第25話「重なる問題」
「さて、彼らの事もそうだが……アラン、ロジャー。ご苦労だったな。その上で確認したいのだが………、何があった?」
「え?」
「…………………」
本題はここからだと言わんばかりに、ファータは2人に問いかけ、アラン、ロジャーは同タイミングで表情が陰る。
「四魔将がいた」
アランがそう答えた。
「………何だと?」
「何がいたって?」
四魔将、その単語にファータ、クラークが険しい表情で聞き返す。
「だから、四魔将がいたんだよ。実物を見たのは俺らも初めてだけど、たぶん、あいつらがそうだ」
「あいつ………、ら?」
「確認出来た限り、あの場に二体」
「マジかよ………」
チェスターが絶句する。
四魔将。『殲滅者たち』、それらの頂点にしてエンデ直属の配下。災害を纏う四体の悪魔。
これまで、その存在は名称含め、あくまで噂程度。目撃情報もない有り様だった。
「確かなのか?」
「間違いないと思います。これまで作戦でかなりの数の魔族を見てきましたが、あいつらは纏っている気配そのものが違う。たぶん、僕達じゃ束でかかっても勝負にならない」
「漸く姿を見せたかと思えば二体もか……。どいつらかは分かるか?」
「一体は『妖将・リャナンシー』。それと、二体目は『嵐将・バアル』。聞き間違いでなければ……」
「リーズィヒ級とかいう怪物でもハウンド・ソードが壊滅確定の存在だっていうのに、それも序の口とはね………」
魔導機兵・リーズィヒ級の事を思い返し、クラークが苛立ちとも焦りとも取れる声音で言う。
いい情報ばかりではなかった。
件のリーズィヒ級だってこれから対策を練らなければならないのに、そこに加えて四魔将の出現報告だ。
偶然、気まぐれで現れた、そういう類いの話でもない。
間違いなく、アインスの出現が原因だろう。
「交戦はしたのか?」
「リャナンシーとかいうのがアインスとしてたよ。けど、軽くやり合ったみたいな感じで、そこにバアルとかいうのが来て戦闘を中断して揃って撤退していったんだ」
「他には?」
「リャナンシーが水を操っていた、というのは分かりました。けど、それだけです」
「ふむ………」
ファータは顎に指をかけ、熟考する。
リーズィヒ級だけであればどうにか出来るかもしれない、という算段ではあった。
しかし、追加でもう一つ。
標的であるエンデの前に最大の壁として立ちはだかる難題、四魔将まで同時に現れるとなれば話はまるで変わってくる。
アインス、ツヴァイという戦力で対応出来るならば問題はない。だが、そうでなかったら?
残り二人の四魔将まで姿を現せば?
いずれにせよ、取れる選択肢は多くはない。
更に言えば、後手に回ればその選択肢は更に少なくなる。
「アラン、ロジャー。疲れているところ悪いが至急、ヤクト商会へ連絡を。それから…………」
「俺達の出番、そうですね?」
「待ってました……!」
重要な役回りが来た!と、二人の目が鋭く輝き、ファータの声が僅かに力を帯びる。
「ああ、そうだ。クラーク、チェスター。次の作戦を伝える。それから、クラークは後で私の部屋に来てくれ、個別に頼みたい事がある」




