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伝説の召喚士、禁断の召喚術を試す ・・・500匹のスライムどうする?  作者: てるるん
第3章 伝説の召喚士、貴族に目をつけられる(目をつけ返しました)
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第1話 召喚士の常識?(きっと、たった1名だけです。)

 王都セレナ。


 王宮での報告を終えたフロウベルとリンナは、冒険者ギルドへ向かっていた。


「……ようやく終わったわね」


「そうですね!」


「王様との謁見……平常運転だったわね……」


 はぁっとため息つくリンナ。


「ええ、王様も宰相様もお優しい方ですから!」


「まあ、確かにそうだけど……」


 リンナは、隣を歩くフロウベルを見た。


 王様を前にしても、いつも通りのフロウベル。


 緊張しないのはいいことなのかもしれないが、もう少し自分の立場を考えてほしい気もする。


「それで、フロウベル。これからどうするの?」


「あの、くそ貴族の事ですか?」


 実は、まだ少し怒っているフロウベル。


 自分が何かされたわけでもないのに、何か物騒なことをしそうな雰囲気である。


「違うわよ!あれは、ほっときなさい。王様が何かしてくれるから。」


 本日、何度目かの溜息をついて、


「しばらく王都にいて、何かするのかってこと。」


「そうですね……。新しい召喚の研究したいですね。」


「召喚の研究?」


 首を傾げるリンナ。歩きながら、召喚に関して話すフロウベル。


「ええ、実際にアラクネさんの例がありますが、たぶん、今まで召喚の対象って魔物って認識があったと思うんです。」


「ああ、そう言われれば、召喚に素人な私でもそう思ってるわね。」


「ですよね。でも、実際には魔族のアラクネさんも召喚できました。しかも魔物と同じ召喚契約ができます」


「そうね、確かにできたわね……」


 ふと、リンナがある考えに達して叫ぶ。


「あんた、まさか!?」


「いえ、リンナさんが考えてるようなことはしませんよ。アラクネさんには知らなかったとはいえ、契約まで結んじゃったんですけど、もう、魔族や人に対しては行いません」


 フロウベルの話を聞いて、ほっとするリンナ。


「……よかった。ちょっとは理性があったのね、フロウベル」


「ちょっとはとは、なんですか!私は理性の塊ですよ!」


「理性の塊が、思い付きで魔族を召喚対象にすんな!」


「……それはそれ、これはこれです。で、私、思ったんですよ」


「話し、そらしやがったな、で何を思ったんだ?」


 リンナが呆れた顔をして、フロウベルに問う。


「召喚契約とテイムの違いって何だろうって?」


「……はぁ?」


「獣使いさんや、魔物使いさんたちのテイムと、召喚契約。今まで、皆さんは召喚について、こう考えていましたよね、召喚した相手を『帰還』させると、召喚契約そのものも解除されると思われていましたよね?」


「そうだな。テイムで、開放するのと同じようなイメージだったな」


「でも、私の召喚を見て、召喚契約されたものは、契約そのものを切らない限り、何度でも召喚されるってわかりましたよね」


「そうだな……」


「これって、テイムとあまり変わらないと思いません?」


「……そう思えてくるけど、私にはごめん、そこまで理解できない」


「胸ばっかりに栄養回すから、脳みそが腐るんですよ」


「誰が、腐ってるか!」


「まぁ、いいです。その辺、エルミドに行ったときにでも、シャンティさんと考えます」


「どうせ私じゃ、頼りになりませんよ」


 リンナが拗ねる。フロウベルが不思議そうな顔をして、リンナを見る。


「そんなことはありませんよ?いつも、私を守ってくれてるじゃないですか」


 リンナに向けてにこやかに笑うフロウベル。リンナそんなフロウベルを見て照れる。


「そ、そっかなぁ。で、召喚の研究はどうするんだ。」


「この王都には研究所もありますし、そこで、しばらく調べものして、エルミドに行きます」


「……休むという選択肢は?」


「休んでますよ?」


「いつ!?」


「今です!」


「歩いてるだけでしょうが!」


 この調子では、ギルドに着くまでに何度ツッコミを入れることになるのだろう。


 できれば、三回以内に収まってほしい。


 ……無理だろうが。


 しばらく歩きながら、たわいもない事をしゃべる。


 リンナふと、疑問に思った。


「ねえ。召喚って、相手が応じてくれないと成立しないんでしょう?」


「はい!」


「じゃあ、召喚したい相手が応じてくれなかったら?」


「諦めます!」


「……意外とあっさりしてるわね」


「だって、嫌がっている相手を無理に召喚することはできませんから」


 フロウベルは、当然のことのように答えた。


「相手にも都合がありますし、召喚に応じるかどうかは相手が決めることです!」


「……そういうところは、ちゃんとしてるのよね」


「そういうところ?」


「なんでもないわ」


 リンナは少しだけ笑った。


 フロウベルは、召喚に関しては妙なところで真面目なのだ。


 ……妙なところで、というのが問題なのだが。


「でも、この辺が、テイムとの差なのかもしれませんね?」


「いや、私に聞かれても……ティムとの差?」


「ええ、基本ティムの場合、相手より有利な状況の時に使役できるじゃないですか」


「……そうね」


 ティムは、相手より強い、または、相手が弱っているときに使役契約の魔法をかけると行える。


「召喚契約は、あくまでも相手の意思ですから」


「なるほどね……。アラクネは自分で了承してたし、ワイバーンも……まあ、選択肢はあれだったけど」


 リンナは、フロウベルの肩に乗っているカーバンクルを指差した。


「じゃあ、カーちゃんは?」


「ベヒモスさんもカーちゃんも、『面白そうだから』だそうです!」


「……四大魔獣って、そんな理由でいいの?」


 リンナは頭を抱えた。

 

「……でも、あれ、あのスライムたちはなんで、召喚に応じたの?」


「それが、一番分かんないんですよね!ゴーレムを召喚しようとしたのに500匹のスライムとか、はぁ失敗したのに……」


「意思疎通は?」


「なんなく、行動とかはわかるんですが、言葉の会話はないんですよ。ほんとになんなんでしょうか?」


「こっちが聞きたいわよ!」


 今は20匹程度、残りは研究所にいると思われるが、ぷるぷると揺れながらついてきているスライム。


 それを眺める二人。


「早く、ギルドに戻りましょ」


 リンナが促す。


「そうしましょ……」


 珍しく疲れたように答えるフロウベル。


「ああ、ギルドに帰っても、説明求められるんだろうなぁ」


 リンナが泣き言を言っている。


「ですね、任せましたよ、頼りになるリンナさん」


「こういうときだけ、頼るなぁ!!」


 二人はとぼとぼ、スライムはぷるぷると冒険者ギルドへ向かうのであった。


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