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第15話「処刑者との合流・中編」


『――――――――』


アラン達は目の前の光景を、呆けた顔で見ていた。

ツヴァイの背に乗り数十分程度。

結論から言って、すぐに処刑者を見つける事が出来た。


処刑者は最初に遭遇した場所から動かず、破壊した魔導機兵の残骸に腰掛けて携帯食料のパッケージを剥いて、それを口にしている。


「全然、雰囲気が違うな…………」

「うん………」


揃って呆けた顔をしていた原因はそれだ。

自分達を脱出させ、敵を相手に戦う様は獲物を狙う獰猛な獣のそれだったが、今の彼はそれが嘘だったかのように穏やかな気配を醸し出している。

一瞬、あの時の青年とは別人かと思うほどだった。


予想外の状況に思考が停止していると、先に向こうの方がこちらに気付いた。


「ツヴァイ、戻ってきたか。それに、さっきの……」

「あ、うん。僕はアランでこっちはロジャー。さっきは助けてくれてありがとう。お陰で無事、拠点に帰れたよ」

「そうか、それはよかった。ツヴァイ」

「ああ、ちょっと!?」


アランの話を聞いて安堵し、それから何事もなかったかのようにその場を離れようとする処刑者を呼び止めた。

どうやら、ツヴァイが戻るのを待っていただけらしい。


「なにか?」

「ファータに……うちのボスに頼まれたんだ。君に――――」

「ファータ……、ホルガーの話に出てきた……」


思い出す様に眉を潜める処刑者。

ファータの言う通り、本当に第八区画に身を置いてようだ。

そこからロジャーが続ける。


「そう、そのファータの頼みだ。アンタに、うちのレジスタンスに来て一緒に戦ってほしいんだ」

「断る」

「クェッ」


聞いた通り断られた。それもロジャーが言い終わると同時に即答。

しかし、悪意ではないらしい。申し訳なさそうにしながら、処刑者は言う。


「オレといれば、また大勢の人が死ぬ。ホルガー達もそうだ。近くにいて誰かが死ぬなら、オレは別に一人でいい」

「…………………」


処刑者の言葉にアランは押し黙った。


第八区画が『殲滅者たち』によって掃討されたことは聞いている。

時期としては目の前の彼が処刑者として呼ばれるようになってすぐ。かなり大規模な作戦だったとも。


ファータ曰く、あの作戦自体は見せしめだと言っていた。

その気になればすぐにでもお前達を同じ様に滅ぼせるのだと。


タイミング的にも処刑者は自分がいたから第八区画は滅ぼされた、そう思っている。だが………。


「けど、それは――――――」

「違う。それは違うぜ、処刑者。言い方は悪ぃけど、アンタがいてもいなくても第八区画はエンデ軍に攻め落とされてたと思う。アンタのせいじゃない」

「ロジャー……?」


いつもはおちゃらけた態度のロジャーが、普段見せることのない表情と物言いにアランは驚いた。

処刑者も一瞬、呆気に取られた顔をしている。


「それにだ。たとえ自分達が死ぬと分かってても、第八区画は死ぬまで戦った筈だぜ」

「どうして、そう言い切れる?」

「そりゃあ、ハウンド・ソード(俺達)だって同じだからさ。エンデを倒して、平和を取り戻す。あの人達だってそうだった。一番危険な場所で、最後まで平和の為に戦った」

「…………」

「アンタだってそうだろ?譲れない何かがあって、一人でも戦おうとしてる」

「オレは…………」

「キャウッ」

「ツヴァイ………」

「うぉ?!いつの間に!」


いつの間にか隣にいたツヴァイに驚いて、ロジャーは飛び上がった。


その間、処刑者とツヴァイはまるで語り合うかの様に見つめ合っている。


「キャアウ」

「分かってる。けど…………」


まるで言い聞かせる様に鳴くツヴァイと同意しつつも選択を躊躇う処刑者。

その様子を、アラン達は黙って見守る。


(………伝言、無くてもいけるんじゃね?)

と、処刑者達のやり取りを眺めながらロジャーはそんな事を考えた。

単にタイミングを逃して言いそびれただけだが、この様子では説得には応じてくれそうではある。


取り敢えず、もう少し様子を見守ろう。そう思った時だった。


「探す手間が省けた。嬉しいわ、処刑者」


聞いたことのない、女性の声が響いたのは――――。

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