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伝説の召喚士、禁断の召喚術を試す ・・・500匹のスライムどうする?  作者: てるるん
第1章 若き召喚士、伝説の入り口に立つ(いきなりやらかしすぎです)
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第10話 リーフェンの森・・・暴走まで待ったなし!

 王都セレナを出発して、しばらく。


 フロウベルたちは、再びリーフェンへとやって来ていた。


 もちろん、その後ろには――。


 ぞろぞろ。


 ぷるん。


 ぞろぞろ。


 ぷるぷる。


 五百匹のスライム。


「……やっぱり、すごい光景だね」


 隣を歩くリンナが、後ろを振り返る。


「そうですか?」


「そうよ」


「慣れませんか?」


「慣れるわけないでしょ」


 そんな会話をしながら、二人は冒険者ギルドへ向かった。


 ギルドに入ると、受付には見慣れた顔があった。


「あっ!」


 フィナがこちらに気づく。


「フロウベルさん!」


「フィナさん!」


 フロウベルの顔が、ぱっと明るくなる。


 さっきまで歩き疲れていたはずなのに、フィナの姿を見た途端、表情が柔らかくなった。


「また来てくれたんですね!」


「はい。今回は依頼で来ました」


「そうなんですか?」


「リーフェン周辺の森の調査です」


「森の……?」


 フィナが少し心配そうな顔をする。


「最近、森で魔物を見かけたと報告が、たくさん届いているんです。奥のほうでは、少し強い魔物も出ているみたいで……」


「なるほど」


 フロウベルが頷く。


「気をつけてくださいね」


「はい」


 フロウベルは笑顔で答えた。


「フィナさんも、元気そうでよかったです」


「はい! フロウベルさんも!」


「ありがとうございます」


 その様子を横から見ていたリンナが、ぽつりと呟く。


「……やっぱり、フィナには優しいね」


「何か言いました?」


「何でもない」


 リンナは苦笑した。


「じゃあ、行ってきますね」


「はい! 気をつけてください!」


「ありがとうございます」


 フロウベルたちはギルドを後にした。


 その後ろを、五百匹のスライムがぞろぞろとついていく。


 ぷるん。


 ぷるぷる。


 目指すのは、リーフェンの町の外れに広がる森。


 今回の依頼の目的地だった。


     ◆


「……森ですね」


「森だね」


「広いんですかね?」


「結構、広いわよ。」


 二人は森の入り口に立っていた。


 木々が生い茂り、奥は薄暗くなっている。


 鳥の鳴き声が聞こえる。


 風が木の葉を揺らしている。


 一見すると、どこにでもある普通の森だった。


「まずは周辺から調べましょう」


「了解」


 リンナが頷く。


「スライムたちはどうする?」


「この辺りを探してもらいましょう」


 フロウベルが後ろを振り返る。


「みんなぁ、お願いね。」


 五百匹のスライムが一斉に、


「ぷるっ」


 と鳴いた。


 そして――。


 ぞろぞろぞろぞろ……。


「……すごいね」


 リンナが呟く。


 スライムたちは森のあちこちへ散っていく。


 木の根元。


 草むら。


 岩陰。


 小さな洞穴。


 普通の冒険者なら、一人ずつ確認していかなければならない場所を、次々と調べていく。


「これなら、調査も早く終わりそうですね」


「本当にそう思ってる?」


「はい」


「……まあ、いいけど」


 二人も森の中へ進んでいった。


 しばらくは、特に変わったものは見つからなかった。


 小さな魔物の足跡。


 野生動物が通った跡。


 木の実を食べた跡。


 どれも珍しいものではない。


「今のところ、異常はなさそうですね」


「うん」


 リンナも周囲を見回す。


「でも、依頼書には魔物が増えてるって書いてあったよね」


「はい、フィナちゃんも言ってましたよ」


「何か原因があるのかな」


「それを調べるのが今回の依頼です」


「まあ、そうなんだけどさ」


 さらに森の奥へ進む。


 少しずつ木々が増え、道らしい道もなくなっていく。


 足元の草をかき分けながら進んでいると――。


「……あれ?」


 フロウベルが立ち止まった。


「どうしたの?」


「これです」


 フロウベルが木の幹を指差す。


 そこには、鋭い爪で引っかいたような跡が残っていた。


「……結構深いね」


 リンナが近づいて確認する。


「大きな魔物かな?」


「わかりません」


 フロウベルが傷跡をじっと見る。


「ただ、最近ついたものだと思います」


「どうして?」


「傷のところが、まだ新しいです」


「なるほど」


 リンナが周囲を見る。


「じゃあ、この辺りに何かいる可能性は高そうだね」


「そうですね」


 二人はさらに進んだ。


 しばらくすると、今度は地面に足跡を見つけた。


「これは……」


 フロウベルがしゃがみ込む。


 大きな足跡だった。大きな獣みたいな足跡。


「さっきの爪跡と同じ魔物かな?」


「たぶん」


「でも、この大きさ……」


 リンナが足跡と自分の足を見比べる。


「結構大きいよ」


「そうですね」


 フロウベルは立ち上がる。


「少し注意したほうがよさそうです」


「ようやく冒険らしくなってきたね」


 リンナが剣の柄に手を添える。


「楽しそうですね」


「フロウベルほどじゃないよ」


「私は普通です」


「その顔で?」


「どんな顔ですか!?」


 フロウベルが抗議する。


 そのとき――。


 森の奥から、


 何かの咆哮が聞こえた。


「お腹すいたんですか?」


 フロウベルがリンナを見る。


「私じゃないわよ!。あんな音でないわ!」


「ほんとですかぁ?」


 ニヤニヤと悪い顔でリンナを見るフロウベル。


 そんなやり取りしながら待っていたが、何も出てこない。


「動物だったのかな?」


「……」


 考え込むフロウベル


「魔物……って思ってる?」


「そうかもしれませんね」


 その場を警戒しながら進む。


 少しすると、また別の痕跡が見つかった。


 今度は地面が大きくえぐれている。


「これは……戦った跡?」


「みたいだね」


 周囲には折れた枝。


 倒れた木。


 そして、何かに噛み砕かれたような岩。


 また、点々と落ちている血糊。


「魔物同士が争ったんでしょうか?」


「たぶん」


 リンナが周囲を見回す。


「でも、変じゃない?」


「何がですか?」


「この辺り、魔物の痕跡が多すぎる」


「……」


 フロウベルも周囲を見る。


 確かに、先ほどから魔物の痕跡が増えている。


 足跡。


 爪跡。


 荒れた木々。


 森の奥へ進むほど、その数は多くなっていた。


「何か、この森で起きているのかもしれませんね」


「そうだね」


 そのとき。


「ぷるっ」


 後ろから、一匹のスライムが戻ってきた。


「おかえりなさい」


 フロウベルがしゃがみ込む。


「何か見つけましたか?」


「ぷるぷる」


「……なるほど」


「何かわかったの?」


 リンナが聞く。


「この先にも、魔物がいるみたいです」


「え?」


「それと――」


 フロウベルが森の奥を見る。


「かなり大きいものが動いたみたいです」


 リンナの表情が変わった。


「大きいもの?」


「はい」


 森の奥。


 木々の隙間から、何かが動いたように見えた。


「……」


 二人とも黙り込む。


 風が吹く。


 木々が揺れる。


 そして――。


 ズシン。


 遠くから、地面を踏みしめるような音が響いた。


「……今の」


「はい」


 フロウベルが目を細める。


「何かいますね」


 五百匹のスライムも、いつの間にか集まっていた。


 ぞろぞろ。


 ぷるん。


 ぷるぷる。


 全員が、森の奥を見つめている。


「……」


 リンナが剣を抜く。


「フロウベル」


「はい」


「今度は、本当に魔物かもしれないよ」


「そうですね」


 フロウベルは、少しだけ笑った。


「楽しみです」


「やっぱり……」


 リンナがため息をつく。


「嫌な予感しかしない」


 森の奥で、また何かが動いた。


 ――二人は、まだ知らない。


 この森で待っているものが、普通の魔物ではないことを。


 そしてフロウベルが、このあと何を召喚することになるのかも。


 ぷるん。


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