第8章 005 英雄であり魔王であり
ある町のセイントカードのイベントで現魔王であり元勇者の倉間大和が出席した。
このお方が魔王を倒した英雄の倉間大和だとイベントの司会者が紹介する。集まった人だかりは声援を送り盛大に大和を歓迎した。さらに手に持つのはセイントカードの束でありデッキ。魔王を倒したセイントカードのデッキだ。
司会者はマイクを持って声をあげる。
「それではやってもらいましょう!」
大和は白い召喚板を構え40枚のデッキを装填し、4枚のカードを引き抜いた。
「俺のターン!ドロー!」
カードを1枚引き抜くのと同時にエンジン音のような音が鳴り白い召喚板に装着された魔法石が回転する。
大和のファンからの声援があがる。
ジェスチャーで司会者がさらに何か召喚するように促す。
「俺は柴犬鎧まるいちを召喚!」
尻尾を振って嬉しそうに大和に駆け寄る柴犬鎧まるいち。
大和が二代目魔王になったことはみんな知りもしない。そして勇者だった彼の仕事に感銘を受けて集まるファンの人たち。きっと二代目魔王だということは一般の人には知られることはないのだろう。
「さらに柴犬鎧まるいちの能力発動。犬カードもしくはドッグカードを手札に加えるか召喚することができる。俺はセイントドッグガールを変幻召喚する」
白い召喚板に配置された柴犬鎧まるいちのカードの上にセイントドッグガールのカードを重ねて変幻召喚する。
柴犬鎧まるいちの体が光の粒子に変わり人の形となり犬の耳と尻尾が生えた美少女が現れる。
みなこのカードで魔王を倒したのだと盛り上がる。
「こい!――」
ファンも大和と声を揃えて「セイントドッグガール!」と唱える。召喚されセイントドッグガールが実体化し大勢のファンが喜びの声を上げる。
無事セイントカードの販売イベントは成功に至ったのであった。
セイントカード「勇者の伝説」という大和が使っていたデッキがそのまま商品化され、大和が握手したりサインをして消費者に売り渡していく。




