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第0話
私達は幸せだった。
戦う事も、奪われる事も知らなかった。
僕達は幸せだった。
善意は知っていても、悪意を知らなかった。
火に巻かれることも、誰かが温かい血溜まりの中で冷たくなる事を知らなかった。
けれど、後になってこう思う。
それは無知であって、決して幸せなんかではなかったと。
私/僕達は不幸だった。
揺らめく焔の中で、狂ったように笑いながら破壊を繰り返すアイツに何も出来なかった。
戦う術を持っていなかった、知らなかったから。
だからこそ私は精一杯の力でアイツから弟だけしか守れず……
「オレはあの日、大事な姉を失ったんだ」




