第7章 001 魔王を継ぐもの
現在倉間大和は貴族に逆らったとして国家転覆の罪で追われる身となっていた。
大和にとってもはやクライカードを使うこと自体になんの意味もなくなっていた。かつてタートルにも言われたとおりだ。――悪魔の力でも僕としたら大した問題じゃないさ。
女神フリイヤには止められた。
「あなたはクライカードと関わりすぎて悪影響が出ている」
浄化すると言われ拒否した。浄化とか関係ない。浄化で現実は変わらない。タートルやホエールが王国から狙われる立場が変わるわけでもない。そして女神フリイヤは彼女たちを助けることもできない。
だから大和はクライカードもセイントカードも両方使うようになった。元々スカルドラゴンのようにクライでもセイントでもないカードも存在している。こだわること自体が馬鹿馬鹿しくなっていた。
魔王城の椅子に座る倉間大和。
その様子を見てタートルは心配しているようだった。
「自分の罪を感じているのであれば気にする必要はない。魔王様は浄化され楽になっただろう。ずっと周りの者のことを考えておられたから」
「浄化で死んだら元も子もないだろ?」
たくさんの家族を抱える魔王を倒してしまった罪。大和はそれを感じているのだろうか。自分でもよくわかっていなかった。ただ、この魔王城にいる者たちを守らなければならないという責任感が彼を動かしていた。
〇
魔王城に王国の騎士たちが攻め込んできたらしい。黒騎士たちやドラゴンの尻尾が生えた悪魔メイドたちが応戦している。
なぜこんなことになってしまったのか。すべては大和自身の視野の狭さだと感じた。
大和も応戦すべく椅子から立ち上がるが、タートルは心配して声をかける。
「待て! 出なくてもいいんだ」
「そんなことはない。俺も出る」
魔王城のバルコニーへ出ると下で戦っている者たちを見下ろす。地上の至る所で剣がぶつかり合い鎧に剣が当たる様子が。大和は白い召喚板にデッキを装填した。カードが自動でシャッフルされる。
「……俺のターン」
カードを1枚引き召喚板にカードを配置する。
「来い、スカルドラゴン」
全身が骨で組まれたドラゴンが召喚される。大和はスカルドラゴンの背に跨ってバルコニーから飛び降りた。
王国の軍は銀の鎧を身に着けて黒い騎士と戦っている。鎧に剣が当たる音、威勢の良い男や女の声が入り乱れて聞こえてくる。
タートルは戦いに行ってしまった大和を思い一人涙した。
「僕だって、どうしたらいいか分からないんだよ」




