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異世界狩人〜ダンジョンにて、狩猟する〜  作者:
1章 狩人、迷宮を駆る

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三十三話 狩人、試験に挑む 其の玖

 巨大な扉が"ゴゴゴ"と重い音を立てながら開くと6人の探索者達が部屋へと足を踏み入れる。


 広大な部屋の中に居座るのは黒曜の鱗と四つの翼を携えた漆黒の竜、殲滅黒竜(ファフニール)


 部屋に入った瞬間、ツカサは真っ先に殲滅黒竜(ファフニール)の眼に自身の視線を注いだ。


 圧倒的な生物としての格、チンケな人間になど目もくれない。だが、それがかつて自身を狩った者であれば、話は変わる。


「ギャァァァァァオオオオオオオン!!!!!!!!」


 殲滅黒竜(ファフニール)はツカサから放たれた、その視線に、本来では持ち得ないはずのかつての記憶の断片を見た。


 今、そこに立つのはツカサに狩られた殲滅黒竜(ファフニール)ではなく、【迷宮(ダンジョン)】によって作り出された模造品の様な存在。


 しかし、その記憶の模倣は、ツカサと言う存在を見た瞬間、彼に狩られた殲滅黒竜(ファフニール)の死の間際の記憶を何故か、読み取った。


 いや、刻み込まれたが正しいのかも知れない。殲滅黒竜(ファフニール)と言う、絶対存在が最後に見た、ホシナミ・ツカサと言う特異点の姿。


 ボロボロでありながらもその両手にナイフを握りしめ、マントを羽織ったそれは自分と言う死をも殺すに至った化け物であると。


 持ち得ない記憶であるにも関わらず、殲滅黒竜(ファフニール)はツカサを睨みつけるとそのまま彼に目掛けて動き出した。


「全員! 散れ!」


 ツカサの叫び声により、一斉に5人が横にはけると彼はたった1人、天井に向かって、飛んでいた。


 ウィンドベルとメーガスの【個性(スキル)】によって、その場にいる全員にとある力が付与されている。


 ウィンドベルからは風の靴(ストーム・ブーツ)と言う、空中浮遊が可能となる物で、もう一つが風の服(ストーム・スーツ)と言う風を纏わせて、防御力を上げる物。メーガスからは音の合羽(サウンド・マント)と言う音によって、攻撃を防ぐ物であった。


 ツカサは風の靴(ストーム・ブーツ)によってワイヤーを使用せずに空に浮くことが出来、そこから殲滅黒竜(ファフニール)の長い首にワイヤーを突き刺し、移動した。


「あはは!!!! お前! ()()は違うなぁ!!!!」


 ワイヤーのみの移動ではなく、空を蹴り、駆けれることにツカサは興奮しており、殲滅黒竜(ファフニール)の気をたった1人で惹きつけるために縦横無尽に動き回った。


 殲滅黒竜(ファフニール)はそんな彼を追うために飛び上がろうと翼を広げた瞬間、四つの翼から嵐が生み出され、それらは地面にいる5人に襲い掛かるもそれらを全て、ウィンドベルとメーガスの防御が跳ね除けた。


 そんな中、ツカサを追うために広げた翼に対して、大きく広がった的を狙う者がいた。


固有個性(ユニーク・スキル)、|全は一、一は全《One for all, All for one》! 発動(アクティベート)!」


 嵐が襲う中、たった1人、地面にその両脚を着きながら、アベル・パティンソンは全身全霊の一撃を放つために杖を構えた。


 アベルの【個性(スキル)】、魔射(キャノン)はMPを消費することで光弾を生成し、放つ事が出来る。自身の杖から放つ事で連射や、貯め撃ちなどが可能でありながら、足に光弾を貯める事で宙に浮いたり、拳に纏う事で強力なパンチを繰り出したりとアベルと言う人間が持つ思考の柔軟性から様々な使用用途を見出された【個性(スキル)】であった。


 そんなアベルの柔軟性に応える様、【個性(スキル)】もまた、同様に分岐した結果、【固有個性(ユニーク・スキル)】、|全は一、一は全《One for all, All for one》が生まれた。


 アベルの目前には注意喚起のアラートが表示されるもそれを気にすることなく、杖の先に光を集約させた。


 【固有個性(ユニーク・スキル)】、|全は一、一は全《One for all, All for one》はアベル自身のHPを削る事でMPに変換する事が出来ると言う能力。アベルの魔射(キャノン)M()P()()()()()()()()()生成する光弾であり、その消費量が大きければ大きいほど威力を上げる事が出来る。


個性装填(スキル・セット)! 光磁砲撃(レール・キャノン)!」


 MPの限界値は300であり、アベルのMPの総量は230。そこに|全は一、一は全《One for all, All for one》による自身の体力の90%を削る事で加算されるMPは207、合計437のMP全てを消費して放つ、アベルが持つ最大の一撃。


 膨張していた光を丁寧に圧縮し、アベルは光速にすら至る速度を持つ光の弾丸を殲滅黒竜(ファフニール)目掛けて放とうとする。


 しかし、その時、殲滅黒竜(ファフニール)の視線はアベルの方向を向いた。


 それの持つ意識はツカサに全力で注がれていたはずにも関わらず、自分を傷つける可能性がある存在に勘付き、その視線をアベルへと向けた。


(この瞬間に勘付く、だと?! しかし、これを外せば、始まりから作戦が瓦解する! 何としてもワシが、俺がやり抜かればならんのだ!)


 アベルは覚悟を決め、殲滅黒竜(ファフニール)へと準備を整え終えた光弾を撃ち込んだ。


 殲滅黒竜(ファフニール)は危機検知能力に優れており、それは生物として兼ね備えていた本能である。そして、自身を傷つけると言う行為に対して、最もその能力は輝き、アベルの攻撃を避けるために翼を閉じようとする。


「オイ、お前の相手は(オレ)だぞ、何故、そっちを向いている」


 ツカサはそう呟くと先ほどよりも殺気を交えた視線を殲滅黒竜(ファフニール)へと向けた。


 その言葉の意味は分からない。

 ただ、それが送った視線が、アベルよりも自身の危機感を煽るものであったのは確かであり、殲滅黒竜(ファフニール)はツカサの方向を向いた。


 次の瞬間、ツカサはワイヤーによって、殲滅黒竜(ファフニール)の首元へと移動するとそれが顎下に持つ、逆鱗(ゲキリン)へとナイフを迫らせた。


 "ガチン"と重い音が鳴り響き、まだ、その逆鱗(ゲキリン)を攻撃出来る様な状態でないことをツカサは確認するとそれは彼が向けた一種の警告でもあった。


「お前の弱点は知っている。いつでも狙えるぞ」


 その意図を無意識に殲滅黒竜(ファフニール)は汲み取ると次の瞬間、それが広げていた翼の一枚に未知の光線が襲い掛かった。


 ツカサによって避けるはずの攻撃は殲滅黒竜(ファフニール)にぶつかるもそれの翼は簡単には落とせなかった。


 アベルの放った光磁砲撃(レール・キャノン)殲滅黒竜(ファフニール)の右に携えた翼の一枚の付け根を狙い撃ち、光の線が注がれるも黒曜の鱗がそれを拒み続ける。


「いけえええええぇぇぇぇぇ!!!!」


 アベルの叫びと共に光磁砲撃(レール・キャノン)は更に力が込められると殲滅黒竜(ファフニール)の鱗が徐々に削がれ始めた。


 しかし、それは漆黒の鱗を削ぐまでには至るがあと一歩、翼の肉を断つに至らず、アベルのMPが尽きたことで、光磁砲撃(レール・キャノン)が途切れてしまう。光が終わった瞬間、その翼を動かすとそれは嵐を産み、アベル目掛けて放たれた。


「く、そ」


 アベルはそれを避けようとするも疲労により、地面に膝を突いてしまうと顔を上げた次の瞬間、大地を抉る嵐が彼を巻き込んでしまう。


 最初の翼の破壊の失敗、全員がアベルの生死が不明となる中、彼の意志を継ぐようにその最初の翼に対して向かう者がいた。


遺物解放(オープン)(かがや)け、紅蓮牙クリムゾン・スティーラー


 片方は紅の刃を携えた剣、もう片方にはこの【迷宮(ダンジョン)】で友から貰った刀刃の剣、それらを携え、殲滅黒竜(ファフニール)に迫るのはゴトー・ミキヤ。


 【遺物(アーティファクト)】を握りしめ、彼は嵐の中を疾走する。

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