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第12話「二人の帰還」



暫くしてから、アラン達は拠点へと無事辿り着いた。

簡素な建物やテント、いくつかの車輌。それから数少ない子ども達の遊ぶ広場を有する花園。


場所の名を『エリア・ロスト』。レジスタンス、『ハウンド・ソード(猟犬の剣)』にとっての基地でもあり家でもあり……、人類にとっての最後の砦である。


白竜、ツヴァイがまるで何かを感じた様に少し目を細めたが、その後すぐに姿勢を低くし、アランとロジャーを降ろす。

それから、両翼を下げてアラン達を眺めた。


「ありがとう」

「サンキューな。待ってな、なんか食うもん貰って…………、なあ、アラン。ドラゴンって人間の食い物って食えるのか?」

「僕が知るわけ………、ん?」


降りて司令室に向かおうとしたところで、そちらの方から数人、こちらへ来た。

武装してるレジスタンスの仲間が数人、その先頭に見知った顔が2人。


1人は警戒心と敵意を丸出しにした跳ねた髪が特徴的な男。

2人目は肩ほどの長い髪を後ろで纏め、柔和な雰囲気を醸し出す男だ。


アランとロジャーは顔を見合わせ、バレない程度にげんなりとする。

この場においては一番面倒な奴が来た、と。

その読みは当たっており、アランが何か言う前に開口一番、跳ねた髪の男、チェスターは怒鳴る。


「おい。アラン、ロジャー!テメェら魔族なんかと一緒に拠点に来てどうするつもりだ。コイツのせいで此処の場所がバレたら責任取れんのかよ!!」

「チェスター、………この子は僕らを助けてくれた恩人だ。魔族とは関係ない」

「敵の罠かもしんねえじゃねえか!しかも、作戦失敗して粘りもしねえとか、あり得ねえだろ!!」

「…………………」


アランが苛立ちで黙っていると、今度はロジャーがカチンと来た様子で口を開いた。


「………言うじゃねえかよ、チェスター。何なら今から一緒に中央ゲートに飛び込むか?そこまで吠えんなら行けるよな」

「ッ、そ、それとコレとは違うだろ!第一………………」


チェスターは一瞬だけ言い淀んだが、すぐにロジャーの胸倉を掴みそうな勢いで距離を詰めた。

また始まった………と、アランは溜め息を吐くと、取り巻きのレジスタンスと長髪の男も呆れたように笑っている。


「…………アンナから連絡は?クラーク」

「来てるよ。司令官(セラ)からも通達してるんだけど………」

「いつもの悪い癖?」

「それ以外、無いだろ?」


長髪の男、クラークは肩を竦めた。


「クラーク、分かってると思うけど、あの竜は――――」

「分かってるよ。いくら俺でも、見境なく喧嘩売ったりしないさ。感謝こそすれど、ね」

「ならいいけど………」


(いつになったら治るのかな、アレ……)

いい加減見慣れた、ロジャーとチェスターの喧嘩を見ながらそんな事を考える。

そして、自分の予想が正しければ、そろそろ…………


「―――――チェスター。止めなさい」

「―――――っ!」

「あ、やべ」


静かに響き渡る声を聞いて、チェスターはその場で飛び上がり、ロジャーは大してそう思ってない口調で言ってチェスターから離れた。


「チェスター。私は『敵に作戦が読まれ、アラン達はやむなく撤退してくる』そう伝えたはずよ。どうしてあんな言い方をするの?」


そう言いながら、ハウンド・ソード司令官のセラは眉尻を下げ、明るい茶髪と真っ白なスカートを揺らし、困った表情でチェスターを見た。

チェスターの方は焦りを隠そうともせず、あたふたとしている。


「いや、だってよセラ。こいつら、あんなのを………」

「《《あんなの》》?私は貴方が聞いていた部分の後に『2人を助けてくれた協力者も同行するから、ちゃんとお迎えして』とも言ってるのよ」

「それは聞いてな――――」

「貴方が聞かなかったんでしょう!いっつも作戦や報告を最後まで聞かないでスッ飛んでいくのはどうにかならないの?!それに、お客様に失礼でしょう!」

「……………いや、その………わりぃ」


一通り怒られてしゅんとしたチェスターへの説教を終わらせ、セラは軽く咳払いした後、躊躇いなく白竜へ近付き頭を下げた。


「私の仲間が無礼な事をして、ごめんなさい。えっと……」

「ツヴァイ、たぶんその子の名前だよ」


名前の事と思い、困った顔でこちらへ振り返るセラにそう教える。

たしかに、あの青年はそう呼んでいたと。


「そう。改めてようこそ、エリア・ロストへ。ツヴァイ、私達はあなたを歓迎します。今みたいに困った事があったら教えてね?」

「キュルル」

「ふふ、お利口な子ね」


セラが笑顔でそう伝えると、白竜は目を細め、短く鳴いて返した。


「セラ。歓迎ムードのところ悪いんだけど、大事な報告がある」


アランは一度、そこで言葉を切ってから周りを見渡し、それから全員に聞こえるように続ける。


「処刑者に接触できた。この子は、彼が連れていた竜だ」



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