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第6章 006 魔王の城

 クライカードを作ることはない。そう魔王は言った。だが、――これで勇者の冒険が終わることはなかった。


 魔王を倒したのちに大和たちがやってきたのは異世界グランドジービアの統べる王国だった。城へと通され倉間大和の今までの仕事に敬意を表され、褒美を与えられる。褒美とはお金のことだ。そんなことはどうでもよかった。重要なのはクライカードの生産が止まるかどうか。クライカードの生産をしていたのは魔王だけではなく、工場で人間が作っている事実があるから。


 浄化された魔王は力を失いただの亡骸と化した。もう魔王が関連することはなくなる。それなのにクライカードが作り続けられている。

 王に大和は問うた。


「これでクライカードの生産も止まるのでしょうか?」


 王ではなく大臣の者が答える。


「クライカードの悪行は魔王が絡んでいたからだ。ならば今となってはクライカードを生産し普及されることになんの問題もないだろう」


 不思議なことに勇者としての責務を果たしたのに思った通りにはならなかった。


      〇


 王との謁見が終わり城の中を歩く大和とフリイヤ。

 魔王は浄化されもうこの世にいない。こんなにすっきりしないことがあるのかと大和は気持ち悪さを感じる。


 フリイヤに問う。


「クライカードは魔王が作って利用していたのは事実だろう。魔王がいないだけで力の根本は変わらないんじゃないだろうか。これで本当にいいのか?」


 その通りで答えることすらできない。

 女神フリイヤも肌で感じ取っていた。人間たちが利益のためにまだ作り続けようとするのを。これでは大和が異世界へやってきた意味がない。


 大和は一人呟いた。


「俺は、どうすればいいんだよ」


      〇


 魔王が滅び魔王城は王国から狙われることとなった。魔王城にはタートルや砂クジラの少女ホエールがいる。悪いことをしたわけでもなく、寧ろ人に寄り添ってきた者たちもいる。魔王だけではなく魔王城の者たちをも叩くのは承知しかねるところだった。

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