↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説の召喚士、禁断の召喚術を試す ・・・500匹のスライムどうする?  作者: てるるん
第2章 伝説ってこう始まる(悪目立ちで)
PR
19/52

第3話 ギルドマスターの試験(確認しないと危ない案件)

 シャンティは、500匹のスライムを見つめていた。


「命令に従うことは分かったわ。」


「はい!」


 にこやかに(ドヤ顔)答えるフロウベル。


「では、もう一つ確認しましょう」


「なんでしょう?」


 シャンティは少しだけ表情を引き締めた。


「戦闘になった場合、あなたはこの子たちを止められる?」


「……止める? なんで? 戦わせますが?」」


 フロウベルが首を傾げる。


 リンナの顔が引きつった。ある悍ましい光景を思い出す。


「……あ」


 カーバンクルも、フロウベルの肩の上で小さく身を縮める。


「きゅっ……」


「どうしたんですか、カーバンクル?」


「きゅ、きゅっ……」


 言えるわけがない。


 つい昨日。


 オークたちが500匹のスライムに囲まれ――。


 そして、消えた。


 その光景を思い出す。


 カーバンクルはそっとフロウベルの肩から降りた。


 そして、近くの箱の陰へ隠れた。


「?」


 フロウベルは不思議そうに見ている。


「……フロウベル」


 リンナが口を開く。


「なに?」


「昨日のオークの件……」


「ああ!」


 フロウベルの顔が明るくなる。


「すごかったですね!」


「……やっぱり覚えてるわよね」


「はい!」


 シャンティが二人を見る。


「オーク?」


「昨日、道中で襲ってきたんです」


 リンナが説明する。


「そのとき、この子たちが……」


「みんなで倒しました!」


 フロウベルが嬉しそうに言う。


「……どうやって?」


「え?」


「どうやって倒したの?」


 そこへリンナが割って入る。


「ちょっと待った!!それを聞くなら、他の場所で……」


 と、言ってる傍からフロウベルが語り出す。


「えっと……」


 フロウベルは少し考える。


「みんなで、オークにくっついて……」


 シャンティの表情が変わった。


「くっついて?」


「はい」


「それから?」


「なんか……一部ずつ、徐々に溶かしてました!」


「……」


「オークももがいて離そうとするんですが、最後まで溶かして消えていきました!」


 嬉々として語るフロウベル。


 ギルド内が静まり返った。皆、想像してしまった、生きながら溶かされていくオークを。


 中にはトイレへ駆け込む人もいる。


 リンナも思い出し、青い顔をしている。


「溶かした?」


「はい!」


 フロウベルは笑顔だった。


「すごいですよね!」


 シャンティは額に手を当てた。


「……なるほど」


 そして、500匹を見る。


「あなた、本当にこの子たちの能力を把握していないのね」


「はい!」


「なぜそこで慎ましい胸を張るの……」


 リンナが呟く。


 ジロリと睨むフロウベル。凶悪な敵が完全認定された瞬間でもあった。


   ◆


 シャンティはしばらく考えていた。


「分かったわ」


「?」


「この街で活動する以上、あなたたちを危険視する理由がないことを確認したい」


「どうすればいいんですか?」


「簡単よ」


 シャンティはギルドの外を指した。


「少しだけ実演してもらいましょう」


「戦うんですか?」


「……溶かされたくないわよ。今回は戦闘ではないわ」


 シャンティは外へ出る。


 フロウベルたちも続く。


 ギルド前の広場。


 そこに、訓練用の木箱や木製の標的が並べられていた。


「この木箱を、指定した場所まで運んで」


「はい!」


「一匹ずつでも、全員でも構わないわ」


 フロウベルは500匹を見る。


「みんな!」


「ぷるっ!」


 ぞろぞろぞろぞろ。


 あっという間に木箱が運ばれていく。


 木箱を積み上げ、形を整えていく。


「……」


 シャンティは黙って見ていた。


 さらに別の指示。


「では、あの標的を囲んで」


 500匹が一斉に動く。


 標的をぐるりと囲む。


「溶かして」


 標的に張り付き溶かしていくスライムたち。


「戻って」


 ぴたり。


 フロウベルのもとへ戻ってくる。


 見事な統率だった。


 周囲で見ていた冒険者たちから、思わず声が漏れる。


「すげぇ……オークに、あれはないわ……」


「本当に全員動いてるぞ」


「500匹だぞ?」


 シャンティは腕を組んだ。


「……これなら、確かに、少なくとも街中で暴走する可能性は低そうね」


「でしょう?」


 フロウベルは嬉しそうにする。


「だから、この子たちは大丈夫なんです」


 シャンティはフロウベルを見る。


「ええ。少し分かったわ」


 だがシャンティは続けた。


「ただし――」


「?」


「あなた自身については、まだよく分からない」


「私ですか……?ただの召喚士ですよ?スライムじゃわからないなら、ベヒモスさん呼びましょうか?」


 フロウベルがそう提案すると、さすがに焦ったシャンティ。


「い、いえ、そういう事じゃなくてね!?」


 リンナが苦笑する。


「よく分からないという点では、私も賛成です」


「リンナさん!?」


 シャンティが初めて、ほんの少しだけ笑った。


「なるほど。あなたも苦労しているのね」


「分かってくれます!?」


「ええ」


「シャンティさん……!」


 フロウベルは二人を見ていた。


 ――特に、ある一部を。


 そして、ぽつり。


「……仲良しですね、敵味方なのに……」


「誰のせいだと思ってるのよ!」


 リンナの叫びが街に響いた。


   ◆


 その日の夕方。


 ギルドの奥。


 シャンティは書類を眺めていた。


 そこには王都から送られてきたフロウベルに関する簡単な報告書がある。


 召喚士。


 Cランク。


 500匹のスライム。


 ベヒモス。


 カーバンクル。


 そして――。


 クレイジーサモナー。


「……王都のギルドマスターが頭を抱えた理由が、少し分かった気がするわ」


 シャンティは書類を閉じた。


「さて……次は何をやらかすのかしらね」


 その頃。


「明日は何の依頼を受けようかなぁ」


 フロウベルは宿で、楽しそうに考えていた。


 リンナはその隣でため息をつく。


「お願いだから、普通の依頼にしてよね」


「もちろんです!」


「その返事が一番信用できないのよ……」


 そして、ぽつりと。


「この街の宿屋、スライム500匹を受け入れてくれるの?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。