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異世界狩人〜ダンジョンにて、狩猟する〜  作者:


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十二話 狩人、二階層に挑む 其の壱

 魔境【副都心迷宮(ダンジョン)新宿】、一階層ですら大量の魔物が幅を利かせていたにも関わらず、その地に、史上最速の二階層入りを果たす者がいた。


 それこそはホシナミ・ツカサ。

 七日目にして二階層へすすむ権利を得た狩人はその速度を落とす事なく前進する。


 動く鎧の装飾部品を幾つか取り、それらをポケットにしまうとホシナミ・ツカサは二階層へと進む扉に手を置き、それを嬉々として開けた。


 扉の先には階段があり、それをツカサは駆け抜けるとそこには今までにない程、広大且つ以前の建物の壁などとは全く違う空間が広がっていた。


「森! いや、樹海だ! 元居た場所にそっくりで嬉しいな!」


 大型迷宮(ダンジョン)は階層毎に全く別の内装となっている事が多い。その中でも【副都心迷宮(ダンジョン)新宿】は階層毎に全く別の内装となっている。


 【副都心迷宮(ダンジョン)新宿】二階層、それは広大な自然と様々な魔物が跋扈する大が小を喰らう領域。


 ただ、それはツカサにとっては関係ない。彼にとって獲物が大きかろうが小さかろうが全てを【狩る】と決めている故に。


「さぁ! 行こうか!」


 ツカサが足を踏み入れたその時、大きな音が鳴り響いた。すぐにそれに気付くや否や、その音の鳴る方向へと目を向けると巨大な口を開いた何かが迫っており、ツカサはそれに目を輝かせた。


砂虫(サンドワーム)か! いや、アイツは砂の中だけで住む生物だったしな。似た様なヤツか! いいな!」

 

 ツカサが目を輝かせたそれは砂虫(サンドワーム)と呼ばれるもので迷宮(ダンジョン)内で独自の進化を遂げ、砂がない場所ですら移動が可能となっていた。


 ツカサはWDG本部で購入したナイフの柄の穴に服の裾につけているワイヤー装置を括り付けるとそれを横切る砂虫(サンドワーム)の体目掛けて放つ。


 移動する砂虫(サンドワーム)はナイフが突き刺さろうが気にすることなく進むとツカサはそれに飛び乗り、一番上の平となっている場所で座り込んだ。


「春とベンジャミンが拵えてくれたモノはすごいな! 昔の自分では作れない物を試せるなんてありがたい限りだ!」


 ベンジャミンの武器屋で買った物は三つ。一つはダマスカス鋼で作られたナイフ、切れ味の良さと特殊な形の刃が解体に向いてると言う理由で6本購入。もう一つは特殊繊維性ワイヤー、罠を作るのに便利であるのと、捕獲するのに使うと考え購入。そして、最後の一つ、それはその特殊繊維性ワイヤーを高速で放つことが出来る装置である。


「実は、E tubeでツカサ様の活躍を追っておりまして、いつか、私の武器屋にいらっしゃるのであればこちらをお渡ししたいと思っておりました。ツカサ様であればこの装置を使い熟せるのではと考えており、一度、手に取って頂けないでしょうか?」


 ベンジャミンに手渡された装置はそれはワイヤーを何層も巻きながらも出来る限りの少量化を重ね、今、この世界が持てるであろう科学技術、全てを費やした最新のウェブシューターであった。


 先端のフックにナイフをつけて、特殊繊維性ワイヤーを高速で放出し、壁などに向けて放つことで壁などを登る事ができると言う物。


 しかし、ベンジャミンが準備したのはツカサ用に改造された物であり、通常の何倍もの速さでワイヤーが放たれ、その放ったワイヤーを物凄い勢いで巻き取り、その場から使用者を立体的な高速移動を行える様になっていた。


 ツカサはそれをつけて、工房外の修練スペースで試したところ案の定、彼の身体能力と噛み合った移動方法を見せ、すぐに購入を決意した。


 それを装飾部に持っていくと春はすぐに取り付けてくれており、袖の裏側につけてくれた。


 それを使い、ツカサは縦横無尽の移動手段を手にし、初めてそれを迷宮(ダンジョン)で使った事で嬉しそうにしていた。


 砂虫(サンドワーム)に乗りながら何処で降りようかとツカサが辺りを見回す最中、彼の背後に目掛けて矢が放たれた。


 遠方、約50m程の距離から放たれた矢は一直線にツカサの背中に向かって飛んでいくも体にぶつかる直前、彼はギリギリのところで宙返りをして避けた。


「いいな! そこに決めた!」


 自身に向けられた殺意に応えるためにツカサは砂虫(サンドワーム)の後方へと駆け出し、勢いよく飛び降りた。


 腕を上げ、狙いを定めると大木目掛けてワイヤー放ち、勢いよく移動する。


 縦横無尽に飛び回るツカサに狙いを定められず、彼を捉えようと目で追おうとした瞬間、その頭にナイフが突き刺さった。


「ガ!?」


 ナイフが突き刺さった相手は自身の身になにが起きたのか戸惑う隙を与えず、体から力が抜けた瞬間に、引っ張り上げられた。


「ナンダアレハ!?」


「ナンナンダアレハ?!」


 蜥蜴の顔と皮膚を持ちからながら人間の体を成した者達は狙っていた獲物が突然、自分達に牙を向け、襲いかかった事に恐怖する。


(四人で群れを組んでる蜥蜴人(リザードマン)か! (オレ)の場所じゃ、狩るのは禁止されてて、凶暴化したヤツを相手にしたことはあるがああ言う風に喋る事が出来るのだな!)


 ツカサは引っ張り上げた蜥蜴人(リザードマン)の死体を見て、しみじみ思うと嬉しそうに次の一手を打った。


 辺りを見回し、仲間を探す蜥蜴人(リザードマン)に向けて、ツカサは死体の頭を地面に軽く投げる。


 "トン"と音を立てて、真ん中に突然落ちてきた仲間の頭に蜥蜴人(リザードマン)達の視線が釘付けになった瞬間、彼ら一人の背後に狩人は立っていた。


 その直後——“ザシュ”と乾いた音とともに、首元から鮮血が噴き出すと蜥蜴人(リザードマン)達はとある事を理解させられた。


 獲物と狩人の立場が逆転した事を。


 逃げ出そうとする蜥蜴人(リザードマン)の背中に幻狼(ガルム)の牙で作った苦無(クナイ)を投げつけ、それは脊髄と頭の後ろに深く刺さると簡単に絶命させた。


 最後の一体である蜥蜴人(リザードマン)は自らの身を守るために剣を振るい、ツカサに襲い掛かるとそんなそれに敬意を露わにしながらもその一撃を簡単に避け、開けられた体、左胸にナイフを突き刺す。


「ア、ガァ!」


 ジタバタと暴れ様とするが手足に力は入らず、体から抜け落ちる意識の最中、蜥蜴人(リザードマン)が見たのは笑顔の狩人の姿であった。


 四人の蜥蜴人(リザードマン)を一人で狩るとツカサは新たな武器と自身の狩猟が新たな段階に移行している事に気付き、更なる完成を目指すために元気よく、彼らの解体を始める。


「狩りは命を頂く行為であり、()()だ。お前達の命は(オレ)が無駄無く頂戴するよ」


 その一言を残し、蜥蜴人(リザードマン)の体に再びナイフを突き刺した。

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