3人の魔術剣士
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にし、友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨してた。
時期は夏。
後輩のクリームの誘いでダンジョンへ行くこととなった。
そこで地下深くにいるはずである、サイクロプスが何故か浅い階にて出現。
サイクロプスを倒すべく俺達は休憩所へと避難要請をしに行くも謎の男と出会ってしまう。
そして謎の男はこの世界、火薬という概念が無いせかいではありえないはずの存在。
拳銃を取り出し、俺たちに攻撃をしてきた。
火薬という概念が何故か存在しない異世界。
そんな世界で作られた銃とは一体どのようなものなのだろうか?。
[ぽすん]なんて間抜けな音がした。
火薬によって弾を発射しない銃故に銃声は大した音じゃないのだろう。
「防御術式!」
「勇者の盾」
2人の前に防御術式が展開される。
お互いに自分を守ることを意識した防御術式。
黒ローブの音が放った弾丸は、その術式を避けるように俺たちの間の地面へと直撃した。
「外した・・・・・・?」
「跳弾狙いかもかと思ったが・・・・・・違ったようだな。」
そういうカノンはきちんと周りに術式を展開している。
「決めに行くぞ!エンタープライズン!」
カノンの後ろを俺とカノンを避けるように、通路を埋めるようにに術式が展開される。
そして俺はというと、特に何もなく警戒態勢を続けている。
だって下手に動くとカノンの邪魔になりそうだし。
「参肆参肆。」
直後俺の体が地面に激突する。
「なッッ!?」
重い。体がとてつもなく重くなり、立つことすら困難になるほどの重さとなった。
となると俺の体重を重くするタイプの魔術か、重力関係の魔術と考えるべきか。
横のカノンを見ると俺と同じく地面に伏せる形で動きを止められている。
黒ローブの男は左手を黒ローブの中に入れ、右手で持つ拳銃のような物を俺に向ける。
「陸伍漆る世解。」
そう呟き、拳銃を俺の頭に向けて放つ。
しかし銃とはいえ拳銃だ。
人を殺す力はあるが、魔術師の防御術式を破る威力はありえない。
そう思い防御術式を展開し銃弾を受けようとする。
・・・・・・いや、受けようとしたという表現が正しかったか。
目の前に術式を形成したにも関わらず、俺の作り上げた魔術陣は生成されなかった。
「魔力放出・一点特化!!!」
直後地面につけていた左手から大量の魔力が生成され、俺の体を浮かすようにして強引に銃弾を避ける。
敵の攻撃が何かは分からない、しかし今は解明している精神的余裕は存在しない。
銃弾を寸前の所で回避し、そのまま壁に激突し落ちる。
どうやら火縄銃に近い形らしく、黒ローブの男は余裕ぶって銃弾を詰めている。
魔術が使えない、体をまともに動かせない少年少女相手ならば余裕を持つのも仕方ない。
ならば!と、奥の手を使うしかない。
「カノン!トラップを作動させろ!」
現状考える限り、俺たちが殺される以外の最悪の手段だ。
「了解!」
そう言ってカノンは近くにある石板に触れ、トラップを発動する。
俺とカノンはそのままボッシュートされて地下へと送られる。
「なんだと!?」
顔は見えないが、顔が見えない状態でも悔しがっているのが分かるのが面白い。
「悔しがってるのを面白がったは良いが、状況は最悪一歩手前となりました。」
何故か地面が超遠く、魔術を使えるようになった状態でギリギリ生き残れた状態となった。
「しかし罠を発動させそのまま逃げるとは・・・・・・盲点だったな。」
「生き残るためには敵や罠すら利用する。魔術師の心えさ」
「しかし超落ちたな。」
「普通の冒険者なら死んでるレベルで落ちたよな。」
「トラップはこんなにも恐ろしいものだったんだな。」
そう身震いしていると、カノンが神妙な面持ちをする。
「どうした?」
「いや、ちょっと気になったことがあってな」
「トラップで一気に最下層まで行く・・・・・・って言うダンジョンに心当たりがあるんだ。」
そういうと、カノンは一呼吸入れて話を続ける。
「トラップで一気に最下層に行くダンジョンは死んだダンジョン」
「要するに巨大モンスターが殺され、崩壊寸前となっているって言う危機的なダンジョンの特徴だ。」
「やばいやつじゃんか!早く出ようぜ!」
こんなところにいられるか!俺は先にダンジョンから出させてもらうぜ!。
なんて思ったが、普通にアリシャと離れているし下手に出たらまずいことになるかもしれん。
「壁を見た感じだと巨大モンスターが殺されてすぐだろう」
「なら巨大モンスターを殺した、ルールを破ったやつをどうにかしないとだな。」
「つってもそんな時間あるか?」
「まあそうだな」
「というよりは、そいつをどうにかしないと俺達も生きて帰れないだろう。」
そういうとカノンは道を進んでいく。
そして角を曲がった先、そこには巨大な扉があった。
「やはりな。・・・・・・ここは巨大モンスターのすぐ近くだ。」
「良く分かったな。」
「この辺に地形はちょっと特殊だからな。地図を覚えておけば分かるだろう。」
地図を覚えるか。
ちょっと俺には理解できないことだな。
「さて・・・・・・と、じゃあまずはこいつらから情報を貰うことにするか。」
そういうとカノンは近くにある人形へと歩き出す。
うん?何で人形が?。
よく見るとそれは人形では無かった。
顔がのっぺらぼうにされ、腹に穴が空いた人間だ。
「な!?」
血の臭いがしないから一切気がつかなかった。何故血の匂いがしなかったんだ!?。
「勇者の特権」
そういうとカノンは死体の頭に触れる。
何をやっているかは分からないが恐らく重要なことをやっているのだろう。
「黒ローブの男がこいつを殺した。」
「なんだと!?」
「この人は門番だった・・・・・・が、黒ローブに男に殺されているな」
「魔術が使えなくなり、謎の攻撃により腹に穴を空けられて死亡・・・・・・だな。」
恐らく強化魔術を使っている上、強者であっただろう人間の腹に風穴を空けれる一撃。
ちなみに強化魔術は魔力放出を使うまでは解除されていなかったため、恐らくは解除はできない。
もしかしたら後から魔術をしようできないのかもしれない。
そうしたら強化魔術も使えないな。
「そして一緒に白ローブの男・・・・・・体系は分からないが小さいな、もしかしたら女かもしれない」
「その白ローブの人間の2人きりだ。」
「となると、増援が来ていない限りはこの先にいるのは白ローブの女ということか。」
恐らくは記憶を見るタイプの魔術だろう。
「作戦はどうする?正直勝てる気はしないが。」
「ダンジョン破壊が怖いが入ってすぐに高火力魔術不意打ちで大丈夫だろう」
「巨大モンスターが死んだところで、よっぽど大規模な攻撃でダンジョンを破壊しない限りは多少破壊しても大丈夫なはずだ。」
「正直勝てる気がしないが行くしかないか。」
「今は巨大モンスターを倒して消耗してるだろうし、巨大モンスターの魔石を回収している可能性が高い。」
「消耗していないぐらいに強いやつだったら?」
「諦めるしかないだろうな。」
「・・・・・・はい。」
「つってもこのまま逃げて上層で鉢合わせになったりしたら面倒だし」
「何よりこいつを放置すれば被害が広がる。ここで殺しておかないとだめだ。」
いつになく真剣な顔へとなる。
「消耗している今が好機だろうからな・・・・・・じゃあ行くか!」
「その前にアリシャに連絡取っておけ。巨大モンスターが殺されたなら通信魔具は使えるはずだ。」
「了解。」
そう言って通信魔具に魔力を込めるも、[ジジジジジ]なんて言う雑音ばかりで聞こえない。
「聞こえないぞ。」
「巨大モンスター部屋の近くだからか・・・・・・じゃあいくぞ!」
「心の準備をさせてくれ!」
「こういうのは下手に緊張しないで行った方が良いものだ。」
「良いものなのか・・・・・・。」
若干疑問に思いつつも、カノンについていき扉の前に行く。
「いくぞ!」
そう言ってカノンは扉を開け、中に飛び込む。
防御能力の高いカノンが前に出て、それを俺が魔術で援護するという形だ。
部屋の中は異常だった。
強化魔術の上でも身震いするほどに寒い。
そこら中に氷の柱があり、地面は凍っている。
そして部屋の真ん中には巨大な骨がある。
巨大モンスターの死体だろうか?にしてもまるで白骨死体かのようにきれいな骨。
形的にはドラゴンの骨のようだが、体が無く歪だ。
その骨の近くには白ローブの人が立っていた。
そいつは今から俺たちが倒す・・・・・・いや、言葉にするのを避けていたが敢えて言うべきだ。
今から俺たちが殺す相手だ。
もちろん拘束をするのが理想ではあるが、そうやすやすと拘束なんてできない。
故に殺す前提で動くべきだろう。
「誰?」
白ローブの人の声が響く。
女性のようで、響くとても聞きやすい声だ。
「勇者の力・光の弓」
対話なんてできないと考えたのか、カノンの持つ弓が光を纏い矢が放たれる。
弓から放たれた弓は、まるで光のごとき速さで白ローブの女へと向かう。
「氷山」
しかし放たれた弓矢は下から生まれた氷・・・・・・氷と言うには余りにも大きい、氷塊によってスピードが落ち白ローブの人に避けられてしまう。
氷となればこちらは火で攻めるべきか。
「火炎雨槍蓮!」
白ローブの女の上空に術式を展開する。
雨のような大量の火炎槍を降らせる魔術だが、これは囮。
「カノン!挟むぞ!」
「強化魔術・獣」
足の強化魔術の形状を少し変化させ、爪を生やしまるで獣のような形へとする。
氷で滑らないようにするためだ。
「火炎球!」
俺の横に2つ、白ローブの女の死角になる場所に1つ小魔術を展開。
もちろんこれで殺せるわけでは無いが、このスキルをついて高火力持ちのカノンが仕留めてくれるだろう。
「氷壁」
しかし白ローブの女を囲むようにして氷が生え、俺の放った火炎球は守られてしまう。
「簡単に解かせる氷じゃないか。」
そう呟き状況を確認する。
カノンの一撃ならば破れるだろうが、俺の魔術で破れるかは不明。
となると最初のプラン通りに俺がサポートをしつつカノンが仕留める形が一番だろう。
・・・・・・って、そういやアイツ攻撃してなくないか!?。
「おい!大丈夫か!」
何かあったかと思いカノンを見る。
カノンは棒立ちしていた。
先ほどまで白ローブの女がいたところを見つめて止まっている。
「くそ!精神攻撃でも食らったのか!」
カノンは2人と言ったが、もしかしたら3人目がいて何かしたの攻撃を喰らっている可能性がある。
完全に隙ができている状態故にこのまま放置するのは不味い、とカノンの近くまで飛ぶ。
何故か分からないが、さっきから向こうはこちらへと攻撃をしてこない。
しかし他にもう1人いることを考えれば安心できるような状態ではないだろう。
「リーシェ!聞こえる!?」
通信の魔具から声が聞こえる。
恐らくアリシャがこちらにかけてきたのだろう。
「聞こえるが緊急事態だ!後で折り返す!」
「分かった・・・・・・でも気を付けて!」
「ダンジョンが崩壊してるみたい。」
「大丈夫だ・・・・・・っと!あぶねぇ!」
俺がアリシャと話しているのを隙と捕らえたのか、目の前から太い氷の槍。
槍と言うには余りにも太く、刺されたら最後そのまま突き抜け風穴なんて生易しい比喩表現ではない穴が空くだろう。
しかも恐ろしいことに、先は異様に鋭いために下手な防御ではそのまま体を突き破るほど。
「何が起きたの!?」
通話越しにアリシャが心配している。
「前からやばい攻撃が飛んできて避けただけだ。気にするな。」
「普通に気になるよ!?」
「すまん。悪いがそっちに気を使っている余裕が無い。」
直後背筋が凍る。
何かここにいると不味い。
そう感じ全力で下がると、先ほどまで俺のいた場所に5本ほどの槍が落ちてくる。
「氷柱なんて規模じゃないぞ!?」
確かに氷柱で死んだなんて事故は聞いたことがある。
確か10メートルを超える氷柱があると聞いた。
それに比べると小さくはあるが、1メートルの氷柱が俺の命を狙ってくるのだ。
2人目の存在は不明だが、どうやらそいつは攻撃をしてこないようだ。
制約により精神妨害中は攻撃ができないのかもしれない。
「氷柱って本当か!?」
通信魔具の先でアルトが反応している。
「あの時の少女に見覚えがあると思ったが・・・・・・。」
「指令弾!」
下手に返事をして隙と見られれば不味い。
ならばここは大声で技名を言って、返事ができないことを伝えるべきだろう。
「主君!今氷結の魔術師といるのか!?」
氷結。氷結と言うとあれか、うちの国の二つ名魔術師か。
・・・・・・そういやこっちの世界だと4大元素魔術(火、風、水、土)以外って珍しいんだよな。
「氷結の魔術師だと!?」
くそ!何故気がつかなかった。
確か15歳という若さで二つ名魔術師の名を受け継いだ天才。
いわば格上。
今の俺では逆立ちしても勝てない相手だろう。
更に言ってしまえばカノンを守りながらの戦い。
しかも相手は2人いる可能性が高い上、目の前の女は二つ名魔術師。
はっきり言って詰んでいる。
勝てる気がしない、勝つことは不可能、どうしようもない状態だろう。
だが勝てないから、勝ち目が見えないからと言ってそう簡単に諦めれるほど俺は現実が見れていない。
勝てないならば無理をしてでも勝ち筋を見つける。
勝ち目が見えないなら命を削ってでも勝ち目を見つける。
それが恵まれなった俺の戦闘法だ。
「ハ!不可能や出来ないなんて糞みたいな言葉は前世で死ぬほど聞き飽きた!」
「全力で抵抗してやるぞ!この命が尽きるまでな!!!」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
皆さまが読んでくれるおかげで100回を突破できました。
まだまだ書き始めの初心者ではありますが、これからもよろしくお願いします。




