第1話「第四世界フィラトル」
まず初めに、この第四世界フィラトルはファルゼア、統合神界を除いた6つの世界でもっとも若く、そして争いを知らない世界だった。
始まりこそは他の3つの世界と一緒だが、命が芽吹くのは遅かった。たしか、3000年となかったろう。
争いを知らない、という言葉通り、フィラトルには他世界の様に魔族などの敵が発生する事もなく、また同族同士、つまり人間同士で争うという事さえ起きなかった。
戦う術を知る事はない、いや、知る事が出来なかったと言うべきか。
フィラトルはもっとも幼い世界だ。
しかし、文明の発展はもっとも速かった。
始まりの二人の手を離れて以降、人々は家などの住む環境も既存の物から少しずつ、違うものへと変えていった。
代わりに、魔法という概念は衰退を選んだ。
他世界ではそれぞれの環境に適応し、気が遠くなるほどの歳月を研究、練磨する事によって当たり前のように発展した魔法は、ここではあまり……いや、殆ど使われる事がない。
魔導工学と呼ばれる機械技術に組み込まれる程度。やがては失われていく。
だが、それを彼らが問題視する事はない。
それが失われたところで、彼らならば魔導工学を更に極め、やがて魔法に頼ることのない新たな技術を生み出すだろう。
争いを知らない無垢なままの世界。
人々が幸福なまま天寿を全うし、その生涯を終えることができる世界。
なるほど。そう見れば、このフィラトルという世界は素晴らしい世界と言える。
故に、オレはこう言おう。
だからこそ、第四世界フィラトルはこれまで築き上げた多くを失ったのだ、と。
外敵を撃滅する事を。戦い、抗う事を知る事が出来なかった故に…………
だからこそ……、アイツは大事な者を失って、漸く■■を知る事が出来たのだ。




