第5話「魔導機兵」
「な、なんだ?!」
「地震?こんな時にかよ……!」
「いや、違う!これは……っ」
波打つ振動……。壁同士で激突するような衝撃と爆音に変わる。
廊下が傾き、崩れていく。
それが地震ではなく敵からの攻撃だと察するのにそう時間はかからなかった。
「―――――――――ッッ!!!!!」
更に傾く廊下。
爆発するように弾け飛ぶ粉塵。
ばきり、と不快な音を立てて崩れていく壁。
斜めになった床を滑り落ちながら外に放り出される直前……
獣の咆哮じみた轟音が外から叩きつけられ、ドライマウアーは完全に崩落した。
「うぁあああっ!!?」
「嘘だろおぉぉぉおっ?!」
轟音が止むと同時、受け身を取る間もなく2人は瓦礫の雨と共に外に放り出された。
「ぐ、げほ!げほっ………!」
「ぺっ!ちく、しょう………っ、口ん中まで破片が入ってきやがった……!」
地面に叩きつけられ、一瞬視界が真っ白になる程の衝撃が全身を駆け巡るも、それでも二人は立ち上がろうとして……
元凶である存在を見上げた。
ズシン……ッと重たい足音を一歩ずつ響かせ――
「おいおい、何だよ……ありゃあ」
「魔導、機兵、でも、こいつは…………」
眼前の機械の化け物を見上げ、その名を呼ぶ。
魔導機兵。
アラン達、人類が対峙するエンデ軍……。またの名を『殲滅者たち』が開発した兵器群だ。
フィラトルに存在する特殊な鉱石で作り出した基盤に魔法で行動プログラムを書き込み、それを基に行動する彼らの私兵。しかし………
「あー、なんだ?今日は企業が集まって祭典でも開いてるのか?アラン、ありゃあ幾ら払えば俺らに売ってくれるんだよ」
「さあね……。ただ、売ってくれたとしても、あんなのはうちじゃ買えない」
引き攣った笑みを浮かべ、ロジャーは明らかな強がりを吐き出し、アランもそれに乗っかった。
本当はすぐにでも逃げたいが、身体を打ちつけたダメージからまだ動けないのだ。冗談の一つだって言いたくなる。
『――――――――――』
こちらを見下ろす魔導機兵を二人は睨みつける。
魔導機兵自体、別に珍しいものではない。
問題はその大きさだ。
山のような巨体が太陽を背に、その黒い影を自分達に落とす。
金属の膝が軋む音、口から漏れる熱風を浴びながら、アランは思わず毒づく。
「ああ、本当に最悪な里帰りだよ……」
こちらを覗き込む魔導機兵……。
それは先程、自分達がいた『第3ゲート』よりも更に機体だったのだ。




