第7章 005 魔王を継ぐもの
コストは9だが、柴犬鎧まるいちの能力でこのカードの上にカードを重ねて変幻召喚をする場合ノーコストで変幻召喚ができる。
「所詮はクライカードもセイントカードも意味がないのだ。すべては権力なのだから」
ヴァーリに大和は問う。
「お前は知っているのか? クライカードは魔王だけでなく、人間も作っているカードであり、さらに魔王がいなくなったことで儲けの全てを独占するべくこの邪魔な魔王城を差し押さえしようとしていることを。クライカードが売れれば売れるほど儲けは貴族どもに入るぞ?」
「なんだと……」
ヴァーリは知らなかったようだ。それもそのはず誰もいない陰で話していたような内容なのだから。
「俺はターンエンドだ。さあ、来るがいい勇者」
〇
勇者ヴァーリのターンが回ってきた。
「俺のターン」
どうやらクライカードのことで動揺しているようだ。
銀の鎧を着た貴族どもが「何をしている?! あっちの言葉を信じるのか!」と声を上げている。
「そうだ、俺は勇者なんだ。魔王となった者から魔王城を明け渡してもらうためにここまで来た」
その独り言はどこかで聞いたようなセリフだと大和は感じた。
「俺のターン」
ヴァーリがデッキから1枚のカードを引き、同時にエンジンのような音が鳴り魔法石が回転した。
「俺はシャムネコ鎧ひなこを召喚」
鎧を着たシャムネコが召喚される。コストは3だ。
※現在のデッキ枚数。ヴァーリのデッキ枚数32枚。大和のデッキ枚数32枚。
「さらに能力発動! シャムネコ鎧ひなこが召喚された場合、他の猫カードもしくはキャットカードを手札に加えるか召喚ができる」
白い召喚板からデッキを引き抜き1枚のカードを選択してまたデッキを白い召喚板へと戻し、デッキが自動でシャッフルされる。
「このまま変幻召喚、シャムネコ鎧ひなこを素材にセイントキャットガールを変幻召喚する」
シャムネコ鎧ひなこは光の粒子に包まれそのまま人の形を形成し耳と尻尾が生えた美少女へと変化した。
「変幻召喚は本来コストがかかるけど、シャムネコ鎧ひなこの能力でコストがかからない」
セイントキャットガールのコストは9。能力は場の相手のカードが自分より多い場合、自分と同じになるように相手に休憩エリアへと強制的にカードを送らせるカード。つまり相手に2体いて自分は1体の場合2体のうち1体を休憩エリアへと送らせる強力な能力なのだ。
だが今は場に一体ずつ。今すぐ能力が使えるカードではない。
大和は思った。――この相手初心者だ。
「俺はターンエンドだ」
さらに攻撃してこない。コスト9同士の相打ちは狙わないということだろうか。それとも権勢のつもりなのだろうか。




