第6話「リーズィヒ級」
こちらを覗き込む巨大な鋼鉄の怪物………間違いない、新型だ。
どちらが言うでもなく、二人は同じ結論に辿り着く。
魔導機兵には階級が存在する。
一つはゾルダート級。最下級であり容易に倒せる機体。
そして、ジェネラル級というそれよりも上の機体。
手強いことには違いない。それでも、アラン達ならばどうにか出来る程度の強さだ。
それより上の機体など見たことも聞いたこともないし、記録もない。
ましてや、これほどの大きさの魔導機兵など……
大きさだけで言うならば三十メートル前後。
ゾルダート、ジェネラル級は共に人型という共通点が存在するが、目の前の機械の化け物はそれには該当しない。
巨大な翼、長い鉄の尾、頭部など、爬虫類を……いや、子どもの頃に絵本で見たドラゴンという空想上の生き物を思わせるフォルムだ。
そして、それが正解だとばかりに巨大な魔導機兵はその頭部を空に向けながら、駆動音と金属フレームの摩擦で生じる咆哮という名の轟音を響かせた。
『―――――――――――ッッ!!!!!』
「ちっ…………!」
「ぅ、く…………っ」
耳障りな音に二人は耳を塞ぎ、呻く。これが先ほどの咆哮の正体だ。
「リーズィヒ級魔導機兵、見ての通り最新型だ。感謝しろよ、侵入者ども!人間でコイツを見るのはお前らが初めてだ!!」
「ああ、そうかよ!それなら俺が速攻でキズモノにしてやるよ!!」
声高らかに、魔族の部隊長はその名を叫んだ後、ロジャーはどうにか身体を起こし、腰から下げたライフルを構え、アンダーバレルに装填した榴弾を撃ち出す。
直撃、爆音と共に魔導機兵の頭部が炎に包まれる。しかし、案の定、鉄の竜にはなんのダメージもなかった。
「無駄なことを……」と、魔族は嗤う。
「そんな花火じゃこいつの複合装甲はぶち抜けねえよ。さて、俺個人としては別に見逃してもいいが、妖将の指示でな。跡形もなく死ね!!」
魔族がそう叫ぶと、魔導機兵はその巨大な口を開き、鋼の口腔を覗かせながら翼、膝、背中と装甲の一部を開き、格納されていた武装を展開していった。
更に口腔の奥、アレも砲門の一つなのだろう。輝きを放ちながら回転を始める。
生半可な攻撃は通らず、更に我々を殺すには過剰すぎる武装。
口腔内の回転で生じる金属音を聞きながら、まるで小さな要塞だと、すぐそこに迫る死を覚悟してアランとロジャーは他人事のように思った。
「殺せ!!」
部隊長の号令と同時、格納された爆薬が一度上空へと撃ち放たれ、ガキンッ!と音を立てて花弁のように分かれて振り注いだ。
広域爆撃。防ぐ手段もなければ、回避する手段もない。
そう、諦めた時だった。
「―キ――――ィ――――ィィィッ」
鳥の声に似た、何かの鳴き声が響いた。




