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第17話「異形なる者達」


処刑者を狙い、放たれる無数の槍。


それを止めたのは処刑者の断頭斧でもなく、アラン達の銃でも、ツヴァイの攻撃でもなく、突然現れた第三者の……爪が無数に連なったような異形の槍だった。


「な、アンタ…………っ!」

「……………………」


水の槍は弾け、またただの水となって散らばる。

処刑者は一度後退し、リャナンシーへの警戒を解かぬまま、現れた第三者の存在へ視線を移す。


2メートルはあるであろう筋骨隆々の大男。

そして、鋭利な爪と牙、額から伸びた長い角、充血したかのような赤い瞳がリャナンシーと同じく人間ではないと物語っていた。


断頭斧を再び構える。

しかし、割って入った男は牙を見せるように笑みを浮かべ、処刑者が向かってこようとするのを手で制す。


「あー、止めとけ止めとけ。別に俺は今ここで、お前とやる気はねえよ。まあ、本音を言えばすぐにでもやりたいが、な」

「そうすればいい」

「そうもいかねえんだよ。大将の命令でな。こいつを連れ戻しに来ただけだ。って訳でだ、帰るぞ。」

「バアル………、邪魔しないでよ。彼は私の……かっ―――――!?」

「うるせえ」


命令を無視し、まだ処刑者に執着を示すリャナンシーの鳩尾に、バアルと呼ばれた異形は拳を叩き込み無理矢理黙らせた。


うずくまる同胞を殺意を顕に、バアルは言う。


「2度も言わせるな。《《他でもねえ大将の命令だ》》。処刑者に譲るまでもねえ。聞けねえなら俺がテメェをここで殺してやる」

「……………くそっ」


悪態を吐き、よろよろと立ち上がると、リャナンシーは苦痛の混じった笑みを浮かべて処刑者を見た。


「………不本意だけど、今日は此処で帰るわ。けれど忘れないで愛しい人。人間のくせに生意気にも思い通りにならない貴方……。いつか必ず、私のモノにしてみせる」


それだけ言って、背中の濁った翅を動かすとリャナンシーはその場を離れた。


バアルは追おうとして、青年に……正確には彼の瞳と持つ剣、纏うマントに目を向ける。


「いいね、大将の目に狂いは無かった訳だ」

「…………………」

「ハッ、そう睨むなよ。退屈な日々は終わり。お前と戦える日を、心から楽しみにしてるぜ」


「じゃあな」と、それだけ残してバアルはリャナンシーの後を追った。


その背に処刑者は銃を向ける。が、結局は引き金を引くことなく銃口を下げた。

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