第14章 001 女神のデュエルデビュー
馬車に揺られながら旅を続ける大和たち一行。
入院していたカリムという青年からクライカードのコレクションを受け渡された大和は少し元気なさげに彼のコレクションが収納されたバインダーのページをめくっていた。――これを揃えるのに時間がかかっただろうな。そう思っていたところ、ホエールが見せて見せてと言ってくる。
大和は見ていたバインダーを閉じて渡す。
他人の物であろうとコレクションを拝むのは楽しいものらしい。
「見たらフリイヤに返してほしい」
「うん、分かった」
クライカードは危険が伴う故に持っていてはいけないカードとされる。持っていると精神異常や目から血が出るなどの体調不良に陥る可能性がある。この負の連鎖を止めるために大和たちは旅をし魔王を倒そうとしていたことがあった。魔王を倒した後はひと悶着あったのだが、現在では穏やかに旅をする日々を送れている。
〇
馬車がアドアートという町にたどり着き宿屋に着いた大和たちは、料金を払って一人一部屋で自身が泊まる部屋にぞれぞれ入っていった。
大和は早々にベッドにダイブした。疲れが溜まっていたのもあるが、魔王城でクライカードを使いながら天涯孤独な者たちを守っていた時のことを思い出していたのだった。あの時のことを考えると胸が締め付けられた。今でも魔王を倒してしまったのを罪だと思っている。
フリイヤはそんな彼のことを分かっているようで「もし倒さなかったら、クライカードは生産し続けられていた」と慰めた。
大和は仰向けになり腕を額につける。
「……本当にそうなのだろうか」
〇
夕方になり、夕食を食べる前にカードショップへと行くことになった。今日も店の中に入ると見知った物が展示されていた。倉間大和のサイン付き犬デッキである。
ホエールは嬉しそうに指さして「あった」と声に出した。
「はいはい、分かった分かった。俺が人気すぎてどこにでも飾られている」
タートルは大和の肩を叩くとホエールとともにショーケースやストレージケースを拝見した。
大和は気分が上がらなかった。未だに先代の魔王のことが頭から離れなかったのだ。フリイヤは彼のことを分かっているようで「せっかく来たんですもの。あなたも見ないの?」と問われる。
大和は微笑む。
「フリイヤこそ、そろそろセイントカードデビューしてもいいんじゃないか?」
「あたしは見ている側で充分よ」
大和は「そうかい」と言ってタートルとホエールの元まで歩いていく。フリイヤも後に続き一緒にカードを拝見するのだが、やはり同じ質問をホエールにもされた。
「フリイヤはやらないの?」
「私は見ているだけでお腹いっぱい」
そうは言っても周りの者はもったいないと思うのである。




