第3話「潜り込んだ2人・前編」
「アラン」
魔族との会話を終え、ボロが出る前にその場を離れて合流地点に辿り着くと同時、聞き慣れた声で名前を呼ばれた。
アラン、そう呼ばれた魔族はそちらへ振り返ると、そこには薄緑の小鬼が陽気な笑みを浮かべて、手を振っている。
それを見て少しばかり気を緩めたアランも微笑み返した。
「ロジャー、そっちは?」
「おう、バッチリよ。指定されたポイントにたんまり爆薬仕込んできたぜ。これで此処にいる連中もドカン、よ」
ロジャーはガッツポーズをしたが、アランは慌てて周りを見渡し、顔を顰めながら人差し指を口元にあてた。
「ロジャー、迂闊にそういう話をしない」
「おっと、そうだった。わりぃわりぃ……」
此処が何処かを思い出し、慌ててロジャーは両手で口を覆い、アランも「まったく……」と溜め息を吐き、小声で付け加える。
「姿を誤魔化してるとはいえ、僕達は人間なんだ。バレたら一巻の終わりだぞ」
「だから悪かったって……!それより説教は後にして、すぐこっから離れようぜ。じゃないと、マジで作戦がおじゃんになっちまう」
言って、ロジャーは小走りで動き出し、アランもそれには同意だったのでロジャーに続いた。しかし………。
「何がおじゃんなんだ?二人とも」
『っ?!』
声がした方を反射的に振り返った。
そこには先程アランが話していた小隊長と、彼らが率いる部隊が立っていた。
小隊長はこちらがリアクションを取る前に、配下の数人と共に少しだけ前に出た。
「おじゃんになっちまう、はオレらのセリフだよ。こないだ此処に来たばっかだってのに、愛着もクソもねえこんな拠点と御臨終なんて目も当てられねえ。なあ?」
数人の魔族がそれに従う形で手にしていた物……、ロジャーが仕掛けた爆薬の全てを投げ捨てた。ご丁寧に起爆装置は取り外されている。
腰の銃に手を伸ばしながら舌打ちを漏らし、アランは僅かに姿勢を低くした。
「いつから……」
「初めっからだ。全員、お前達が仲間じゃないなんて侵入した時点で気付いてる。俺達は特別製でな。仲間じゃない奴はすぐに分かっちまうんだよ」
「そうか。なら、次に活かさせてもらうよ!」
敵が動き出すより早く、アランは腰のホルスターから愛用の拳銃を抜き、構える。
………そのはずだった。
「アラン、下がれ!!」
「へ―――――?」
ロジャーがこちらにろくすっぽ確認も取らず、敵目掛けて手にした爆弾を投げつけたのは……。




