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近衛騎士バランドとの戦い

異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。


友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。


そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされている。


その後聖女であるアグラを助け出すため俺は城へと忍び込んだ。

そこでアグラを攫い逃げ出そうとするも、すぐに見つかり交戦状態へとなってしまう。


必死に戦うも防御不可の攻撃を喰らってしまう。

そのまま死を覚悟したが、友人であるカノンが敵の攻撃を防ぎ助けにきてくれた。


友人に敵の足止めをお願いして逃走し、後一歩のところで逃げられる……というところで近衛騎士・バランドとエンカウントしてしまった。


 追手が怖いが、抱いたまま戦うわけにも行けないのでアグラを降ろす。


「あいつを倒すからここで待っていてくれ……他に敵が来たら教えてくれ。」

 正直バランド相手をしてる時にこっちに意識を割く余裕は無いが……割かなければアグラが攫われるし仕方ない。




集中弾(ガッド)!」

 左人差し指へ魔力を込める。

 一発特化の(バレット)、速度と威力がより上昇する。

 

 かなりの速度が出ているものの、バランドは簡単に撃ち落としてしまう。



指令弾(バーン)!」

 掌の上に複数の魔力塊を生成し、11時、12時、1時の方角へと飛ばす。

 

意味を(分裂し)」「与える(追え)!」

 そして指令魔術を発動。

 複数に分裂した弾がバランドに向けて追尾する。



指令罠魔術(ミーニングレス)!」

 同時にバランドの足元に紋章魔術を発動させる。


「甘い!」

 しかし足元に展開した指令罠魔術(ミーニングレス)はすぐに攻撃で破壊され、バランドは俺の攻撃を追撃しようと構える。

 

 紋章魔術は、このように近距離に配置するとすぐに破壊されてしまうというのが短所となっている。

 破壊された術式はそのまま空中に分解され、すぐさま無くなる。



 そう、普通の魔術はな。

 異変に気がついたのか、バランドは回避の構えをするがもう遅い、



意味を与える(ばくは)!」

 今展開した術式は”魔力を物質化する”と言う魔術だ。

 しかし防御術式ほど硬くはならなく、攻撃性は無いという一般的には使えない魔術。


 しかしこの魔術の良い点は、魔力を増加させる回路が無いために()()()()()()()()()()()()が使えるという点。


 破壊された術式は結晶となり宙を舞い、指令魔術によって爆破しバランドへダメージを与える。



火炎弾(ファイアバレット)!」

 追撃の手は休めない、大魔術の術式を展開する。

 速度を重視した火炎の弾を放つ魔術だ。


 近くに民家はないが、夜なので炎魔術はあまり使いたくはない。

 けれど炎の殺傷能力の高さは魅力的なので使うしかない。


 

「風舞。」

 直後バランドを中心に突風が起きる。

 土煙によってバランドの姿は見えなくなる。


 前から吹く風を感じた瞬間、前から風の刃が複数飛んできた。



「くそ!」

 火炎弾(ファイアバレット)の術式が破壊され、俺にも切り傷が複数入った。

 切断力自体はそこまで高く無いにしても、アグラを連れ出すために地味に魔力を使ったために出血するのは好ましくない。


 右後ろへとひく。

 土煙によってお互いの位置は”先ほどまでいた場所”以外は分からなく、俺ならさっきまでいた方向に攻撃する。


 予想通り、俺のいた場所に攻撃が飛んできた。 

 俺に不意打ちをかました圧倒的速度の中距離攻撃だ。



「三流魔術師の癖に中々やるではないか。」

 油断しているのか、戦闘中なのに俺に話しかけてくる。


「ハ!腐れ外道に褒められても一切嬉しくないぞ!」


「私もそろそろ体を動かすのがきつくなってきてな。もう少し話しておかないか?」


(バレット)!」

 不意打ちで魔力を叩きこむも簡単に撃ち落とされてしまう。


「話してやると言ってるのに……中々に物騒なやつだ。」


「無駄に話し合いをする余裕は無いんでな!」

 カノンがどうなっているか分からない以上は現状増援が来ないと考えるべきだろう。

 相手は増援が来るかもしれないため、時間をかけて戦うメリットは無い。



指令弾(バーン)!」

魔力弩砲(バリスタ)!」

 左で複数の魔力塊を生成しつつ足元付近に魔力弩砲(バリスタ)を展開。

 前方にばらけさせるように魔力塊を放出し、魔力弩砲(バリスタ)は追撃のために設置しておく。



 バランドが指令弾を剣で落とした瞬間、全力で距離を詰める。

 鞘を傾け、抜刀と同時に放つ左下からの一閃!。


 この一撃はバランドの剣によって受け止められる。

 

 近くで見ると不思議な剣だ。

 ゲステラの剣は半透明な剣だったが、こちらは白を基準とした剣。

 彫刻などはなく、つるりとした少し長い短剣のような形をしている。


「放て!」

 バリスタを発射させ同時に強化魔術を解除する。

 強化魔術を完全に解除したことにより、気絶防止につけている自傷用の魔石の効果が発動するが我慢する。

  

 そのまま下から上に飛んでいる魔力弩砲(バリスタ)の矢が俺の腹の辺りを貫く。



意味を(前上に)」「与える(加速)!」

 直後指令魔術を発動し矢尻が出た程度で、まだ体の中にある魔力弩砲(バリスタ)の矢の進行方向が変わるのを感じる。

 そしてそのまま俺の腹を破り、バランドの胸に向けて魔力弩砲(バリスタ)の矢が突っ込む。


「何!?」

 バランドが驚く。矢が体から出てバランドの胸の辺りを貫いた瞬間に、バランドを蹴とばしそのまま後ろへと飛ぶ。


意味を……(矢に成り)与える(追え)……。」

 出血している血液に対して指令魔術を使用する。



 バランドと距離を取る。

 その直後、いきなり立てなくなり前に倒れる。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛。」

  敵が目の前にいたことにより何とか我慢できた痛みが、少し気を抜いた瞬間に我慢できない激痛へと変わり襲い掛かる。

 体の中に侵入した時間は1秒ほどであったために叫ぶ余裕すらなかった。

 

 しかし矢が貫通した後の肉体は損傷しており、脅威的な痛みを感じる。

 今までの怪我はアドレナリンの分泌によってある程度痛みが和らげられていたのだろうが、今回は分泌されていないのか痛みが今までの比じゃない。


 いや、今までの重傷は大体戦闘が終わった後に倒れていた……となると、今アドレナインが切れて激痛に襲われているというのが正解だろう。


 このまま出血するのはまずいため、前と後ろの傷口に対して手を当てて炎を放出する。

 傷口を焼いて強引に止血したのだ。



 流石に強引過ぎたと反省してる。

 これはアリシャとの模擬戦で使おうと思って結局使わなかったネタだが、カノンの言っていた意味がようやく分かった気がする。


 完全な予想外からの攻撃だったろうが、こっちのダメージも恐ろしくでかい。

 どうもその辺の意識が薄いようだな。気を付けておこう。


 そんな思考をしつつ、矢の邪魔になった困るために解除していた強化魔術をかけ直してようやく立ち上がる。

 立ち上がり前を見ると、こちらを見ながら自分の手当てをしているバランドがいた。


「うわ、シュールだなぁ。」


「何を言ってるんだ。」

 俺に止めを刺さずに手当とは中々に悠長……と思ったが奴は老体、ちょっとしたことで死が見えるぐらいには体力が落ちている。

 足元を見ればかなり血が出ている。

 

 俺の血が混ざっているのもあるにしても多い、恐らくは大事な血管を傷つけたのだろう。

 いくら地球人より頑丈とはいえ大量出血を放置したままだと危ない。

 

 回復魔術を使用しない理由は分からないが、格下と思っている相手がのたうち回っているのならば手当を優先するという考えもあるのだろうか。

 

 

「いや、中々に悠長なことをしているなと思ってな。」

 こっちもそこそこダメージがある。少し会話をして時間を稼ぎたい。

 後はヒューマノイドがやったような”時間を稼ぐように見せかけて速攻をする”と言うのも狙いたいが、あれは地味に難しい。

 

 何年、何十年……もしかしたら何百年と生きてきた人間を越えた悪魔だからこそできたことだろう。



「まあな。私は今死ぬわけにはいかないからな」

「今死ねばあの子が悲しむ。」


「まあ死ねないわな。」

 あの子とは分からないが、もしかしたらアルト以外にも義理の子どもがいるのかもしれない。


 さて、そろそろ戦闘を再開するか。

 なんてのんびりとした状態から戦闘の思考に戻そうと瞬間、出口に見慣れた人物が経っていることに気付く。



「アルト!何故ここに!」

 黄金の鎧をまとった少女がそこには立っていた。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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