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第38話「負傷のアインス」


「アインス!!」

「大丈夫かよ、おい!」


リャナンシーの撤退、長距離攻撃が止んだタイミングを見計らい、アラン達は倒れ伏しているアインスへと駆け寄った。


うつ伏せに倒れていたアインスだが、アランとロジャーの声を聞き、よろよろと状態を起こし、その場に座り込む。


「………大丈夫。致命傷は、避けた………ぐっ!」

「あー、バカバカ!見てて痛えし、少しは躊躇えっての!!」


返事を返し、肩に刺さった矢をアインスは一気に引き抜いた。

躊躇いなどない動きに、見ていたアラン達は目を背けるが、チェスターだけは医療キットを片手にアインスに駆け寄る。


「……自分で出来る」

「るせえ、いいからじっとしてろ!」


医療キットに手を伸ばすアインス。

だが、チェスターはその手を払い除け、手慣れた様子でアインスの治療をし始めた。


「………何だかんだ、面倒見はいいよね、チェスター」

「なー?」

「あんだぁ?」


好き放題言う二人をチェスターは睨むが、彼らはそれすらおかしいのか、くすくすと笑うだけだ。

バツが悪くなったチェスターは視線を逸らすが、治療を続けたまま、思い出したかのように口を開く。


「そういやよ、何で当たったんだ。アレ?お前、ちゃんと避けてたろうよ」


その言葉にアラン、ロジャーも反応した。

二人とも、同じ事を思っていたからだ。だがアインスは、申し訳なさそうにふるふると首を横に振る。


「分からない。避けたのは間違いないけど……気付いたら喰らってた。こいつがなければ危なかったよ」

「何で出来てんだよ、本当にそれ………」


呆れたように呟きながら、チェスターはその視線をアインスの纏うマントに、それから初めに放たれた矢の起こした惨状に移す。


矢の着弾した場所は巨大なクレーターと化し、黒い煙をもうもうと上げ、抉れた地面は赤く、今も焼け続けていた。


チェスターと同じ様に、クレーターを見ていたロジャーも引き攣った笑みを浮かべて言う。


「しかも、砲弾とかなら分かるけど、弓矢だもんな……。防ぐ方も防ぐ方だけど、撃つ方も撃つ方だよ」

「…………四魔将だと思うかい?」


怪我を気遣うようなアランの視線と問いがアインスへと投げかけられた。

他の二人も自然、そちらへ向かう。


チェスターによって包帯を巻かれた腕の感覚を試しながら、アインスは「だと思う」と返した。


掌を握り、開いてを繰り返しながらも、その視線は鋭く、先程、自分が引き抜いた矢を捉えている。そして――――――


「間違いなくリャナンシーよりも強い。それに、下手をしなくてもオレより強いかもしれない」




彼もまた、バルバトスと同じ様に淡々と事実を語った。



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