表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネトゲで俺を狩り続けた伝説PK、 リアルでは学園No.1のクール美少女でした 〜リアルと性格違いすぎません〜  作者: 風白春音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/24

第12話 ご褒美

激動のコスプレ大会を終え、現実へ戻る。


 ベッドに仰向けに倒れ込む。


 「はあー……疲れた」


 まさか自分が女装して人前に立つ日が来るとは。


 「……そういや紫苑、最後に“本物見せる”とか言ってたな」


 意味がわからん。


 あいつの考えてることは、やっぱり理解できる気がしない。


 天井を見上げながらため息をついた、その時。


 スマホが鳴る。


 『やっほー朔夜君、今家の前にいるよ』


 「は?」


 意味がわからない。


 『冗談にしては笑えないんだが』


 『証拠見せようか?』


 次の瞬間――インターホンが鳴る。


 「……っ!」


 嫌な予感が現実になる。



 玄関まで駆ける。


 モニターに映っていたのは――


 「おい、なんで俺の家を……」


 「とりあえず入れてほしいな」


 「帰れ」


 「夕方過ぎだよ? か弱い乙女を一人で帰すの?」


 「後ろの車と人は何だ」


 「……あっ」


 紫苑が軽く手を振ると、黒服たちが車で去っていく。


 「ね? 一人でしょ」


 「はあ……今日だけだぞ」


 「やったー」



 「お邪魔します。これ、よかったらどうぞ」


 丁寧に頭を下げ、高そうなお菓子を差し出す紫苑。


 「あら、いいの? ありがとう」


 「いえ、突然来てしまってごめんなさい」


 完璧な対応。


 「あなたが夜桜紫苑さんね。いつも話は聞いてるわ」


 「ちょっ、紫乃さん!?」


 顔が熱くなる。


 紫苑も楽しそうに笑っている。


 「ほら、部屋行くぞ」


 「えーそんな急いで……まさかエッチ?」


 「なわけねえだろ。いいから来い」



 「で、なんで住所知ってる?」


 「全部知ってるよ、君のこと」


 「いいから答えろ」


 軽く頬を引っ張る。


 「痛い痛い。付き人に調べてもらった」


 「犯罪だろ」


 「ひどいよ」


 「ひどいのはお前だよ」


 俺は大きくため息をつく。


 「で? 何しに来た」


 「察しがいいね。珍しく」


 「帰れ」


 「ひどいなあ」


 「ひどくねえよ」


 俺の必死さを見て、


 笑い転げる紫苑。


 こいつ絶対いつか痛い目見せる。



 「朔夜君、ちょっと外出てて」


 「は?」


 「本物、見せてあげるって言ったでしょ?」


 「……ああ、あれか」


 「いいから」


 そのまま部屋を追い出される。


 「なんで俺の部屋なのに……」


 渋々出ていく俺。


 「どうしたの?」


 お菓子と飲み物を持った紫乃さんがちょうど2階にやって来る。


 「いや、ちょっとな」


 「まさか喧嘩?」


 「違うって」


 「紫苑ちゃん、いい子よ。手放しちゃダメ」


 「いやそれはない」


 俺はすぐさま突っ込んだ。



 「朔夜君、いいよ」


 部屋に戻る。


 「遅えよ――」


 「じゃーん。どう?」


 「……は?」


 言葉が出ない。



 黒のバニーガール衣装。

 身体に沿う光沢のある生地、白いカフスと首元のリボン。

 網タイツ越しに伸びる脚、揺れる小さなうさ耳。


 さっきまでとは別人のような、艶やかな空気。



 「似合ってる?」


 「……似合ってる」


 それしか言えなかった。


 「ご褒美だよ。朔夜君頑張ったからね」


 「……そうか」


 心臓がうるさい。


 直視できない。


 どうにかなりそうだ。


 「そんなに見られると、こっちも恥ずかしいんだけど」


 紫苑がらしくなく、恥ずかしそうにもじもじしている。


 「……めちゃくちゃ似合ってる。ありがとな」


 「え……」


 珍しく、紫苑が言葉に詰まる。


 暫く見つめ合う二人。


 「これ、君にしか見せてないからね」


 「……そ、そうかよ」


 「もうちょっと見たい?」


 「いいから着替えろ」



 少しの沈黙。


 お互いに視線を逸らす。


 いつもの余裕は、どこにもなかった。


 「写真、撮る?」


 「いらねえ!」


 思わず大声で拒絶した。


 本音は欲しかったが。



 だが。


 今日という日は、まだ終わらない。


 ――むしろここからが本番だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ