黄金の聖騎士
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。
そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされている。
その後聖女であるアグラを助け出すため俺は城へと忍び込んだ。
そこでアグラを攫い逃げ出そうとするも、すぐに見つかり交戦状態へとなってしまう。
必死に戦うも防御不可の攻撃を喰らってしまう。
そのまま死を覚悟したが、友人であるカノンが敵の攻撃を防ぎ助けにきてくれた。
友人に敵の足止めをお願いして逃走し、後一歩のところで逃げられる……というところで近衛騎士・バランドとエンカウントしてしまった。
そして時は少し遡りアリシャとクリームが部屋で会話をしている。
「彼女は今まで何度も人に助けを求め……そして助けを求められた人の命と引き換えに生き残った」
「その度に彼女は少しづつ元気が無くなっていき……いつしか人に助けを求めることが無くなったしまった。」
「ある意味それも心的外傷ですね。」
「そんな彼女が助けようとした人間だから……私はリーシェ君にお願いをしたのだ。」
「なるほどですね。」
「それでさ……アルトさんは何で動けないと思う?」
「何でって、普通にバランドが怖いからじゃないんですか?」
「でも厳しくはあったけど理不尽なことはされていないんでしょ?」
「ああ……されていない……。」
「だから怖いからってのは違うと思う。」
「となると今まで厳格で国に尽くしていた父が、実は亡命をしようとしたいた!ってことによる衝撃とかですかね。」
「ああ……今まで父は正義を貫き通してきたと思った」
「でも実際は違ったんだ。父はロックの密偵だったんだ……。」
「わーお、衝撃の事実。」
「でもそれはおかしくない?」
「と言うと?」
「確かに、私達からすれば母国を潰そうとしている悪になるんだけどさ」
「バランドはあくまで自分の正義を貫いているわけでしょ?そしてロックからすれば英雄なわけじゃん。」
「正義の反対はまた別の正義、ってことですね。」
「だから一側面だけで正義の人間だと思い込んでいたら違かった!って落ち込むのは違うと思う……」
「地下で女性を監禁して性的暴行を加えていた……みたいな分かりやすい悪なら別だけどね。」
「正論ではありますが、気持ち的には裏切られたということには違いはありませんし」
「何より心の病気を持っている人に対しての正論は逆効果ですよ。」
「うん……だからアルトさんが今ここでその気持ちを抑えて無理はしなくていいと思う……」
「けれど正義を貫くのであれば、今は国の安全を脅かそうとしているバランドをどうにかするべきだと思う……。」
「ああそうだ……父をどうにかして止めなければいけない……。」
アルトが立ち上がろうとする。
しかし立てなく倒れてしまう。
手は震え、目は視点が定まらなく顔は真っ青。
見て分かるほどに良くない状態だ。
「無理ですから!無理をさせないでください!」
「リーシェさんが納得して受けた依頼ですし、きちんと報酬はもらうでしょう。ならば無理して動かさなくて良いじゃないですか!」
「違うよ……多分アルトさんはこのまま放置してるといつか自殺しちゃうと思う」
「だから強引に心を安定させないと……。」
「ですが……!」
「言いたいことは分かる……けど理由は違うけど、同じように精神が不安定になって結局自殺した人を知っている。」
「それは……ご愁傷さまです。」
「うん……だから私はこのままだと良くないと思うし、ここで強引にでも治さないとアルトさんは危ないと思うんだ。」
「ですが……いきなりこの精神状態をよくするのは無理でしょう!」
「違うよ。無理にアルトさんに克服しろって言いたいわけじゃない」
「気持ちを切り替えればいいと思う。」
「つまり……どういうことだ?」
「バランドを父に持つ、アルト・プリュスタンに無理して動けってわけじゃない」
「国を護り、国に害するものを倒す第三騎士団団長として」
「仕事として、密偵であるバランドを捕まえる。そう考えれば気持ちが楽にならない?」
騎士は仕事と日常は気持ちを切り替えている者がかなりいる。
アルトはあまりその傾向に当てはまらないが、あくまで仕事としてならば動けるのではないか?とアリシャは考えた。
「あくまで仕事として……気持ちを切り替えて向かう。そうすれば気持ちの整理もつきやすくていいと思うよ。」
「分かった……アドバイスありがとう。」
そういうとアルトは魔術収納袋から鎧と剣を取り出して装備する。
黄金の鎧は第三騎士団団長を表徴する防具であり、同時に騎士団長に就任した時にバランドから貰った祝いの品でもある。
剣は自分の金で作ってもらったが、バランドの意見を取り入れつくった愛剣。
黄金の鎧は耐久性能自体は高く無いが、力を流すという点に置いては通常の鎧より強力。
兜は無い。そもそも攻撃を受けないために視界の狭まる兜はつけていない。
装備を付けたその時、先ほどまで隅で震えていた少女はいなかった。
この世界では無い言葉だが、言うならば威風堂々とした姿。
騎士団長に相応しき力強さと同時に、力を流す柔軟性を備えた聖騎士。
「少し気持ちが楽になった……ありがとう。」
そう微笑みかけ、アルトは部屋から飛び出しリーシェの元へと向かう。
「ねえねえ……この手錠を取ってほしかったんだけど。」
「アルト!何故ここに!」
驚きのあまり声を上げてしまった。
もし不意打ちをする気だったら、完全に足を引っ張った形となってしまっている。
過去に心的外傷後ストレス障害に近い状態になった俺ならわかるが、心の病というのはそう簡単に治るものではない。
実際に心の病では無かったのかもしれないが、それにしても予想をはるかに超える速度で立ち直って驚きを隠せない。
「アルト……何故ここにいるんだ……。」
どうやらバランドも想定外だったらしく、驚きを隠せていないようだ。
「父上……いえ、反逆の騎士バランドに告ぐ!」
「我が名はアルト・ブリュスタン!バウンド所属第三騎士団騎士団長である!」
「密偵であり、国を脅かそうとする貴様を……倒す!!」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
感想、レビュー、ブクマ、評価等を頂けるとモチベーションが上昇するためにしていただけるとありがたいです。




