氷結の魔術師
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にし、友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨してた。
時期は夏。
後輩のクリームの誘いでダンジョンへ行くこととなった。
そこで地下深くにいるはずであるサイクロプスが何故か浅い階にて出現。
サイクロプスを倒すべく俺達は休憩所へと避難要請をしに行くも謎の男と出会い、逃げるために最下層まで落ちてしまう。
そこで巨大ボスを倒した少女、氷結の魔術師と戦うことになってしまう。
「ハ!不可能や出来ないなんて糞みたいな言葉は前世で死ぬほど聞き飽きた!」
「全力で抵抗してやるぞ!この命が尽きるまでな!!!」
自己鼓舞のためだが、さらっと前世だの言っていて割とやばいのではないか?。
よくわからんテンションで言ってしまったことを後悔しつつ、通信用の魔具を投げ剣を構える。
まああれだ。多分敵は氷結の魔術師だけだろう。
「リーン・・・・・・嘘だろ・・・・・・。」
そうカノンが呟いている。
幻覚でも見せられているのかは分からんが、近くにいるのは良くないだろう。
理由は分からんが氷結の魔術師は攻撃はあまり攻撃をしてこない。
となると賭けにはなるが、カノンから離れてタゲを取るように動くしかない。
そして2人目は動けない前提とする。
そもそも氷結を相手するのですら困難なのだ。2人目に意識を割く余裕は無い。
最低限カノンに注意を払いつつも、可能な限り評決を倒すことに集中すべきだろう。
足の強化魔術を爪の形にして、氷の上を強引に歩いているために加速魔術を初めとして加速系の魔術は使えない。
「行くぞ!」
こちらに集中させるために大声で叫ぶ。
「意味を与える!」
先ほど作りだした指令弾を多方向へ放ち、そのまま指令魔術を使用する。
「氷月」
氷結の周りを回転するように氷が包み込み、綺麗な円状の氷が作られる。
放たれた指令弾は氷月に当たるも、一切ダメージを与えた様子が無い。
「火竜砲!」
後ろに火属性の大魔術を展開。
俺が射線を通らないように左から氷結へと攻める。
火属性の大魔術が放たれる。
火炎砲の威力を一点集中にした小範囲高威力ビームだ。
流石に一点特化の火魔術故に氷結の護りを突破は出来るものの、見えない本体には与えられない。
「接続・音声探索魔術」
魔術収納袋から取り出した魔具を取り出し空けた穴に向けて投げる。
魔具を中心として、音により探索を行うという魔術だ。
氷結の作っている壁は薄く広くと言ったタイプだろう。
カノンの攻撃を受けた時より単純な防御力では落ちている。
となると今が好機。音声探索魔術で敵の位置を把握しつつ火竜砲で倒すべきだろう。
「火竜砲!」
大魔術を展開。そのまま氷結に止めを刺そうとする。
直後氷の球体が壊れた。
粉々になった。
結晶は宙を舞い、光を反射し煌めく。
まるで星のような輝きだ。
「分かりました。殺します。」
恐らく通信の魔具で連絡しているのだろう。
氷結の少女の声が聞こえた。
氷結が白いローブを脱ぐ。
身長160センチほどの細身の体。
白い髪に白い肌。氷の髪飾りを付けたロングの少女。
物語で言えばまるでヒロインのようだが、目が死に表情も冷たい。
恐らくはバックについている奴からの許可なりが無ければ動けないと言った状態だったのだろう。
そしてその許可なりが出た。
ここからは全力で殺しにくるということだ。
ちょうどいい!。
俺の長所は敵に合わせた臨機応変な戦闘だ。
故に防御に徹された場合は地味にめんどくさかった。
「透総。」
氷結が魔術収納袋から刀身の無い剣を取り出す。
「指令弾」
あれは確実にやばいやつだ。と本能的に察し次の攻撃の準備をする。
「凍れ」
彼女が呟いた瞬間、刀身の無い剣に刀身が生えてきた。
所々白くあるが、透明で綺麗な剣。
氷でできた氷剣だ。
ただし生み出された大きさが異常だ。
大きさは刀身だけでも120センチはあるだろう。
担い手によってはちょうど良い大きさかもしれないが、彼女の体形身長を考えるとどう考えても大きすぎる。
とはいえミスなんてことはありえないだろう。
ミスならば美味しい程度で動くべきだ。
「氷礫」
彼女を中心として大量の氷が飛んでくる。
まるでダイヤモンドのような煌めき…・・・何て言っている場合じゃねぇ!。
「防御術式!」
俺の前と、少し離れたカノンの前に防御術式を展開させる。
くそ!護りながらって言う戦いは死ぬほど苦手なのに。
数発で防御術式にひびが入るほどの高威力だ。
しかも広範囲攻撃とかチートかよ!畜生が!。
「意味を与える!」
指令弾を使い攻撃をしかける。
「氷柱」
彼女の前に氷の柱が生まれ、指令弾を受け止める。
広範囲防御を取ってくれればそのまま火竜砲を撃てたのに。
次に範囲攻撃をされたら護り切る自身が無いために、中距離攻撃で牽制しつつカノンの元へ行く。
しかし無差別範囲攻撃をするということは氷結の仲間はいないのだろうか?。
術式展開を感じないことからも、現状は氷結1人と断言しても良いだろう。
ならばカノンは何故動かない?。
『リーン』
瞬間パズルが埋まったような感覚となる。
「なっ!まさかそんな偶然があるわけないと思ったが・・・・・・そういうことか。」
前に言っていた振られた幼馴染。
それが今いる氷結の魔術師、リーン・シャーベッドが。
端的に言えばそいつがカノンを覚えていなく、その上殺しに来たと。
うわー。そんなん死にたくなりますわな。
流石に可哀相ではあるが、それだけで動けなくなるってのも妙な気もする。
てかそれだけで動けなくなったんなら普通に怒る案件だぞそれ。
確かに絶望するような事態ではあるが、今ここで固まり世界に絶望するなんてバカな真似をするなら俺が怒る。
なんなら生きているだけマシだしな。
「氷槍」
そんな思考をしていると、リーン・シャーベッドが魔術を使用する。
超太い氷の槍が氷結の後ろで4本産まれ、俺に向かって突っ込んでくる。
地面についた重い一撃は柔拳や傾けた防御術式でいなすのは厳しい。
回避に専念すべきだ。と考え回避へと移る。
正面から突っ込んできた1本目は簡単に回避する。
避けた先に突っ込んできた2本目軽く頬をかすったがそのまま回避をすることができた。
上から降ってきた3本目は肩を軽くえぐられただけでギリギリ回避をすることができた。
くそ!寒さのせいで動きが鈍る!。
強化魔術は温度の変化にそこまで強くない。
まあ普通なら凍死してもおかしくない状態を寒い程度で乗り切れる時点でかなり便利だけどな。
・・・・・・待て、今俺が回避したのって3本だけじゃないか?。
極限の中で加速された思考の元、目の前に出された情報すら処理のできない現状を憎む。
無防備で虚空を眺め固まっているカノンの元へ。
速度はそこまでだが、体内に入られればそのまま刺し殺されるほどのパワーを秘めた氷の槍が接近していた。
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