魔術師リーシェ&聖騎士アルトVS近衛騎士バランド
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。
そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされている。
その後聖女であるアグラを助け出すため俺は城へと忍び込んだ。
そこでアグラを攫い逃げ出そうとするも、すぐに見つかり交戦状態へとなってしまう。
必死に戦うも防御不可の攻撃を喰らってしまう。
そのまま死を覚悟したが、友人であるカノンが敵の攻撃を防ぎ助けにきてくれた。
友人に敵の足止めをお願いして逃走し、後一歩のところで逃げられる……というところで近衛騎士・バランドとエンカウントしてしまった。
お互いにかなりのダメージを受けた状態となった直後、見覚えのある少女の増援が到着した。
アルトの増援によって俺とアルトはバランドを挟むような形となった。
数の力というのは先頭においてはかなりありがたく、このまま多方向から攻めるようにしよう。
「はぁ!」
そういってアルトはバランドへと突撃する。
いきなりだな!。
「指令弾!」
アルトの戦闘スタイルは剣術+聖魔術による防御的な戦い方……と思うが、ガチ戦闘を見るのは初めてなので下手に殺傷能力の高い魔術を使うのは不味い。
小回りの利く指令弾で様子見をすることとした。
アルトは一気にバランドへと距離を詰め、片手剣より少し大きめの剣を振り下ろす形で叩きつける。
轟音が響く。
バランドはアルトの攻撃を受け止めるが、その衝撃は彼女らを中心に突風を産み少し離れた俺にまで風が来るほどだ。
「意味を与える!」
指令魔術を発動し、前に放った指令弾がバランドに追尾するように命令する。
「っち!」
するとバランドはアルトの剣を左に流し、そのまま俺とは逆の方向へ行くように下がり迎撃する。
そしてそのままアルトはこちらへときた。
「せっかく挟めていたのに!?」
「安心してくれ。ここまでは計画通りだ。」
「計画通りなのか!?」
確かに近距離武器同士での連携は取りにくくはあるが……やはり多角攻撃のできるメリットは大きいんじゃないか?。
「バランドを相手する場合、数の有利というものは殆ど存在しないと言っても過言ではない。」
「何故だ?」
「彼は柔剛剣と言われる特殊な剣を使っている」
「ヨクノビールという、魔力を流すと質量が増えた上に護謨のように伸びるようになると言った特性を持つ鉱石を使った剣だ。」
「なんだそりゃ……。」
道の剣に対してのワクワク心と同時に、謎すぎる剣の構造に驚きを隠せない。
と言うよりバランドは武器のネタバレをされているのに完全スルー。時間稼ぎが目的なのか?
「つまり魔力を流せば鞭のような攻撃が可能であり、衝撃の瞬間に魔力を流すのをやめることで剣へと戻し鞭では出せない威力を出せるということだ」
「更に剣先自体はオリハルコンの剣なので、鞭剣のような戦い方もできる。」
理論は分かったが実際にそんなことが可能なのかが分からない。
確かに術式展開も弓も無しにあんな速度が出せるとは思わないが……それにしてもこの世界の人間はやはりぶっ飛んでいる。
「そして気を付けるべ━━━危ない!」
直後バランドの攻撃が飛んでくる。
完全に油断していたために避けれなかったが、アルトが弾いてくれたおかげでなんとか助かった。
「戦闘中だ!油断するな!」
直後更にもう1発、バランドから鞭状の剣による攻撃が飛んでくる……が、攻撃方法自体は分かったので何とか避けることはできた。
しかしアルトの言った”気を付けるべ”と言ったのが気になる。
凄い訛って、攻撃に気を付けろ!って意味かもしれないが流石にそれはない。
となると隠し玉があると考えるのが妥当か。
バランドが剣の説明を止めなかったのは単純に戦闘スタイルがばれても良く、時間稼ぎをしたかったのかもしれないが……”攻撃方法が剣だけと思わせる”と言う策略かもしれない。
「はぁ!」
アルトがチャージアタックを仕掛ける。
「6連射・水槍」
目の前に繋げた6つの術式を展開する。
連射魔術陣だ。
夜に炎を使うのは目立つために止めの時以外はしたくない……故に威力が落ちるが水魔術での攻撃にする。
連結されたことによって強化された術式から、水の槍が6つ放出される。
アルトはチャージアタックからの上段切りをする。
重い一撃のはずだが、バランドはその一撃を軽々と受け止め流す。
「罠魔術!」
バランドの足元に術式を展開する。
こっちはミーニングレスとは違い、上に複数の槍を放つ攻撃型の魔術だ。
通常ならばすぐに攻撃して壊すだろうが、先ほどミーニングレスを見たバランドは壊すことを躊躇する。
その直後術式が発動する。
上へ無属性の槍を複数放つ魔術だ。
術式を極力似せなければすぐにばれるため、威力は控えめであり属性強化をすることもできなかった。
しかし効果覿面!足元から複数の槍が放たれたバランドは一瞬思考が止まり、そのままアルトの攻撃が刺さる。
流石にクリーンヒットはできなく剣で受け止めたが、今までのように衝撃を受け流すことができずそのまま吹っ飛ばされる。
・・・・・・と言うよりこの人ってそこまで筋肉ついていないように見えたんだけど、バランド吹っ飛ばすとかパワーやばいんじゃないですかね。
「光よ!我が剣に宿れ!」
アルトが叫ぶと剣を中心とした奇妙な術式が展開される。
そのまま術式は吸収され光となり、眩く輝く剣となった。
「桜光ノ剣!」
光を纏った剣を上から振り下ろす。
直後剣から光が放出され、
大魔術並の威力はあろうかという魔力の一撃。
「風……断」
角度の関係でモーションは見えなかったが、恐らく大技を使った。
直後目の前で爆発が起こる。アルトの桜光ノ剣とバランドの技がぶつかったのだ。
「下がるぞ!」
アルトがそういって下がっているため、俺も全力で後退する。
爆発によって巻き上げられた土煙が薄くなる。
「無傷かよ……。」
アルトの大技を受けてなお、バランドは一切ダメージを負っていない。
「この程度で勝てるとは最初から思っていなかった。少しづつ削っていくぞ!」
アルトが言うが、時間をかけるのはあまりよろしくない。
「俺と戦ってるときは意外といけそうな感じしたんだがなぁ……。」
そうぼやく。
「雑魚を相手するときに本気を出さないものだろう?」
バランドが会話に参加する。
「ハ!そうやって傷を負ってたらただの馬鹿じゃないか!」
気をつけつつ挑発をする。
戦闘中に会話をするのは良くないが、こちらの傷もそこそこきついので少し息を整える時間が欲しい。
まともに近距離戦闘をやったらそのままぶっ倒れそうな状態だ。
「確かにその通りだな。」
「あっさり認めるものなんだな。」
「獅子は兎を狩るにも全力を尽くす。と言う言葉を思い出してな」
「当時は不思議に思ったが、今考えれば確かにその通りだ……余力を残して戦って死ぬのは間抜けすぎるからな。」
「獅子は兎を狩るにも全力を尽くす?……とは?」
アルトが質問する。
「ああそうか……お前は知らないんだったな」
「強い者は弱い気者を相手するときですら全力で戦う、という意味だ。」
いきなり声が優しくなる。
こいつにも父の心が残っていたのだろうな。
そういえばこの世界の獅子や兔はどういう扱いなんだろうか。
似たような動物がそう呼ばれているのだろう……待て、アルトが”獅子は兎を狩るにも全力を尽くす”と言う言葉を知らないのか?。
元騎士団長で現近衛騎士のバランドに厳しく躾けられ、軽く話したがかなり多分野に渡っての知識豊富であるアルトが?おかしくないか?。
『この世界に”情けは人のためにならず”なんてことわざは存在しねーんだよ。』
直後、昔に忠告されたことを思い出す。
これは仮説だが……今思い返せば、15年感生きてきて転生者以外の口からことわざを聞いたことが無い。
多少似たような言葉はあったとしても、地球のことわざというものはこの世界では存在しないのだろう。
『口は災いの元、あまり無駄に話すな。』
その結論に至った瞬間、ダンジョンで出会った上級悪魔の言葉を思い出す。
となるとバランドは転生者か上級悪魔なのか?。
・・・・・・いや違う、リトルデビルとの共通点はある。
ただしこれは証拠もなければ確証も無い。
「神聖魔王軍か……なあバランドさんよ?」
証拠がないならば作ればよい。
苦手だが全力でハッタリをかましに行く。
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