↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説の召喚士、禁断の召喚術を試す ・・・500匹のスライムどうする?  作者: てるるん
第2章 伝説ってこう始まる(悪目立ちで)
PR
29/54

第13話 街へ帰還 .....街の名前知ってる?(フ) ……そういえば、知らない(リ)

 森の異変は、ひとまず解決した。


 アラクネとの交渉も終わり、狩猟場の範囲も決まった。


 あとは王都へ戻り、今回の出来事を報告するだけである。


「それじゃあ、帰りましょう!」


 フロウベルが元気よく言う。


「そうね」


 シャンティが頷く。


「……やっと帰れる」


 リンナは少し疲れた様子で肩を回した。


 今回の森での探索は、当初の予定よりずいぶんと大事になってしまった。


 魔物の異常発生を調査するだけのはずだったのに、魔力溜まりの原因を突き止め、魔族であるアラクネと交渉し、さらに新たな召喚獣まで増えてしまったのだから。


 もっとも――。


「では、みんな。帰るよぉ!」


 フロウベルが振り返る。


 そこにいるのは、500匹のスライムたち。


「ぷるっ!」


「ぷるぷる!」


「ぷるん!」


 スライムたちは元気よく体を揺らしている。


「……みんなは一緒に帰るからね?」


「ぷるっ!」


 どうやら当然のことらしい。


 今回一緒に行動していた召喚獣たちは、スライムたちを除き、すでに召喚を解除している。


「グリフォンも解除したのよね?」


「召喚解除しまたよ」


 シャンティに答える。


「ワイバーンも?」


「同じく解除しました。今は、アラクネさんの狩猟場の手前で待機させています」


 リンナに答える。


「アスタは?」


「そもそも、召喚してません……」


 ちょっと考えて、


「やってみようかな……」


「やめなさい!やっても召喚に応じないわよ!」


 シャンティが止める。


「……そうですか?案外強くなるって応じるかも」


「……あり得るから怖いわね」


「一応アラクネさんには、あのワイバーンだけは食べないでねってお願いはしときましたが……」


「が?」


 シャンティが聞き返す。


「狩猟場に入らなかったら捕食しないって回答されました。こればっかりは、仕方ないですね」


「……」


 もう、誰も何も言えない。管轄はフロウベルである。


「じゃあ、今度こそ帰りましょう……」


 シャンティが疲れたように言葉を出す。


「ええ」


 三人と500匹のスライムは、森を後にした。


 カーバンクルは、いつものようにフロウベルの肩の上。


「きゅっ」


「カーちゃんも帰るよ!」


「きゅっ!」


 こうして、一行は王都セレナへ向かって歩き始めた。


---


 帰り道は、行きよりもずっと静かだった。


 行きは、何が待ち受けているのか分からなかった。


 そして帰りは――ベヒモスもグリフォンも、ワイバーンもアラクネもいない。


 一緒に歩いているのは、500匹のスライムだけだった。


 その光景だけを見れば、いつもの旅と変わらない。


「……ねえ」


 しばらく歩いたところで、リンナが口を開いた。


「何ですか?」


「今回のこと、ちゃんと報告するのよね?」


「と、思ったんですけどね……」


「ん、なんかある?」


「シャンティさんがずっと一緒だったんだから、必要ないかなぁと」


「……あ、そうだね。ギルドマスターだったわ」


 リンナは前を行く、シャンティをみる。


「報告はしてもらうわよ。私との認識合わせのために。」


「「……げぇ。」」


 シャンティのにべもない回答に、二人して嫌な顔をする。


「あなたたち、冒険者ギルド所属でしょ。報告までが仕事よ」


「「はーい」」


 気のない声で返事する二人。


「いろいろと突き合わせしないと、ちょっとまずいから」


「わかりました」



 そんな会話をしながら、三人は街への道を進んでいった。


 ここで、フロウベルがあることに気づく。


「……あのぉ、シャンティさん。今更聞きづらいんですけど」


「なに?」


「あのですね、そのぉ……」


「なに、珍しく、『らしく』ない態度ね?」


「今、向かってるシャンティさんの街の名前ってなんですか?」


「……!? え、知らなかったの!」


「はい、恥ずかしながら……」


 シャンティが呆れた顔で、フロウベルを見て、そのままリンナを見る。


 リンナもそっぽを向く。


「あなた、護衛依頼受けてきたのよね。その時に聞かなかったの?」


「あまり遠くないって聞いて、それに、護衛依頼って聞いて舞い上がってました。たはは」


「で、リンナは今の今まで教えていないと?」


「わ、私だって、フロウベルが知らないとは思ってなかったんだよ!」


 はぁっとため息をつきながら、フロウベルに教える。


「あの町は、交易都市エルミド。商人たちが集まる交易拠点なのよ」


「そうなんですね!覚えました!」


 そして――。


 数時間後。


 遠くに、交易の街エルミドの城壁が見えてきた。


「あっ、見えてきました!」


 フロウベルが声を上げる。


「やっとね」


「帰ってきたって感じがするわ」


 リンナとシャンティも、少しだけ表情を緩めた。


 エルミドへ近づくにつれ、街道を行き交う人々も増えてくる。


 そして――。


 500匹のスライムも、当然のようについてくる。


「……」


 リンナがスライムたちを見る。


「……これ、また騒ぎになるんじゃない?」


「そうですか?」


「そうよ」


「でも、前にも来ましたよ?」


「前にも騒ぎになったでしょうが」


「ああ……」


 フロウベルが納得する。


「じゃあ、今回は静かに入りましょう!」


「どうやって?」


「普通に歩けばいいんじゃないですか?」


「それができないから言ってるのよ!」


 そんなやり取りをしながら――。


 三人と500匹のスライムは、エルミドへと戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。