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ネトゲで俺を狩り続けた伝説PK、 リアルでは学園No.1のクール美少女でした 〜リアルと性格違いすぎません〜  作者: 風白春音


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第18話 編入生


 ミラアスでの白鷺美月との出会いで、胸がざわついていた俺は、気が気ではなかった。


 「どうしたんだ?」


 早速俺の異変に気づいた親友の悠斗。

 心配そうな目で見つめてくる。


 「嫌な予感がする」


 「それ前も言ってなかったか?」


 「前回よりも遥かに嫌な予感がする。帰っていいかな?」


 「いやダメだろ。体調悪いなら別だけど」


 ある意味体調はすこぶる悪い。

 熱も咳もないが、悪寒と動悸だけが止まらない。


 「仕方ねえ。朔夜が元気になる話をしてやるよ」


 ドヤ顔で語り出す悠斗。

 経験上ろくな話じゃないと悟った。

 だがそれでも縋りたくなる。


 「聞いて驚け。今日なんと転入生がやってくるらしいぜ。しかも聞いた話によると女子。どうだ元気出たか?」


 「はあー。聞いて損した」


 やっぱりろくな話じゃなかった。

 ガチで心底どうでもいい。

 こちとら夜桜紫苑一人で手一杯なんだよ。

 他の女子に視線を送ってる場合じゃねえ。


 「相変わらず冷めてるやつだな。でも、今回の転入生はガチの上玉だと思うぜ」


 「根拠は?」


 「俺の直感が火を吹いてるぜ」


 「じゃあダメだな」


 「ひでぇ」


 なーにが直感が火を吹くだ。

 非科学的すぎて根拠が微塵も感じられない。


 「まっ、とにかく期待してろよ」


 「ふっ、お手並み拝見だな」


 俺と悠斗はそれぞれ自分の席に姿勢正しく座り直す。

 横をチラリと見ると紫苑と目が合った。


 「う・わ・き・だ・め」


 俺は紫苑のリップシンクで心臓が跳ねた。

 

 「し・て・ね・え・よ」


 俺のリップシンクに対して、意地悪そうにニヤリと笑った。

 悔しいが、相変わらず可愛かった。


 ────


 1年A組の担任である美人教師こと氷室 綾音が静かにドアを開けて教壇へと立つ。

 氷室綾音──長い黒髪と涼しげな瞳を持つ、近寄りがたいほどの美人教師。

 整いすぎた容姿と隙のない雰囲気のせいで、婚期を逃しているらしい。


 「今日は皆さんに大事なお知らせがあります」


 クラスが少しだけざわつく。


 「綾音ちゃん、まさかやめるの?」


 「やめません。それと教師のことは名前呼びしてはいけません」


 軽く叱られるのは同じクラスメイトの山風海人。彼は根っからの陽キャである。髪も金髪に染めており、ピアスも開けている。

 校則が圧倒的に緩いこの学園でなければ、即座に停学処分が下されていてもおかしくない。


 「今日から編入生が来ます。静かに迎えてあげてください」


 氷室綾音が丁寧な口調で言うと、一人の生徒が静かにドアを開けて黒板の前に立った。


 「仕事の都合で急遽編入しました。皆さん宜しくお願いします」


 その一言と同時に、クラス中がざわつき出す。


 「ねえあれって、白鷺美月じゃん」

 「うそうそ。何で!?」

 「やっば。俺大ファン」

 「まじかよ。夢じゃないよね?」


 俺は一気に胸が苦しくなる。

 そして動悸と呼吸が乱れる。


 「じゃあそこの用意した席に座って」

 

 「はい」


 しかも俺の横の席。

 新たに用意されてた席はやはり編入生だったのか。


 「宜しくね、えーと」


 「白銀朔夜。宜しく」


 「私は白鷺美月。宜しくね白銀君」


 こうして今をときめく女子高生カリスマモデルとクラスメイトになってしまった。


 ────


 昼休み。

 編入初日の白鷺美月の周りには人だかりができていた。

 他のクラスメイトすら堂々と入ってきている。


 「な? 言っただろ。俺の直感が火を吹くってな」


 「そうだな。疑って悪かった」


 まさかこんな上玉とは予想しなかった。

 予想を遥かに超える編入生だ。


 (嫌な予感が的中したな。できれば会いたくなかった)


 改めて白鷺美月の容姿は凄まじい。

 肌の白さ、大きな瞳、長い綺麗なまつ毛、くっきりした鼻筋。顔は左右対称でもはや同じ現実世界の住人とは思えない美しさだ。

 すらりと伸びる手足、均整の取れたスタイルも神々しさすら感じさせる。


 (さすがカリスマモデルだな。次元が違う)


 だが唯一負けてない美しさを持つ美少女がいる。

 それが俺に付きまとう夜桜紫苑だ。


 艶やかな黒髪に整いすぎた美貌を持ち、一年生にして異例の蒼嶺学園の生徒会長であり、才色兼備の象徴。学園No. 1美少女。


 (こう見ると、紫苑も凄いんだよな)


 変態で性悪でどうしようもない異常者という認識である俺には、到底納得できない事実。

 だが俺やレイナ以外から見た夜桜紫苑は、恐らく白鷺美月と同等の評価な筈だ。


 (なぜ俺の事が特別なんだろうか?)


 わからなくて頭を悩ます。

 その時スマホが震えた。


 『屋上行こうよ。お話ししたいな』

 『わかった』


 俺はタイミングを見計らって、教室を後にした。

 一瞬だけ誰かの視線を感じた気がして、振り返るが、誰も見ていない。


 (視線を感じたような?)


 まあいいや。

 俺は屋上へ向かった。


 ────


 「朔夜君。これは相当手強いよ」


 「何がだよ? ゲームの話か?」


 紫苑は屋上で俺とお弁当を広げている。

 俺のおかずを横取りしながら、呆れた態度をとった。


 「君は本当に鈍感だね。社会で騙されないか心配だよ」


 「誰目線なんだよ?」


 「勿論妻だよ」


 「死ね」


 「ひどい。私よりいい女いないよ」


 いやどうだろうな。

 外見だけならそうだが、中身を吟味すると⋯⋯ 。


 「ところで白鷺美月の事知ってたの?」


 「え!?」


 唐突な質問に動揺を見せる。

 視線を少し泳がせてしまう。


 「私の目は誤魔化せないんだよ朔夜君。白鷺美月を見て明らかに動揺してたからね」


 「お前まさか四六時中俺を監視してるんじゃないだろうな?」


 「ご想像にお任せするよ」


 怖っ。背筋がゾワっとなる。

 下手なホラー映画より遥かに怖い。


 「この前ミラアスで白鷺美月のアバターと出会ったんだ。それで動揺した」


 嘘は言ってない。詳細を話してないだけで。


 「ふーん。それにしてもよくアバターがリアルの白鷺美月だとわかったね」


 鋭いやつめ。

 やっぱり誤魔化せる気がしない。


 「プライベートメッセージでバラしてきやがった。おまけに画像も寄越して」


 「その画像保存した?」


 「え?」


 「保存したの?」


 「しました」


 あまりの圧に屈する俺。


 「ううっ。私というものがありながら」


 「言っとくが俺とお前は友達だぞ」


 「え? 友達で如何わしい事するの?」


 「何の話だ? しねえよ」


 何言ってんだこいつ。

 話すだけで疲れる。


 「でも真面目な話、彼女には気をつけた方がいいよ」


 「なんだよ急に真面目な顔して」


 「私の直感は当たるんだよ」


 その言葉に一切の躊躇がなく、冗談さも微塵も感じない。

 

 俺は屋上での紫苑の言葉がしばらく頭から離れなかった。

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