十一話 狩人、迷宮を駆る 其の伍
迷宮に入ると同時に、合成獣はカメラを回し始めるとツカサの姿をしっかりと写した。
【特例】との判断で【副都心迷宮新宿】への探索を許可されたツカサはすぐにでも下に向かおうとする気持ちをギリギリに抑えて、風雅に言われたことを行うために声を呟いた。
「ステータス」
その声に呼応して、視界に四角いホログラムが表示され、ツカサは自身のステータスを見始めた。
――――――――――――――――
【名前】ホシナミ・ツカサ
【レベル】51 次のレベルまでの経験値「20000」
『HP』3050
『MP』0
『腕力』610
『耐久』410
『敏捷』1100
『器用』90
『知力』100
『精神』550
【PP】51
【TSP】1800
【個性】なし
【固有個性】我、狩人たらん、武器職人、冥処の住人、言語統制
――――――――――――――――
風雅にステータスについて一通り説明を受け、何となくであるがそれについて理解するとツカサはPPに触れた。
(よくわからんが、まぁいい! こうやって腕力・耐久・敏捷に振ればいいんだな!)
ツカサは自身が上げたい項目にPPを振ると全てを振り終えた時点のステータスは以下の様になっていた。
――――――――――――――――
【名前】ホシナミ・ツカサ
【レベル】51 次のレベルまでの経験値「20000」
『HP』3050
『MP』0
『腕力』610→750
『耐久』410→700
『敏捷』1090→1170
『器用』90
『知力』100
『精神』550
【PP】0
【TSP】1800
【個性】なし
【固有個性】我、狩人たらん、武器職人、冥処の住人、言語統制
――――――――――――――――
腕力、耐久、敏捷の項目のみに全て割り当てており、バランスよく自身の数値を伸ばしていた。変化はないが体の奥から湧き上がる様な何かを感じるとツカサは普段通り、ナイフを握り締めた。
「これでやる事は終わりだ! さぁ、行くぞ! 【狩り】へ!!!!」
そう言うとツカサの配信が一日ぶりに開始した。
『狩人、迷宮を駆る』
そのタイトルがE tubeトップページに現れると登録者達はすぐにその動画を開き、彼が今どうなっているのか、どうなってしまったのかを確認し始める。
『こんはんたー』
『やってるやってるー?』
『この前の動画から一日開けたから心配だった!』
『なんか服綺麗になってね?』
『ホントだー! なんか前より正規の軍って感じでかっこいい!』
『てか、これWDGの正規品じゃね? なんか、アウトローな感じなのが好きだったんだけどなー』
『わかる、でもよー、ワイはもう、コイツの狩猟に魅入られちまったからさー。動画! 見ずには要られない!』
『風雅様、殺した、おまえゆるさない』
『まだ、死んだって言ってないだろう。WDGが公表するはずだし、生きてると踏んでる』
『まぁ、あれで死ぬくらいなら『混沌時代』の英雄になんてなれる訳ないだろうしない』
潤期尾羅D1000
『あいも変わらず淡々と狩るなぁ~。しかも、武器とかも全部新調してるのに、見応えが落ちないのすげえよ』
『ステータスみてみたいなあ! WDG内で登録してれば公式サイトから見れんだっけ?』
『WDG【探検者】として加入したら登録義務があるから何れ見れんじゃね?』
あめD1000
『違反者脱却おめ』
四千丸D10000
『そっか! 正規品使ってるってことはちゃんとWDGの【探検者】になったって事か! 嬉しいな! 安心して見れる! これは祝い金みたいなもんです! 美味し物でも食べて!』
コメントは開始からツカサの新調した服から彼がWDGの【探索者】になったことを知り、大いに盛り上がりを見せた。違反者ではなく、普通の【探検者】となってしまったことへの落胆や、逆に正規の【探検者】として活躍が見れると言う喜びなどがすごい速度で投稿される。
議論が激化する中で、配信が5時間ほど経過した頃、ツカサはいつの間にか【副都心迷宮新宿】の一階層の最奥までに至った。
ツカサは【安置】に一度も通らず、淡々と狩りを続けており、以前、自分が進んだ場所よりも深くまで来ていることを気付かずに居た。
「む、あそこは行き止まり? いや、あれが次の階層へ進むための扉か!」
ツカサはここに至るまで、最高効率での【狩り】によって、経験値が貯まっており、次の一体を倒せばレベルが上がるといった状況となっていた。
駆けるツカサを前に、人型の鎧を着込んだ何かが立っており、それが魔物と理解するや否や、その足を止めた。
迷宮の階層を跨ぐにはそこに住まう階層内で最も強い魔物が門番となって立ち塞がる。
「ほう! 動く鎧か! お前には苦しめられたなぁ!」
ツカサがナイフを前にすると同時に、荘厳な装飾の鎧を身に纏ったそれはグラグラとしながら、ゆっくりと大太刀を構えた。
大太刀は200cmにも及ぶ大剣を動く鎧は無闇やたらに振るおうとせず、どしりと握りしめる。敵対者を一撃で仕留めようと構えており、人との戦いに何処か慣れているかの様であった。
間合いでギリギリの位置で構えており、ツカサは奇襲などは考えず、むしろ正々堂々と動く鎧を倒すためにそれだけに目を向けた。
(以前はバラしてもバラしても尚、立ち上がる厄介なヤツだった。だが、今の儂は知っている。アイツの弱点、いや、本体を)
少しの沈黙の後、ツカサは肉体の準備が整ったのか、動く鎧が構える中にあえて、その間合いに足を踏み入れる。
自身の間合いに入ったツカサを動く鎧は彼を切り裂くために容赦なく大太刀での横振りの一撃を放った。
動く鎧との距離は凡そ5メートル、踏み込んだ瞬間に放たれた一撃がツカサにぶつかる寸前、彼は飛んだ。
上空へのジャンプと共に横振りの大太刀の剣身に着地するとそこを足場にし、ツカサは自身の間合いへと相手を無理矢理に踏み込ませる。
(ハハッ! 以前よりも筋肉の操作が良くなった気がするなぁ!)
大太刀の強力な一撃を避けられたことで、動く鎧は体が無防備に晒されるも、それは直ぐに思考を切り替え、ツカサを叩き潰すために大太刀を振り翳そうとした。
「遅い」
動く鎧は大太刀を振り翳したその時、ツカサは自身の腕を鞭の様に使い、それの鎧の持つ真ん中に目掛けて、ナイフを振るう。
ナイフを振るうと同時に、ツカサはとある真似をした。それは風雅が魅せた三日月流、秘技・龍星、その手の動きであった。
柄を握る手をほんの少しだけ緩め、ナイフを投げつけるかの様にすると手から刀が離れる直前に柄頭を親指と人差し指で強く掴んだ。
ナイフから放たれる一撃は瞬く間に、動く鎧の厚い鉄の層を背面に至るまでを貫くとそれは硬直し、大太刀の重りに耐えきれなくなったのかグラリと体を倒した。
二度の龍星から得た、技術を見様見真似且つこの土壇場でツカサはやってみせる。
自身の手が龍星擬きを成功させた喜びと【狩り】から得られる熱により、震えていることに気づいた。
(ああ! 気持ちが良い! 【狩り】で高め合った敵の技を自らの糧にした瞬間、そして、新たな狩法を見つけたこの今! この瞬間が儂を作り出している! まだまだ、これから! 儂の狩りはこれからなんだ!)
動く鎧、それは寄生型魔物であり、鎧の真ん中を中心にして、自身を動かす。本来であれば内部からの破損が楽とされ、炎や雷などの【個性】を持っていれば倒せる存在なのだが、この動く鎧は違った。
魔法に対しての耐性を持っており、倒したと思いきやその不意をつくという初見殺しの門番であった。それをツカサは一切、感じることなく、真正面から貫いた。
貫くことすら困難のはずの分厚い鉄の鎧を。
「レベルが上がりました。ステータスを確認してください」
その音を聞き、【狩猟】から得られた快楽の酔いから冷めたのか、ふうとため息を吐くと狩った動く鎧に感謝を告げ、ツカサはそれを捌き始めた。
感想、レビューいつもありがとうございます!
嬉しくて狂喜乱舞です!
続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます!




