第7章 003 魔王を継ぐもの
一方女神フリイヤの方は神界で審問を受けていた。なぜ倉間大和を任務完了と同時に元の世界に戻さなかったのか。
「クライカードの問題が片付いていなかったからです」
では君はなぜ一人で神界に戻ってきた?
「戦争と言っても差し支えない事態です。そこで私がどちらかにつくのは問題かと」
確かに悪魔側に着くのもクライカード生産や販売の権限を独占したい汚職のような王国のやり方につくのもどちらにしても問題だ。
今はまだ神界では大和たちの様子を見守ることしかできない。
〇
玉座で一人うずくまる大和に対し声をかける者がいた。
「かわいそう、一人で悩んでいるのね……」
「誰だ君は?」
頭を上げると傍にいたのは水着のような煽情的な格好をした女の悪魔であった。ひらりとした短いスカートからドラゴンの尻尾のようなものが見え隠れしている。
「リーリと呼んでくださいませ」
「何の用だ。悪魔」
「はい悪魔です。あなたが一人で辛そうにしていたので参上いたしました」
フリイヤだったらなんて言うだろうか。悪魔の言葉を鵜呑みにしてはいけないとか、話してはいけないとか言うに違いない。だが実際今ここにいるのは皮肉にも悪魔だけだ。
「クライカードを使った報いか。孤独感に付け入る悪魔がどっからか湧いて出てきた」
「あなたひどいことをおっしゃる。確かに私は悪魔ですよ? でもクライカードも悪魔の力も関係ないのでしょ?」
王国の城ではっぱをかけた際の言葉を言ってきたので驚いた。
「お前、いつから俺のことを知っている?」
「ずーっと知っていましたよ? でもあなたが悪魔を遠ざけるから近づけなかったのです」
「心の距離みたいなこと言うな?」
「実際その通りでございます」
〇
王国はまた攻めてくるのだろうか。そう思う度に胸の中が締め付けられるような感覚に陥ってしまう。
心がつらくなる度にリーリが玉座に座る大和にすり寄ってくる。
「大丈夫でございますよ。私がいますから」
そんな場面でタートルがやってくる。
「大和。また戦うのか?」
「……戦わないと。何も守れないだろ」
「でも君は勇者じゃ……」
大和は「勇者じゃないっ!!!」と叫び玉座から立ち上がる。
「もうこうなってしまえば俺はもう誰でもない! 王国に反逆するただの召喚士じゃないか!」
タートルは「すまない」と言い頭を下げた。
「なんで頭を下げるんだよ」
「いや、こんなことになってしまって。大和は今王国側からは二代目の魔王と見なされているらしい」
「……好きなように言うがいいさ」
リーリが大和の顎を撫でるように触る。
「良いじゃない。二代目魔王あなたにはふさわしいわ」
大和は再び玉座に腰掛け肘置きに肘をついて顎を手のひらで支えた。
「もう、どうなってもいいさ」




