか。
「こっちだ!」
一気に詰めてからの下からの一撃。
バランドは簡単に受け止め、その攻撃を流す。
「飛べ!」
アルトは叫ぶと同時に、剣を中心にさらに術式展開をする。
全力で上に回避行動をする。
「桜剣・薙ぎ斬り」
俺が飛んだ瞬間、下を斬撃が通る。
バランドはその攻撃を受け止めるが相手は魔術だ、基本的には剣一本で対処できる相手ではないだろう。
直後バランドは体を前に倒し、倒れるギリギリの体勢となった。
倒れたのか?それとも傷が原因で動けなくなったのか?。
理由は分からないがここを攻めないのはどう考えてもナメプになってしまう。
全力で飛んだために現在空中にいる。故に攻撃方法は魔術か防御術式を足場にしての突撃か。
警戒しつつも、上に防御術式を展開し足場を作る。
展開した防御術式を踏み、バランドに向けて全力急降下アタックだ。
「駄目だ下がれ!」
直尾アルトの声が響く。
「マジか!」
忠告を聞き目の前に防御術式を展開しようとした瞬間、バランドが動きだした。
「風……」
動きだした、と表現するのは間違っているだろう。
やつは技を使ったんだ。
奴は倒れたのでも、傷が原因で動けなくなったのでもなかった。
やつは体をねじっていたんだ。人間ができる極限の状態まで。
このままだとやばいと感じ、下手に下がるよりこのまま対処しようと突っ込む。
最後のねじりなのか、左に体をねじりそのまま力を解放する。
体全体によって生み出される技は恐ろしいスピードと威力を持ち、俺へと襲い掛かる。
「車!」
直後目の前にオリハルコンで出来た剣先が飛んできた。
足場に使おうとしていた防御術式を一瞬で破壊した、恐ろしき一撃が。
剣で受けるも、その一撃は強化された剣を砕かんとせんばかりのパワーを秘めた一撃でそのまま俺にたたきつけられる。
恐ろしい一撃によりそのまま俺は弾き飛ばされた。
直後目の前の空間が歪む。
「魔力放出!」
やばい!と思い、残り少ない魔力を出し切る魔力放出を使用する。
命の危機へとなるがこのまま放置すれば殺されるだろう。
魔力放出をしようと思考を切り替えた瞬間、更なる追撃が飛んできた。
見えない攻撃だ。
”ゴオオオオオオ”と言う轟音と共に来た、空間が歪むような一撃が俺の腹部分へと突っ込んできた。
上級悪魔の一撃にも劣らないその攻撃は、俺を吹っ飛ばし地面に叩きつけ意識を絶つには余りにも過剰な威力だった……。
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