第26話 気付いたこと
泣きつかれて、ぼんやりした意識の中で、ナラはエメ達と帰路についていた。
そして家の前に来たところで、まだ本家の馬車が止まっていることに気づき、ナラは少しどんよりした気持ちでうつむく。
その様子を見ていたエメが、ふと訊ねた。
「ねぇ、あの従姉妹羨ましいと思う?」
「え?」
唐突な質問にナラは目を見開いたが、よくよく考えてみた。
「羨まし……うーん……羨ましいとは思わないかも?」
思わず出てしまった本音にバツが悪くなるナラだったが、そこにカレアが眉をひそめて話し出した。
「あの女、近寄る人間、ごまする取り巻きぐらいしかいないよ、間違いないね。家柄とかなくなったらすぐ誰もいなくなるやつ」
「カレア!?」
カレアが率直な物言いをしたので、ナラは肩が跳ね上がった。
「そうそ、じゃあボク適当にあしらってくるから、そのへん散歩しといてー」
「え、エメ?」
エメも答え、にこりと意味ありげな微笑みを浮かべながら先に屋敷の中へ入っていった。
「いいのいいの、私らあの女にかなり怒ってるんで。何でだか分かる?」
そう言いながら、カレアはナラの顔を覗き込んだ。
ナラは戸惑ったものの少し恥ずかしさを覚えながら、おずおずと口を開いた。
「流石にわかります……」
「うん、それで良し!」
ナラの返事にカレアは満足したようだった。
しばらく二人で歩いたところで、ナラは道端の日向にミミズがうごめいているのを見つけた。
その進む先に水場がないのを見て、ナラは近くの落ち葉にミミズを乗せて、日陰の土の上に移動させた。
「あと、分かったことがあるんだけど」
その後でふと、ナラはカレアに話しかけた。
「私、誰か助けるの、何とも思ってなかったんだな、って。昔は義務だとか思っていたかもしれないけど、今はただ考える前に行動してる……感じなのかな?」
ミミズを眺めながら話すナラに、カレアは目を丸くした。
「それ、気付いてくれて良かったよ」
━━皆多分とっくの昔に分かってたよ。
カレアは微笑んだ。
*****
いつもと変わらない、賑やかで日常的な朝。
いつもと同じように登校していたルゥは、なぜかテンションが高いミアにタックルされ、地面に手をついていた。
……なんなんだよ、と毒づいていたルゥの目の前に手が差し伸べられる。
その手を握り、身体を起こすと、手の主のナラと目が合った。
「悪い、ありがとな」
咄嗟にお礼を言ったところで、しまった、と思うルゥ。
しかし、お礼を言われてもなお、その場に残っているナラに「あれ?」と違和感を覚える。
「……まだ、ドキドキするけど、がんばってみようかなって思ってて」
そう言うとナラは、笑顔でルゥに向き合った。
「……どういたしまして」
少しはにかんで、「やっぱり慣れないな」と言いながら去るナラ。
ルゥはフリーズしていた。
「あああああ……!!」
━━やがて耳まで真っ赤にしながら奇声を上げるルゥの姿を、誰かが目撃したとか、しなかったとか。
次は幕間前後編が入るので、今日の昼頃と21時頃に投稿します。
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やってくれているのを見ると、とても……嬉しいです笑




