光の力
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。
そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされている。
その後聖女であるアグラを助け出すため、俺は城へと忍び込んだ。
そこでアグラを攫い逃げ出そうとするも、すぐに見つかり交戦状態へとなってしまう。
「死にたくなければそこで静かにしてな!」
アグラをお姫様抱っこのように持ち上げ、そのまま部屋を出る。
聖女ともなれば、魔力の関係で筋肉はあまり鍛えれない(筋肉が多すぎると魔力変換が悪くなる)だろうから全力で走ると不味いか。
部屋から出てそのまま廊下へと進む。
アグラを閉じ込める用に作った……とは思わないにしろ、この別館は特殊な作りとなっている。
まず窓すらない部屋の時点でおかしいし、何よりここにつながる廊下が一本道となっている。
つまりここから逃げ出すには敵を倒すなり拘束するなりで、無力化しなければいけない。
「貴様が侵入者か!」
廊下の先に男がいて見つかってしまう。
遅かれ早かれ見つかるだろうが、即見つかるのはあまり嬉しくない。
髪が1本も無いつるぴかの頭に、不健康そうな太った体。
高級そうな紫色の服を着た見るからに只者ではない男だ。
「だがここで終わりだ!」
「馬鹿者が!今俺に攻撃したら聖女様にも攻撃が当たるかもしれないぞ!」
「えぇ!?助けに来たんじゃないんですか!?」
アグラが驚く。もちろんハッタリだけどな。
「助けに来たんじゃなくて誘拐しに来たんだよ!だから有効活用させてもらうぞ!」
「愚か者めが……。」
そういうと、太った男は野球ボールぐらいの大きさの紫色の球体を取り出す。
魔具だろうか?。
「光よ」
そういうと魔具から眩い光が放たれる。
「まぶしっ!!」
目くらましだ。しかし今までの敵に目くらましを使う相手がいなかったためか、完全に喰らってしまった。
恐らくは目くらましをする、光が消えた直後に遠距離攻撃で俺を削る、というのがやつの動きだろう。
となると足を止めずに動くことが一番。
戦闘時により加速された思考により、コンマ数秒の内に方針が決まり即行動に移ろうとする。
「光鱗ノ槍」
男が光鱗の槍とつぶやいた瞬間、俺の左脚が貫かれた。
「何!?」
強化魔術をつけていた状態で貫くとはかなりの威力の遠距離攻撃。
敵の言葉を信じるわけでは無いが、技名の通りならば投擲槍による攻撃か槍状の魔術だろう。
全力で後ろへと下がる。理解のできない攻撃が飛んできた場合は無理せず下がるの鉄則だ。
さてどうしたものか。時間をかければこちらの方が不利となる。
技名を言った瞬間に攻撃が飛んできたので、魔術ならば圧倒的速度の攻撃が考えるのが妥当。
まあ時間をかければ不利になるわけだし、さっさと前に行くのが良いが理解のできない攻撃相手に突っ込むのは正直危ない。
「指令弾」
掌に出した正方形大の複数の魔力塊を前へ飛ばす。
「爆散炎球弾」
更に左指先に炎と風の魔力素因を生み出し、それを飛ばし敵の前で爆発させる魔術だ。
「意味を与える!」
指令魔術によって指令弾を追尾攻撃に切り替え追いかけさせる。
太った男は指令弾を剣で落ち落とそうとするが、直後に爆散炎球弾によって視界が埋まる。
指令魔術によって威力が下がったために直撃したところで大したダメージにはならないが、爆散炎球弾による視界妨害に加えた情報量の多さによって敵を混乱させる。
「アグラ!悪いが少し辛いが耐えてくれ」
「魔力放出・一点特化!」
足元に意識を集中させる。
「飛ぶ男」
足裏だけで放つ魔力放出。
まるで放たれた弓矢のような、人の動きとしてはおかしな動きで俺は前へ飛ぶ。
そのまま太った男を飛び越す。
目にもとまらぬ圧倒的速度……だが、早すぎて俺も攻撃ができないという地味に欠陥のある魔術。
しかも消費魔力が馬鹿多いというデメリットもある。
「アグラ!後ろで何が起こるかの確認をお願いする!」
「指令弾」
若干無茶なお願いをしつつ、指令弾を後ろに放つ。
「意味を与える!」
指令魔術によって放たれた指令弾の量が一気に増加する。
威力自体は微妙とはいえ魔力弾だ。相手の攻撃に当たれば進行方向を多少ずらすことが可能だろう。
「くそ!光鱗ノ槍!」
直後右足に痛みが走る。
「何が起きた!?」
指令弾を出すタイミングを間違えたか!?。
「ゲステラの持つ……透明な剣の剣身をこちらに向けた瞬間一瞬光って、そのまま光がこちらに飛んできました!」
「リーシェさんの放った攻撃には当たらず、そのまま足に攻撃が当たっています!」
「良い観察能力だ!助かった!」
剣身をこちらに向けた瞬間一瞬で光ったとなると魔剣の類だろう。
しかし俺の指令弾を無視して攻撃が可能というのは引っかかる。
光の魔術は初代勇者の末柄、光の一族しか使えない上に男の跡取りができるとそこに力が移るらしい。
見た目的には40代前後と言ったところの男が、俺と同年代らしい光の一族の子孫とは考えられない。
となると光の魔術によって攻撃しているのではなく、光を利用した魔術と言ったところだろう。
光に対して魔術的意味を与え槍として攻撃する。
似たような魔術は地球でもあった。
しかし攻撃によって反撃ができないのはそこそこやっかいだ、光の速度の攻撃なことも考えると回避は難しいしな。
だがこちらの攻撃が当たらないということはそれ即ち”相手からもこちらの攻撃が当たらない”と言うこと。
これが熱線攻撃ならば別だが、喰らった攻撃の種類的には物理的な槍に近い。故に光を槍に変換した攻撃と断定する。
あのおっさんが魔法を使えるとは思えないから[攻撃が当たる直前に槍に変化する]と言った感じだろう。
となれば攻撃が入るまではただの光だ、やりようはいくらでもある。
「石壁!」
中魔術を発動させ、俺の後ろに巨大な壁を生成する。
まずは対策その1、物理的な壁によって光を遮断すること。
「解析は早いが甘いわ!」
「ゲステラが剣によって壁を破壊しました!」
「薄い壁程度じゃダメか!」
太い壁を作るにはゲステラとの距離が近すぎる。
両足を射貫かれた上でこちらはアグラを抱いて走っている。
故に飛ぶ男で強引に空けた距離はぐんぐんを縮まっているのだろう。
しかし壁を破壊してすぐに攻撃してこないということは、光鱗ノ槍には何らかの攻撃条件があるのだろうな。
最初に光を発生させる魔具を使っていた点かが考えると、光を反射と言ったところだ妥当だろう。
「haru/auto-hukka-peza!」
魔術語によって魔力を練り、術式を展開する。
詠唱術だ。
詠唱術は紋章術のように複数展開できない上、詠唱をしないといけないという圧倒的隙がでいる。
しかしその分魔力効率が良く、自由度が高い。
故にこのように、泥水を生成するなんていう魔術を即興で放つことすらできる。
ちなみに術式展開はしなければ威力は出なく、術式展開の無い詠唱術というのも存在しない。
「詠唱術だと!?」
後ろに大量の泥水が生成される。
水&土魔術なので、魔力がかなり持って行かれるがそこは仕方ないと割り切る。
質量で強引に後ろに押し込み、更に泥水なので光を通さない。
今出せる最善の手だ!。
ついでに何個か罠を貼って前に行く。これですぐにはこれぬまい。
「よし!このまま一気に出口まで走るぞ!」
「右からきます!」
「くそ!」
横からの不意打ちが飛んでくる。
それをギリギリで変わる……が、横には壁しかなかったはずだ!。
「見逃していたのか……?」
「いえ、恐らくは魔導具を使っていたのかと。」
「透明になるか、擬態する系の魔導具かよ!」
中々に凄い魔導具……だが、俺に攻撃してきた時に姿が見えたということは攻撃時には解除しなければいけないようなものなのだろうか?。
てか魔導具とか高級なもん持ちやがって!。
しかし今の剣捌きから考えるとあまり実力は無いようだ。
だってアグラの助言があったとはいえ、不意打ちで俺を殺せてないからね。
となるとさっさとこいつを倒して前に行くしかない。
「光鱗ノ槍」
直後俺の右太ももに痛みが走る。
「集中力を欠いたな。」
そこには太った男がいた。恐らくゲステラはこいつだろう。
「しまった……計算を間違えたか。」
太った上に薄汚いことをしている遠距離攻撃持ちだ、実力はそこまで無いだろうと思い込んでいた。
しかし初撃の被弾は多少ましになったが、2連続で右足に攻撃を喰らったのは不味い。右足の機能がかなり下がった。
「さて聖女様を返していただきますよ……。」
「ハ!今攻撃すると聖女様を盾にするぞ!」
「光の攻撃だぞ、避けれるわけがない」
「死ね。光鱗ノ槍」
飛ぶ男を発動しようとした瞬間に攻撃が飛んでくる。
壁に設置してある光を生成する魔具の光を、光で反射するようにこちらに向ける。
死ぬ間際の加速された視界の中で視る。
反射された光は一本の槍となり、こちらが避け用の無い光速の一撃となり俺の頭を狙う。
「させねーよ!」
直後俺の頭に向かって飛んできた光の槍が止められた。
反応すら難しき一撃を、その男は剣によって破壊したのだ。
「何!?」
「だらだらと話過ぎたな。チェックメイトだぜ。」
そこには見知った顔の少年がいた。
この世界で出来た初めての友人。
「カノン!」
「カノン殿!?何故ここに!」
「良くやった!ここは俺に任せて先に行け!」
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