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カードゲームが強すぎるせいで勇者になった  作者: 七舞 薫
第5章 砂クジラの少女
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第5章 005 砂クジラの少女

 群れから追い出された少女の手を握るタートル。


「大丈夫。君は僕が守るから」


 大和はタートルがかっこいいと思ってしまった。だがそんな彼に心が動かされようとすることに対し女神フリイヤは魔王の配下の者だから心を許しすぎるなと言う。

 魔王の配下の天使。この者に心を許しすぎてはならない。


 女神フリイヤもタートルの言いたいことは分かる。だが、それでも悪魔の力は許してはいけない。結局クライカードが幸福に飢えた困窮している者たちを表す手段としているとしても救いきれないどころか、この現在のようなカードゲームの勇者が必要な事態となっている。よかれと思ってだとしても救いが必要な理由を作っているにすぎないのだ。


 大和はフリイヤの忠告を心に刻んだ。人を救うとは簡単なことじゃない。デュエルで人を救う活動を大和は行っているが、結局それしかできないのだ。クライカードを手放した人たちはまた自分の足で立ち生きていくのだから。


 結局タートルもかっこいいことを言っても砂クジラの少女を救うことができなかった。砂クジラの習性まで書き変えることなどできはしないのだから。


      〇


 大和とフリイヤそしてタートルと砂クジラの少女は食事をとるために町の食堂に入った。窓際の4人テーブルでフリイヤの隣に大和が座り、砂クジラの少女の隣にタートルが座った。

 まず大和とフリイヤはビールを頼み、タートルと砂クジラの少女はオポールジュースというオレンジジュースのような柑橘系のジュースを頼んだ。


 全員にドリンクが届くといざ乾杯をはじめた。女神フリイヤは「一日お疲れー!」と声を上げ、大和は「お疲れ」と言いタートルも「お疲れ様」と言う。砂クジラの少女は何もしゃべらず乾杯に混ざる。


「君が群れに戻るよりも楽しい人生になるように乾杯さ」


 タートルが女の子を口説くような言葉選びをしているがはわざとではない。それよりも気になる話題がありフリイヤはそっちの方向に発言を進めていく。


「タートルそれよりも何て呼ぶことにしましょう。その砂クジラの子」


 なんて呼ぶか気になっていた大和も「おおどうする?」とタートルに尋ねる。オポールジュースを飲む砂クジラの少女を見ながら三人は腕を組んで考える。

 先に声に出したのは大和だった。


「オポールジュースからとって、オポールなんてどうかな?」


 特に否定するわけでもなくフリイヤは「まあ日本でもみかんみたいな名前ありそうだけどね」と意見を述べる。

 何か言いたそうなタートルだが、大和が何を言いたいのか問う。


「おいどうしたタートル。言ってみろよ」


「ホエールなんてどうかな? 以前カードで見たんだ。ホエールという鯨の言い方があるみたいなんだ」


 服を引っ張る砂クジラの少女。それでいいらしい。

 以後砂クジラの少女はホエールと呼ばれることとなった。

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